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『配偶者は相続税がかからない』“夫の遺産8,000万円”を相続した70代妻→3年後、50代息子を直撃した“1,220万円”の大誤算

  • 2026.5.19
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

みなさん、こんにちは。元銀行員の金融ライター・池田です。

相続税対策として知られている制度の1つに「配偶者の税額軽減」があります。

この制度は「配偶者は特例により1億6,000万円まで相続税がかからない」というものですが、家族構成によっては大きな落とし穴となる場合も。

今回は、相続税対策として夫の遺産8,000万円をすべて妻が相続したものの、結果として子どもに大きな税負担をかけることになってしまった事例を紹介します。

「配偶者の税額軽減」が落とし穴に?

そもそも「配偶者の税額軽減」とは、配偶者が遺産を相続する場合、1億6,000万円または法定相続分のどちらか多い金額までは相続税がかからないという制度です。

今回ご紹介する70代の女性・Aさん(仮名)には、夫との間に50代の一人息子がいます。

夫が亡くなり相続が発生した際、「相続税対策のため」と考えたAさんは、遺産8,000万円をすべてご自身が相続することに。

「相続税を支払わずに済んだ」と安堵していました。

数年後にAさんの息子を襲った“大誤算”とは

3年後、Aさんが亡くなり相続が発生しました。相続人は息子のみです。

Aさんは夫から相続した遺産をそのまま残しており、これとは別にAさん名義で2,000万円の預金がありました。

そのため、Aさんの息子が相続する遺産は「Aさんが夫から相続した8,000万円+Aさんの預金2,000万円=1億円」に。

この瞬間、息子は「約1,220万円」もの相続税を支払うことになってしまったのです。

Aさんの夫の相続時に「4,000万円ずつ」相続していたら?

では、仮にAさんの夫の遺産8,000万円をAさん・Aさんの息子の2人で4,000万円ずつ相続していた場合、相続税の負担はどのようになっていたのでしょうか。

ここでは、相続税額の目安を簡単に紹介します。

Aさんの夫が亡くなった一次相続時、Aさんは「配偶者の税額軽減」により4,000万円を非課税で相続できます。Aさんの息子は残りの4,000万円を相続し、「約235万円」の相続税を支払います。

そしてAさんが亡くなった二次相続時には、Aさんの息子が相続する遺産総額は「Aさんが夫から相続した4,000万円+Aさんの預金2,000万円=6,000万円」に。ここで支払う相続税は「約310万円」です。

このケースでは、Aさんの息子の二次相続までの税負担合計額は「約545万円」となります。

Aさんの息子が実際に二次相続で支払った「約1,220万円」の相続税と比較すると、税負担額が670万円以上軽くなる計算です。

「二次相続」を見据えた対策が重要

今回紹介した相続税額はあくまでも概算ですが、「配偶者の税額軽減」を活用して相続税の負担を抑えたい場合は、目先の税額のみでなく二次相続まで見据える必要があります。

具体的には、一次相続が発生した時点での遺産額に加えて「亡くなった方の配偶者の資産額」や「二次相続時の相続人の人数」なども確認するのがポイントです。

“相続税ゼロ”という言葉だけに安心せず、家族全体で将来の負担を見越した対策が求められます。


※本記事で紹介した税額は、特定の控除や特例(小規模宅地等の特例など)を考慮しない一般的な概算・試算例です。実際の相続税額は遺産の内訳や家族構成によって細かく異なるため、具体的な対策については必ず税理士などの専門家へご相談ください。

監修・執筆:元銀行員・ikebu
元銀行員・行政書士資格保有の金融・法律ライター。一種外務員資格(証券外務員一種)、行政書士資格を保有。大学では法学部・法律学科に在籍し、卒業後は地方銀行に入行。個人リテール業務において、投資信託・生命保険商品の販売を中心とする資産運用のサポートのほか、住宅ローンや相続などの幅広い業務に携わる。法人営業では、事業性融資や法人向けの運用商品販売を担当。現在は金融・法律ジャンルを中心にライターとして活動。銀行員時代の経験や保有資格を活かし、専門的な内容を分かりやすく丁寧に解説することを得意とする。

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