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退職金2,000万円を受給後→iDeCoで700万円受け取った60代男性。3年後、税理士から告げられた“想定外の事実”にあ然…

  • 2026.5.13
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。金融機関でマネージャーとして勤めながら、退職金や老後資金に関するご相談を数多く受けてきた中川です。

今回ご紹介するのは、60歳で退職金約2,000万円を受け取った後、3年後にiDeCoの一時金受取を選択した63歳の元会社員Aさん(仮名)の体験談です。

「退職金とiDeCoは別の制度だから、控除もそれぞれフルに使えるはず」――そう信じ込んでいたAさんを待っていたのは、想定外の重い課税でした。

背景にあるのは、退職所得控除の「19年ルール」。受取の順番とタイミングひとつで、手取りが大きく変わる落とし穴をご紹介します。

「退職金は別腹、iDeCoでもう一度フル控除」と信じていたあの日

メーカーに長く勤めたAさんは、60歳の定年で退職金約2,000万円を一時金で受給されました。

勤続年数に応じた退職所得控除をきっちり使い切り、税負担はかなり抑えられたとのこと。

「現役時代にコツコツ積み立ててきたiDeCoはまだ手をつけていない。あれは別制度だから、受け取るときにまた控除をフルに使えるはずだ」

そう考えていたAさんは、再雇用契約が一段落した63歳のタイミングで、iDeCoを一時金で受け取ろうと決めます。総額は700万円ほど。「これも非課税枠でほぼ収まるだろう」と試算し、念のため知人の税理士に相談に行かれました。

ところが返ってきた答えは、想像と全く違うものでした。

「19年ルール」発覚――重複扱いで控除枠が消える

税理士から告げられたのは、退職金を先に受け取り、その後にiDeCoを一時金で受け取る場合に適用される、いわゆる「19年ルール」の存在でした。

所得税のルールでは、前回の退職金受給から「19年以内」に別の一時金を受け取る場合、前の退職金と期間が重複している部分は、退職所得控除額から差し引かなければならないと定められています。

Aさんの場合、60歳での退職金受給からまだ3年しか経っていません。iDeCoの積み立て期間(拠出期間)のほとんどが退職金の勤続期間と重なっているため、フルに使えるはずだったiDeCo側の控除枠が大きく削られ、結果として数十万円単位で手取りが減る可能性が浮上したのです。

2026年1月からの改正、受取の「順番」で変わるルール

さらに注意が必要なのは、2026年1月からの法改正です。iDeCoと退職金の受取順序によって、適用される期間制限が異なります。

  • 退職金が先・iDeCoが後:制限期間は19年(据え置き)
  • iDeCoが先・退職金が後:制限期間が5年から「10年」へ延長(2026年1月以降)

「どちらを先に、何年あけて受け取るか」という出口戦略の重要性が、これまで以上に高まっています。

最後の出口こそ「丁寧なシミュレーション」を

Aさんのケースから学べるのは、退職金とiDeCoは「別制度」でも「税の世界では地続き」だということです。受け取る順番、間隔、そして一時金か年金かという選択次第で、手取りは大きく変わり得ます。

たとえばiDeCoを年金形式で受け取れば、退職所得ではなく公的年金等控除の枠で考えることになり、退職金との重複問題からは外れます。ただし、その場合も他の年金収入との合算で課税の姿が変わるため、有利不利は人それぞれです。

大切なのは、受給を決める前にシミュレーションすること。「別制度だから大丈夫」という思い込みは、想定より重い課税という形で跳ね返ってきます。

ご自身のケースでどう受け取るのが最善かは、税務署または税理士にご確認ください。退職金とiDeCo、どちらも長年積み上げてきた大切な資産です。最後の出口設計こそ、ぜひ専門家と一緒に丁寧に組み立てていただければと思います。


※本記事の事例は、個別の税務判断を保証するものではありません。退職所得控除の計算や最新の税制改正の詳細については、必ず国税庁のウェブサイトを確認するか、税理士等の専門家にご相談ください。

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