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3月に引っ越し→6月に前の市から“12万円の請求”が。「何かの手違い」と思いきや…30代会社員を襲った“想定外の落とし穴”

  • 2026.5.21
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは、マネーシップス代表 IFAの石坂です。

引っ越しをすると、住民票・勤務先・銀行・保険など、さまざまな住所変更を行います。そのため、税金関係の通知もすべて新しい住所の自治体から届くと思いやすいものです。

しかし、住民税は、引っ越した日を基準にすぐ納付先が変わるわけではありません。原則として、住民税はその年の1月1日現在に住んでいた市区町村で課税されます。

今回は、前の自治体から届いた住民税の納付書を「もう住んでいないから関係ない」と思い込み、支払いを忘れそうになった30代会社員の事例をもとに、引っ越し後の住民税で注意したい点を解説します。

「前の市から請求?」引っ越し後に届いた1通の納付書

30代の会社員Aさん(仮名)は、2025年3月に神奈川県内のA市から東京都内のB区へ引っ越しました。

転出届と転入届は済ませ、勤務先にも新住所を伝えたそうです。銀行、クレジットカード、保険会社の住所変更も終わらせたため、Aさんは「これで役所関係の通知も新住所に切り替わった」と考えていました。

ところが、2025年6月、前に住んでいたA市から住民税の納付書が届きました。納付書に記載されていた金額は、年額12万4,000円。4回払いになっており、1期あたり3万1,000円でした。Aさんは「3月に引っ越したのに、なぜ前の市から請求が来るのか」と疑問に感じました。

さらに、Aさんは2025年4月に転職したばかりでした。勤務先では住民税の給与天引きへの切り替えがまだ済んでおらず、少なくとも切り替え前の分は自分で納付書を使って納める形になっていたのです。しかし、Aさんはそのことを十分に理解していませんでした。

封筒は郵便物の転送で届いたため、「古い住所に送られた書類だから、何かの手違いかもしれない」と考え、数日間そのままにしてしまいました。その後、納期限が近いことに気づき、A市の担当窓口に確認しました。そこで初めて、住民税は1月1日時点で住んでいた市区町村で課税されることを知ったのです。

Aさんは、2025年1月1日時点ではA市に住んでいました。そのため、2025年度の住民税は、引っ越し後もA市で課税されるのが基本でした。前の自治体から納付書が届いたことは、誤りではなかったのです。

住民税は「今の住所」ではなく「1月1日の住所」で決まる

住民税で重要になるのは、納付書が届いた時点の住所ではありません。原則として、その年の1月1日現在にどこに住んでいたかです。

たとえば、2025年1月1日にA市に住んでいて、2025年3月にB区へ引っ越した場合、2025年度の住民税はA市で課税されます。
一方、2026年1月1日時点でB区に住んでいれば、2026年度の住民税はB区で課税されるのが基本です。

つまり、引っ越した日を基準に、その場で納付先が新しい自治体へ切り替わるわけではありません。ここを誤解すると、「前の自治体から来た納付書だから、自分には関係ない」と判断してしまう可能性があります。

特に注意したいのは、会社員でも自宅に納付書が届く場合があることです。会社員の住民税は、通常、給与から天引きされることが多いです。ただし、退職・転職・勤務先での特別徴収の切り替え、副業分の住民税などにより、自宅に納付書が届く場合があります。

「会社員だから住民税は必ず給与から引かれているはず」と思い込まず、給与明細で住民税が天引きされているか確認しておくことが大切です。

納付書を放置すると、督促や延滞につながることも

前の自治体から納付書が届いたときは、まず中身を確認することが大切です。「もう住んでいない自治体だから間違い」と決めつけて放置するのは危険です。

納付書には、年度・税額・納期限・問い合わせ先が記載されています。Aさんのように年額12万4,000円を4回に分けて納める場合、1回分は3万1,000円です。この金額を見て、Aさんは「すぐに払うには少し大きい金額だ」と感じました。

しかし、納期限を過ぎると、督促状が届いたり、延滞金が発生したりする場合があります。引っ越し直後は、荷ほどき、勤務先への届け出、各種住所変更などで慌ただしくなります。そのなかで、税金関係の封筒を後回しにしてしまう人もいるでしょう。

しかし、住民税の納付書は「過去の住所に関する不要な通知」ではありません。その年度の支払いに関わる重要な書類です。特に、郵便物の転送で届いた書類は、手元に届くまで時間がかかる場合もあります。

開封が遅れると、納期限までの期間が短くなっていることもあります。不明点があれば、納付書に記載された自治体の窓口に早めに確認しましょう。

FP視点で見る、引っ越し後の住民税で損をしない確認ポイント

引っ越し後の住民税は「住所変更をしたから終わり」ではありません。大切なのは、その年の1月1日現在に住んでいた市区町村と、実際の納付方法を確認することです。

年の途中で引っ越した場合、その年度の住民税は前の自治体で課税される可能性があります。そのため、前の自治体から納付書が届いても、すぐに誤送付と判断しないことが大切です。

確認したいポイントは、次の3つです。

  • 何年度分の住民税なのか
  • 課税している自治体はどこか
  • 納期限はいつまでか

この3つを確認すれば、支払い忘れを防ぎやすくなります。

また、会社員の場合は、給与明細も確認しておきましょう。住民税が毎月の給与から天引きされていれば、原則として勤務先を通じて納めています。

一方で、給与明細に住民税の天引きがない場合や、自宅に納付書が届いた場合は、内容を確認し、必要に応じて自分で納める必要があります。転職直後の場合は、勤務先で特別徴収へ切り替えられるかどうかも確認しておくとよいでしょう。ただし、すでに納期限が来ている分などは、自分で納付書を使って納める必要がある場合があります。

引っ越しをした年は、前の自治体、新しい自治体、勤務先からの通知が重なることがあります。「どこから来たか」だけで判断せず、「何年度分の住民税なのか」を見ることが重要です。

住民税は、原則としてその年の1月1日現在に住んでいた市区町村で課税されます。このルールを知っておくだけで、前の自治体から届いた納付書に慌てず対応できます。引っ越し後に届く税金の書類は放置せず、まず開封して内容を確認する、それが納付遅れや督促を防ぐための基本になります。


※住民税の徴収方法や転職時の切り替えタイミングは、前職の退職時期、新しい勤務先の手続き状況、および各自治体の処理スピードによって異なります。手元に届いた納付書の扱いについて判断に迷う場合は、自己判断せず、お住まいの(または1月1日時点の)市区町村の税務窓口や、勤務先の人事総務担当者へ直接ご確認ください。

執筆・監修:石坂貴史
証券会社IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー・証券外務員)、2級FP技能士、AFP、マネーシップス代表。累計1,200件以上のご相談、金融関連の記事制作、校正・監修を手掛けています。「金融・経済、不動産、保険、相続、税制」の6つの分野が専門。お金の運用やライフプランの相談において、ポートフォリオ理論と行動経済学を基盤にサポートいたします。

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