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子ども2人と孫1人に“毎年110万”を現金贈与→「贈与税はゼロ」のはずが…20年後、70代夫婦を直撃した“2000万”の落とし穴

  • 2026.6.2
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。金融機関でマネージャーを務めながら、家計のご相談に日々向き合っている中川です。

今回ご紹介するのは、お子さま2人とお孫さん1人へ毎年110万円ずつ20年近く贈与してこられた70代Kさんご夫婦の体験談です。

「年110万円まで贈与税はゼロ」と続けてきた贈与が、2024年改正の生前贈与加算ルールにより、相続時に2,000万円を超える金額が課税対象に組み込まれることになった経緯をご紹介します。

「年110万円までは非課税」と続けてきた、家族への贈与

Kさんは70代のご夫婦。お父さまがお子さま2人とお孫さん1人を合わせた3名へ、毎年お一人ずつ110万円の現金贈与を続けてこられました。

「年110万円までは贈与税が非課税」という基礎控除を活用し、こつこつ暦年贈与を続けてきました。

「子どもや孫の生活を少しでも応援できればと考えて、毎年欠かさず続けてきました」

Kさんご夫婦にとって、年に一度の贈与は家族をつなぐ大切な行事でもあったといいます。

2024年改正で、生前贈与の「加算期間」が3年から7年に延長

転機となったのが、2024年1月施行の税制改正でした。

相続が発生したときに、亡くなる前の一定期間に行われた暦年贈与は相続財産に加算され、相続税の対象になります。これまでは「亡くなる前3年以内」だった加算期間が、改正で「亡くなる前7年以内」に延長されました。2024年1月以降の贈与から段階的に対象になり、完全な7年加算が成り立つのは2031年以降の相続が想定されています。

加算の対象になるのは、相続や遺贈で財産を取得する方への贈与です。死亡前4〜7年目の期間に贈与された総額からは、受贈者おひとりにつき合計100万円が控除されるとされています。一方、1〜3年目の贈与は全額が加算対象。期間そのものが2倍以上に広がったことで、加算される金額の規模も大きく変わります。

「これまでの3年だったら気にしていなかった金額が、改正後はぐっと範囲が広がってしまうんですね」

過去7年分を試算したところ、課税対象は約2,000万円

完全な7年加算が成り立つのは2031年以降の相続のため、ここでは将来そのタイミングでお父さまの相続が発生した想定で、過去7年分の贈与をあらためて整理しました。

Kさんご夫婦は、遺言の中でお孫さんにも一部を残されることを想定されています。お孫さんは遺言による遺贈で財産を取得する想定のため加算対象に含まれます。お子さま2人とお孫さんの計3名が財産を取得する前提だと、お父さまから毎年110万円ずつ7年間贈与した分の総額は110万円×7年×3人で2,310万円。ここから、4〜7年目分について受贈者おひとりにつき100万円、合わせて300万円が控除されます。差し引くと、約2,010万円が相続財産に加算される計算になります。

「2,000万円超の金額が相続税の課税対象に乗ってくるとは、当時の私たちはまったく想像していませんでした」

基礎控除の範囲内で渡してきた贈与であっても、改正後のルールでは加算対象になる範囲が広がります。

暦年贈与を続ける方は「相続時精算課税制度」との比較を

これから生前贈与を考える方は、以下の二つを確認してください。

一つ目は、過去の暦年贈与の履歴を家族で共有しておくこと。何年前から、誰に、いくら贈与してきたかをまとめておくと、相続発生時の加算計算がスムーズになります。

二つ目は、2024年改正で新しくなった「相続時精算課税制度」との比較をしておくこと。同制度には年110万円の基礎控除が新設され、控除内に収まる贈与は相続財産にも加算されません。利用には、受贈者が贈与を受けた年の1月1日時点で18歳以上、贈与者が60歳以上であることが要件です。なお、相続時精算課税制度を初めて選択する際には税務署への届出書の提出が必要で、それ以降の年110万円以下の贈与については申告不要となる設計です。長期で大きな金額を渡す予定がある場合、相続時精算課税制度のほうが有利になるケースも増えています。

暦年贈与と相続時精算課税は、どちらか一方が正解という制度ではありません。ご家族の資産規模と贈与のご予定に応じて、税理士などの専門家を交えて検討するようにしてください。


※本記事に登場する事例は、2024年1月施行の税制改正(生前贈与加算の期間延長など)の仕組みを説明するための試算例です。実際の家族構成や財産状況、相続発生のタイミングによって税額や加算対象額は異なります。
※相続時精算課税制度は、一度選択すると途中で暦年贈与(従来の制度)に戻すことはできません。慎重な判断が必要です。
※具体的な相続税・贈与税の試算、および個別の税務判断や手続きにあたっては、必ず事前に税務署または税理士などの専門家にご相談ください。

執筆・監修:中川 佳人
金融機関勤務の現役マネージャー。1級ファイナンシャル・プランニング技能士。20年にわたり、資産形成や家計管理・住宅ローンなどの実務に携わってきた経験を活かし、記事の監修や執筆を行っている。専門的な内容を、誰にでもわかりやすく伝えることをモットーとしている。

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