1. トップ
  2. “評価額1.2億円”の実家を相続した48歳姉妹→「相続税なんて関係ない」と思いきや…税理士から告げられた事実に“青ざめたワケ”

“評価額1.2億円”の実家を相続した48歳姉妹→「相続税なんて関係ない」と思いきや…税理士から告げられた事実に“青ざめたワケ”

  • 2026.5.11
undefined
出典元:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは。FPとして家計相談やお金に関する情報発信を行っている柴田です。

「うちは資産家じゃないし、相続税なんて関係ない」そう思っている方は多いのですが、東京都内に持ち家があるだけで課税対象になるケースが、いま急増しています。

今回ご相談に来られたのは、都内在住の48歳女性・Aさん(仮名)。世田谷区の実家を、51歳姉のBさん(仮名)と二人で相続しました。「築40年の古い戸建てですよ?それなのに税理士さんから『試算ですが、相続税は約1,200万円です』と言われて、姉妹そろって絶句しました」と振り返ります。

相続税は「10人に1人」の時代へ

国税庁が公表した最新データ(令和6年分)によると、全国の課税割合は10%を超え、東京都においては20.0%と全国トップ。実質的に「5人に1人」が相続税の対象となっています。

  • 全国の課税割合:10.4%(過去最高) ※昭和42年以降で初めて10%を超えました
  • 東京都の課税割合:20.0%(全国トップ)

東京都では、亡くなった人の5人に1人程度が相続税の課税対象となっています。相続税は、特に都市部において一般的な持ち家世帯にも関係し得る税金といえるでしょう。

相続税には、遺産額がこの範囲内であれば相続税がかからない「基礎控除」があります。

基礎控除=3,000万円+600万円×法定相続人の数

たとえば夫婦と子ども2人の家庭で父が亡くなった場合、相続人は3人なので4,800万円まで非課税。これだけ聞くと「うちは大丈夫そう」と思いますよね。

ところが都内23区の戸建ては、土地だけで基礎控除を超えることが珍しくありません。Aさんの実家も、土地と預貯金を合わせた評価額は約1億2,000万円。姉妹2人で相続したため基礎控除は4,200万円です。

単純化して、債務控除や葬式費用、各種特例を考慮しない前提では、課税遺産総額は約7,800万円。相続税額は概算で約1,160万円、約1,200万円にのぼる可能性があります。

相続税を抑える「切り札」の特例には「同居」などの要件

土地の評価額を最大8割減らせる「小規模宅地等の特例」という強力な制度があります(330平米まで)。これが使えれば、Aさんのケースでも税額が大幅に下がっていたのですが、以下のような要件があります。

  • 配偶者が相続する → 居住継続などの取得者要件は比較的緩い
  • 同居の親族が相続する → 申告期限まで住み続け、所有を続ける必要がある
  • 別居の子が相続する → 持ち家の有無や過去の居住状況など、細かな要件を満たす必要がある

Aさん姉妹はどちらも別居で、すでに持ち家あり。特例は使えませんでした。

さらに怖いのが、相続税の申告期限は「亡くなってから10ヶ月」ということ。申告期限までに遺産分割や必要書類の準備ができていないと、特例の適用が難しくなったり、手続きが複雑になったりする場合があります。

「争族」を避け、納税資金を用意するための3つの対策

相続税の問題は、税額そのものだけでなく、遺産分割をめぐる家族間のトラブルに発展するリスクも見逃せません。知識を持って早めに動くことが、家族を守る備えになります。

  1. 路線価を調べておく(国税庁「路線価図」で郵便番号検索 → 平米単価×面積で土地評価額を概算)
  2. 同居や二世帯住宅化を検討(小規模宅地等の特例の対象になる可能性を確認する)
  3. 生命保険を活用(「500万円×法定相続人の数」まで非課税枠あり。納税資金にもなる)

特に兄弟姉妹がいる場合は、親が元気なうちに「誰が実家を継ぐか」を話し合っておくことが重要です。家は分けにくく、感情も絡みやすいため、揉めやすい財産の代表格です。

加えて忘れてはならないのが、相続税の「納税資金」をどう準備するかという問題です。不動産は遺産の中で大きな割合を占める一方、現金化しにくく、税金は原則として現金一括納付が求められます。親が元気なうちから生命保険の非課税枠の活用や預貯金の積み立てなど、納税資金の準備を家族ぐるみで考えておくことが、「詰んだ状態」を防ぐことにつながります。

まとめ

相続税は、いまや「普通の都内戸建て家庭」にも十分関わる税金です。「うちは関係ない」と決めつける前に、まずはご実家の路線価を一度チェックしてみてください。

円満に遺産を分けるためには、感情的になりやすい局面だからこそ、元気なうちからの準備と家族間の話し合いが欠かせません。小規模宅地等の特例など、知っているだけで税額が大きく変わる制度もあります。将来の同居の是非や、家なき子特例の該当可能性など、早めにシミュレーションをしておくことが大切です。

そして見落としがちなのが、納税資金の準備です。不動産が多い場合、いざ相続が発生しても「不動産はあるけど現金がない」という事態になりかねません。

いざという時に「住む家はあるのに、税金が払えなくて売却せざるを得ない」という事態を防ぐためにも、まずは家族で現状の資産を把握することから始めてみましょう。


※相続税の計算や特例の適用要件、節税対策の判断については、必ず税理士にご相談ください。本記事は一般的な制度解説を目的としており、個別の税務判断を保証するものではありません。

執筆:柴田 充輝
厚生労働省や保険業界・不動産業界での勤務を通じて、社会保険や保険、不動産投資の実務を担当。FP1級と社会保険労務士資格を活かして、多くの家庭の家計見直しや資産運用に関するアドバイスを行っている。金融メディアを中心に、これまで1,200記事以上の執筆実績あり。

の記事をもっとみる