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「年金が年40万円以上も減った…」妻が65歳を迎えた途端に減額…70代男性を襲った“思わぬ落とし穴”【お金のプロは見た】

  • 2026.5.13
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは。FPとして家計相談やお金に関する情報発信を行っている柴田です。

「年金は一度受け取り始めたら、その金額が一生続く」そう思い込んでいませんか?実は、ある日突然、年金額がガクッと下がる瞬間があります。それが「加給年金の打ち切り」です。

今回ご相談に来られたのは、70歳男性・Aさん(仮名)。「妻が65歳になった途端、年金が年40万円以上も減ったんです。妻からも『聞いてない』と責められてしまって…」と、苦笑いで話してくれました。

知らない人が多い「加給年金」という「家族手当」

加給年金は、ざっくり言えば「年金版の家族手当」のような制度です。厚生年金に原則20年以上加入していた人が65歳以降に老齢厚生年金を受け取る際、生計を維持している65歳未満の配偶者や、18歳到達年度末まで(18歳に達する日以後、最初の3月31日まで)の子どもなどがいる場合に、本人の年金に上乗せされます。

令和8年度(2026年度)の金額は、配偶者1人で年間42万3,700円(特別加算込み)。月額にすると約3万5,300円。

家計にとっては相当なインパクトです。この制度は「年の差夫婦」ほど恩恵が大きくなります。

Aさんは65歳から年金受給を開始。妻のBさんは当時60歳だったため、年齢差5年分、しっかり加給年金を受け取っていました。「食費と光熱費がほぼまかなえて、今思えば本当に助かっていた」とAさんは振り返ります。

  • 夫65歳・妻60歳 → 5年間で約212万円(税引き前)
  • 夫65歳・妻55歳 → 10年間で約424万円(税引き前)

ただし、これには条件があります。配偶者自身の厚生年金加入期間が20年以上ある場合や、配偶者の年収が850万円以上ある場合などは、この手当は支給されません。

配偶者の65歳の誕生日に、ピタッと止まる

ところが加給年金には大きな落とし穴があります。

配偶者が65歳になると、自動的に打ち切られるのです。理由はシンプルで、配偶者本人が老齢基礎年金を受け取り始めるため。「家族手当」の役目を終える、という考え方です。

Bさんは今年65歳に。Aさんの年金通知を見ると、前年より約41万円減った金額が記載されていました。「これが5年続けば200万円超。事前に知っていれば、心構えができたのに」と肩を落とします。

支給が止まった金額はもちろんですが、「受け取ると思っていたお金が受け取れなかった」という心理的なショックも大きかったのでしょう。

「振替加算」で補われる…はずが、ゼロの世代も

加給年金が終了した後、配偶者自身の年金に「振替加算」が上乗せされる場合がありますが、ここにも厳しい現実があります。

  • 生年月日が新しいほど、金額は少ない
  • 昭和41年(1966年)4月2日以後生まれの配偶者は、振替加算ゼロ
  • 配偶者本人の厚生年金加入期間が原則20年以上ある場合などは、対象外になることがある

Bさんの場合、振替加算は年1万5,000円ほど。打ち切られた41万円とは比較になりません。さらに現在50代以下の妻はゼロ。つまり「41万円が消えて、代わりは1円もつかない」ケースも普通にあるのです。

加給年金の打ち切りに備える3つのアクション

加給年金の打ち切りは、知っていれば事前に手を打てます。以下の3つを早めに実践しておくだけで、家計へのダメージを大きく減らすことができます。

  • ねんきん定期便・ねんきんネットで「加給年金の対象か」を確認する
  • 配偶者の65歳の誕生月を、家計のカレンダーに書いておく
  • 減額分を見越して、固定費を早めに見直す

特に大事なのが3つめです。「ある日いきなり月3万円超の減額」は家計に効きます。打ち切りの2〜3年前から少しずつ支出をスリム化しておくと、ショックを和らげられます。

たとえば、使っていないサブスクリプションや保険の特約を見直すだけで、月数千円の削減につながることも少なくありません。通信費は格安SIMへの乗り換え、電気・ガスは料金プランの比較サイトで見直すと効果が出やすい固定費の代表格です。まずは毎月必ず出ていく支出を書き出し、「本当に必要か」を一項目ずつ確認することから始めてみましょう。

まとめ

年金は「一度決まれば一生同じ」ではなく、ライフイベントで増減する仕組みがあります。「知らなかった」では、数百万円単位で家計が変わることも。

まずはご夫婦で年金定期便を開いて、「いつ・いくら・なぜ変わるか」を共有してみてください。それだけで、Aさんのような「想定外のショック」はずいぶん減らせます。


※加給年金・振替加算の支給には、加入期間や収入制限など詳細な条件があります。個別の受給額については、お近くの年金事務所または「ねんきんダイヤル」へお問い合わせください。

出典:日本年金機構「加給年金額と振替加算」

柴田 充輝
厚生労働省や保険業界・不動産業界での勤務を通じて、社会保険や保険、不動産投資の実務を担当。FP1級と社会保険労務士資格を活かして、多くの家庭の家計見直しや資産運用に関するアドバイスを行っている。金融メディアを中心に、これまで1,200記事以上の執筆実績あり。

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