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「無料で相談できるなら」保険ショップを訪れた40代夫婦→“月3万円”の契約を結ぶが…5年後、二人を襲った“想定外の事態”

  • 2026.5.14
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは。FPとして家計相談やお金に関する情報発信を行っている柴田です。

「無料で相談できるなら、損はない」

そう思ってショッピングモール内の保険ショップを訪れた主婦が、3時間後には月3万円の保険契約を結んでいた。そんなケースが後を絶ちません。

今回ご相談に来られた46歳女性・Aさん(仮名)は、夫のボーナスが2年連続で減り、「一度きちんと家計を見直したい」と思い立ったのがきっかけでした。「無料で専門家に相談できると聞いて、気軽な気持ちで行ったんです」と振り返ります。

ところが5年後、急な出費が重なって解約を申し出たところ、払込総額180万円に対して戻ってきたのはわずか110万円。「残りの70万円はどこへ……?」と、Aさんは愕然としました。

「無料相談」は、本当に無料なのか

結論から言えば、無料相談の多くは保険会社からの「販売手数料(コミッション)」で成り立っています。 店舗の家賃、人件費、そして相談者に提供されるおもてなしのコスト。

これらはすべて、あなたが契約した保険の初回保険料などから支払われる手数料によって回収されます。

特に以下の商品は、販売側の収益性が高い傾向にあります。

  • 外貨建て終身保険:手数料率が高く、販売側の収益が大きい
  • 変額保険:運用成果に関わらず、契約時に大きな手数料が発生する

Aさんが勧められたのは、外貨建て終身保険。「老後の資産形成にもなる」「円だけでは不安でしょう」など担当者の言葉は、確かに的を射ているように聞こえました。

「中立」という言葉の裏にある構造的課題

Aさんが利用したのは、複数の保険会社の商品を比較・検討できる「乗り合い型」の保険ショップでした。

取り扱い商品数が多い窓口であっても、運営が「保険会社からの販売手数料」で成り立っている以上、収益性の高い商品が選定に影響を与える可能性を完全には否定できないという構造上の課題です。

また、丁寧なヒアリングに基づく「ライフプラン分析」についても、見方を変えれば注意が必要です。

将来の収支不足を可視化することは重要ですが、その不安を解消するための手段が、必ずしも相談者に最適なものとは限りません。分析結果として提示されると断りにくくなる心理が働きますが、提示された解決策が「本当に自分に合っているか」を、手数料体系などの背景も含めて冷静に見極める必要があります。

失敗しない相談先を選ぶための「2つの基準」

無料相談を「情報収集」として割り切るのも一つですが、本当の意味で自分に合った助言を求めるなら、以下の選択肢も検討すべきです。

  • 相談料が有料かどうか:1回1〜2万円程度の有料FPは、販売手数料に依存しないため中立性が高い(ただし、独立系でも保険を販売してくるケースがあるので注意)
  • J-FLEC認定アドバイザーを探す:金融経済教育推進機構(J-FLEC)が認定するアドバイザーは、教育的・中立的な立場からの助言が期待される存在です。公式サイトから検索し、「資産運用や保険販売を主目的としていないか」を確認した上で相談してみるのが良いでしょう。

相談料が無料であっても、サービス提供には必ずコストが発生しています。その対価を保険会社が手数料として支払う仕組みである以上、提案内容が「販売側の収益性」と「顧客の利益」のどちらに軸足を置いているか、慎重に見極める必要があります。「無料だから安心」と考えるのではなく、その背景にあるビジネスモデルを理解しておくことが、家計を守る賢明な判断につながります。

現在、日本で活動するFPの多くは、金融機関や保険代理店に所属しています。彼らは高度な専門知識を持つプロフェッショナルですが、同時に「自社の商品を販売する」という役割も担っています。そのため、アドバイスが特定の商品の提案に結びつきやすい側面があることは否定できません。

一方的な情報を鵜呑みにせず、複数の視点から商品を比較・検討する姿勢こそが、最適な資産形成への近道と言えるでしょう。

リテラシーこそが最大の「節約」

Aさんは現在、私と共に家計の再設計を進めています。「最初から数万円払ってプロに相談していれば、70万円を失うことはなかった」という彼女の言葉は重く響きます。

無料相談自体が悪ではありません。多くの保険商品を一度に比較できる利便性は確かにあります。大切なのは、「なぜ無料なのか」という裏側の仕組みを理解した上で、提案を鵜呑みにせずセカンドオピニオンを求める勇気を持つことです。

あなたの家計を守る最後の砦は、他の誰でもない、あなた自身の「判断力」なのです。


※本記事は特定のサービスを否定するものではなく、家計管理における選択肢の提示を目的としています。保険商品の解約には「解約控除」などの不利益を伴う場合があるため、自身の契約内容については必ず詳細を確認してください。

出典:金融経済教育推進機構 J-FLEC「J-FLEC 認定アドバイザー」

執筆:柴田 充輝
厚生労働省や保険業界・不動産業界での勤務を通じて、社会保険や保険、不動産投資の実務を担当。FP1級と社会保険労務士資格を活かして、多くの家庭の家計見直しや資産運用に関するアドバイスを行っている。金融メディアを中心に、これまで1,200記事以上の執筆実績あり。

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