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「4,000万円の新築」変動金利で住宅ローンを契約→「5年ルールがあるから大丈夫」のはずが…10年後、40代夫婦が“青ざめたワケ”

  • 2026.4.9
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは。FPとして主に家計相談やお金に関する情報発信などを行っている柴田です。

先日、相談に訪れた45歳の会社員・Aさん(仮名、千葉在住・共働き・子ども2人)から、こんな言葉が出てきました。

「10年前に変動金利で借りたとき、まさかここまで金利が上がるとは思っていなくて……来年から返済額が月2万円近く増えると聞いて、正直パニックです」。

Aさん夫婦が住宅ローンを組んだのは35歳のとき。

借入額4,000万円・変動金利0.4%・35年返済でスタートしました。当時の担当者から「5年ルールがあるので、金利が上がっても返済額はすぐには変わりませんよ」と説明を受け、安心していたといいます。しかしその"安心"には、大きな落とし穴が隠れていました。

「5年ルール」があれば大丈夫、は半分正解

変動金利には、金利が上がっても5年間は毎月の返済額が変わらない「5年ルール」があります。また、5年ごとの見直しでも返済額の上昇は従来の1.25倍までに抑えられる「125%ルール」もあります。

これらは、住宅ローンの変動金利型で金利が急上昇した際に、毎月の返済額が急増して家計が破綻するのを防ぐために設けられた激変緩和措置です。一見、手厚い保護のように見えますが、ここに落とし穴があります。

返済額が据え置かれている間も、金利は上がっています。つまり毎月の支払いのうち「利息分」が増え、その分「元本の返済分」が圧迫されます。最悪の場合、支払った金額が利息にすら届かない「未払い利息」が発生し、元本がまったく減らない状態に陥ることもあります。つまり、「返済額は変わっていないのに、なぜかローン残高が減らない」という事態です。

金利0.4%→1.9%で、総返済額はいくら増えるのか

Aさんの実際のケースで試算してみます。

借入4,000万円・35年返済で、金利0.4%から1.9%に上昇した場合、5年ルールが適用される期間が終わると月々の返済額は約2万円増になります。これが残りの返済期間にわたって積み重なると、総返済額は600万円以上増える計算になります。

「月2万円くらい」と軽く見えるかもしれませんが、子どもの教育費が重なる40代後半〜50代前半にこの負担が来るのは、家計にとって決して小さくありません。特にここ数年は教育費もインフレしているため、Aさん夫婦が青ざめたのも無理のない話です。

実は、生活が苦しい人ほど変動金利を選ぶべきではない

「月々の返済を少しでも抑えたいから変動金利にした」という方は少なくありません。また、低金利の状態が続いていた日本では、変動金利を選ぶ人が大半でした。しかし、「金利のある世界」においては、これは逆効果になる可能性があります。

変動金利は今の返済額を下げる効果がある一方で、金利が上がれば将来の返済額が増えるリスクを丸ごと引き受ける選択でもあります。現時点で家計に余裕がない場合、月2万円の返済増は致命的なダメージになりかねません。繰り上げ返済で元本を減らす余力もなく、いざというときに借り換えの審査も通りにくくなる、という悪循環に陥るリスクもあります。

変動金利が向いているのは、金利が上がっても繰り上げ返済や借り換えで対応できる「家計に余裕がある人」です。毎月の収支がギリギリの状態で変動金利を選ぶのは、最もリスクの高い選択と言えます。

変動で借りている人が今すぐやるべき3つのこと

焦りは禁物ですが、何もしないのも危険です。Aさんのケースを踏まえ、今すぐ動ける備えを3つ紹介します。

1.総返済額を「今の金利」で再計算する
住宅ローンを借りた当時の試算は、すでに現実と乖離しています。今の金利水準で残債・残期間を入力し直し、「実際にあといくら払うのか」を把握することが出発点です。

2.借り換えシミュレーションを一度やってみる
「借り換えるかどうか」を決める前に、今の残債・金利・残期間を入力したシミュレーションを試してみましょう。多くの金融機関で無料試算を受け付けています。判断はその後でも遅くありません。

3.借り換えを検討する、あるいは現在の金融機関に交渉する
シミュレーションの結果、借り換えにメリットがあるなら具体的に動き出しましょう。
一方、借り換えには事務手数料や登記費用などの諸費用がかかるため、費用倒れになるケースもあります。その場合は、今借りている金融機関に金利の引き下げを直接交渉するという手もあります。他行への借り換えと違って諸費用がかからない分、小さな金利差でもメリットが出やすく、交渉の余地は意外とあります。

まとめ

「5年ルールがあるから大丈夫」は、金利が少し動く程度なら正しい理解です。しかし今回のような利上げ局面では、元本返済の後ろ倒しと総返済額の膨張という形で、じわじわとダメージが蓄積します。

変動金利は「余裕があるから、もし上がったら対応できる」という人向けの選択肢です。住宅ローンは数千万円・数十年にわたる契約なので、「組んだらそれで終わり」ではなく、金利環境が変わるたびに見直す習慣が、長い目で見た家計の安定につながります。不安を感じたら、まずFPや住宅ローンアドバイザーへの相談から始めてみてください。


監修・執筆:柴田 充輝
厚生労働省や保険業界・不動産業界での勤務を通じて、社会保険や保険、不動産投資の実務を担当。FP1級と社会保険労務士資格を活かして、多くの家庭の家計見直しや資産運用に関するアドバイスを行っている。金融メディアを中心に、これまで1,200記事以上の執筆実績あり。

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