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手術で“20万円”支払った50代主婦→『高額療養費で一定額戻ってくる』はずが…2年後、健保から告げられた“想定外の事実”に絶句

  • 2026.5.12
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。金融分野で20年、医療費や社会保険に関するご相談を数多く受けてきた中川です。

今回は、私の知人で57歳のパート主婦Aさん(仮名)の体験談をご紹介します。

胆石の手術で1週間入院し、窓口で約20万円を立て替えたAさん。「高額療養費があるから、一定額が戻ってくる」と信じて領収書を引き出しに保管したまま、介護や通院に追われて気づけば2年が経過。健保組合の窓口で告げられた一言に、Aさんは血の気が引いたといいます。

制度は「知っている」だけでは家計を守ってくれない…そんな現実を一緒に見ていきましょう。

「あとで戻ってくるから大丈夫」引き出しにしまった領収書

Aさんは数年前まで配偶者の被扶養者でしたが、勤務時間が増えたタイミングでご自身の健康保険に加入し直していました。

ある日、強い腹痛で受診したところ胆石が見つかり、1週間の入院と手術が必要に。窓口での自己負担は約20万円。

けれど、Aさんはどこか落ち着いていたといいます。

「高額療養費があるから、あとで一定額が戻ってくるわ」

そう言うとご主人もうなずき、領収書と明細書を封筒にまとめて引き出しへ。退院後はリハビリの通院が続き、ちょうど同じ時期にご実家のお母さまが体調を崩されて遠方介護も始まりました。気づけば領収書のことは記憶の隅へ。事前に申請すれば窓口での自己負担そのものを抑えられる「限度額適用認定証」という仕組みがあることも、Aさんは入院後に知ったそうです。

窓口で告げられた「2年」…見落としていたもう一つの権利

ようやく生活が落ち着いた2026年の春、Aさんは思い立って健康保険組合の窓口へ封筒を持参しました。担当者は申請書を確認したあと、申し訳なさそうに口を開きます。

「健康保険法上、高額療養費を請求できる権利には2年の期限があるんです。今回の分は、もう申請いただけません」

権利を行使できるときから2年、その期間がすでに過ぎてしまっていたのです。高額療養費制度があるから大丈夫…Aさんが期待していた前提が崩れてしまった瞬間でした。

帰り道、Aさんはたまたま「2026年8月から予定されている高額療養費制度の見直し(自己負担限度額の引き上げ等)」に関する通知を目にします。

「制度について知っておかないと、また損をしてしまうかもしれない」背筋がすっと冷えたそうです。

「制度は知っているだけでは守れない」申請主義と、相談することの大切さ

Aさんが教えてくれた教訓は、私たちにとっても大切なものです。

  1. 高額療養費の申請には「2年」の時効がある:診療を受けた月の翌月の初日から2年を過ぎると、時効により申請できなくなります。
  2. 「限度額適用認定証」を事前に準備する:入院が決まった時点で保険者に申請しておけば、窓口での支払いを最初から限度額までに抑えられます。
  3. 領収書は捨てずに月単位でまとめておく:世帯合算(同じ月に家族で合算して申請すること)や医療費控除の申請で必要になります。

医療費が多くかかった場合には、ぜひ健保組合・協会けんぽ支部・お住まいの市区町村の国民健康保険窓口など、ご自身の加入している健康保険の保険者に相談してみてください。

「あのとき、相談していれば」Aさんと同様の事態に陥らないために、相談することの大切さを覚えておきましょう。


出典:高額療養費制度を利用される皆さまへ(厚生労働省)

※2026年5月現在の情報に基づき執筆しています。
※制度の見直し内容については、加入している保険者からの最新情報をご確認ください。

執筆・監修:中川 佳人
金融機関勤務の現役マネージャー。1級ファイナンシャル・プランニング技能士。20年にわたり、資産形成や家計管理・住宅ローンなどの実務に携わってきた経験を活かし、記事の監修や執筆を行っている。専門的な内容を、誰にでもわかりやすく伝えることをモットーとしている。

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