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“うつ病”で4ヶ月休職するも、復帰できず退職→「挨拶だけでも」半日だけ出社するが…1ヶ月後、健保から届いた“1通の通知”に絶句

  • 2026.4.9
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは、社会保険労務士の加藤あゆみです。

病気やケガで長期間働けなくなったとき、生活を支えてくれるのが健康保険の傷病手当金です。給与のおよそ3分の2が、最長1年6ヶ月にわたって支給される心強い制度ですよね。

ところが最近、「受け取れるはずだった傷病手当金が、退職をきっかけに止まってしまった」というご相談をいただくことが増えています。実は、退職日のたった1日の行動が、その後の給付を左右してしまうことがあるんです。

退職日に"挨拶だけ"出勤した結果

Cさん(36歳・会社員女性・月給約30万円)は、うつ病の診断を受けて約4ヶ月間休職していました。

休職中は傷病手当金を受給しながら療養を続けていましたが、復帰のめどが立たず、会社に居づらさも感じ始めたことから退職を決意しました。

退職日、Cさんは「お世話になった方にせめてご挨拶だけでも」と思い、半日だけ出社しました。

ところが退職から1ヶ月後、健康保険組合から届いた通知を見て愕然とします。傷病手当金の継続給付が認められなかったのです。

「退職日に出勤」がなぜ致命的なのか

傷病手当金には、退職後も引き続き受給できる「継続給付」という仕組みがあります。在職中に支給が始まっていれば、退職後も残りの期間分を受け取れるというものです。

ただし、この継続給付にはいくつかの条件があります。

  • 退職日までに被保険者期間が継続して1年以上あること
  • 退職日に労務不能であること

Cさんがつまずいたのは2つ目の条件です。退職日当日に出勤してしまうと、「働ける状態だった」とみなされ、継続給付の権利を失ってしまいます

Cさんの場合、残りの受給期間は約1年2ヶ月。日額約6,700円で計算すると、受け取れなくなった金額は約280万円にのぼります。挨拶のための半日出社が、これほど大きな損失につながるとは思いもしなかったそうです。

「通算1年6ヶ月」の仕組みを正しく知る

もう一つ押さえておきたいのが、支給期間の数え方です。

2022年の法改正で、傷病手当金の支給期間は「通算して1年6ヶ月」に変わりました。以前は支給開始日から暦日で1年6ヶ月だったため、途中で復帰して働いた期間も消費されてしまっていましたが、現在は実際に支給を受けた日数だけをカウントします。途中で働いた期間は通算に含まれず、その分だけ受給できる期間が後ろに延びる仕組みです。

ただし、この改正があっても、退職後の継続給付が途切れてしまえば再開はできません。Cさんのように退職日の対応を誤ると、通算期間が残っていても受け取れなくなってしまうのです。

退職前に確認しておくべき3つのこと

傷病手当金を受給中に退職を考えている方は、以下の3点を必ず確認してみてください。

1. 退職日は「労務不能」の状態で迎えること。挨拶回りや引き継ぎでの出勤も避けるのが安全です。

2. 健康保険の被保険者期間が継続して1年以上あること。転職直後などで期間が足りない場合は要注意です。

3. 退職後に国民健康保険に切り替えても継続給付は止まらないこと。「国保に変わるともらえなくなる」という誤解がありますが、継続給付の要件を満たしていれば問題ありません。

制度は、知っている人だけが得をします。退職のタイミングを決める前に、ぜひ一度、会社の人事担当者やお近くの社労士にご相談ください。

※本記事は2026年4月時点の制度に基づいています。


監修・執筆:あゆ実社労士事務所
人材育成・キャリア支援を軸に約10年の実務経験を持つ、社会保険労務士/国家資格キャリアコンサルタント。 IT企業の人事として、新卒・若手育成、研修設計、評価・キャリア支援の仕組みづくりに携わる一方、個人では企業や個人に向けたキャリア相談・人事支援を行っている。 これまでに累計100名以上のキャリア面談を実施し、1on1制度設計や面談シートの設計、育成施策の言語化を支援。 近年は生成AIを活用した業務設計・人事業務の効率化にも注力し、「現場で使えること」を前提にしたAI活用の伴走支援を行っている。

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