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「壁を超えると損になる」シフト調節する40代主婦→10年間何も変えてないはずが…ある日、給与明細を見て“困惑したワケ”

  • 2026.5.7
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。金融機関でマネージャーを務めながら、家計や社会保険のご相談に日々向き合っている中川です。

パートで働く方の多くが、「年収130万円を超えなければ夫の扶養に入れる」と意識して勤務時間を調整しています。けれどその感覚で何年も働いてきた結果、ある月から突然保険料が天引きされる方が増えています。

今日は、2026年の制度変更で起こりはじめた、社会保険料の意外な落とし穴をご紹介します。

「130万さえ守れば安心」と信じてきたAさん

40代でパート勤務をしているAさん(仮名)は、長年「年収130万円」の壁を意識して働いてきました。

月収はおよそ10万円前後。夫の扶養に入っていれば社会保険料はかからず、年末調整も会社が処理してくれる、その安心感の中で働き方を組み立ててきたのです。

シフトを増やしたい月があっても、12月の給与で年収を計算し直し、年末ぎりぎりに調整する。そんな働き方を毎年繰り返してきました。最近は子どもの教育費が増え、もう少し稼ぎたいと感じる場面もあったといいます。それでも、「壁を超えると損になる」という話を周囲から聞き、シフトを増やすことには慎重でした。

10年以上、ほぼ同じリズムで働き続けてきたAさん。「自分のペースは変わらないのだから、扶養から外れる心配はない」と信じていいました。年収の壁という言葉は知っていても、それ以外に基準があるとは考えてもみなかったといいます。

ある月、給与明細を見て手が止まった

ある月、いつもより振込額が少ないことに気づいたAさん。明細を確認すると、これまで控除されていなかった健康保険料と厚生年金保険料の項目が新しく加わっていました。会社に問い合わせたところ、「今月から社会保険の加入対象になりました」との返答です。「年収130万円までしか働いていないのに、なぜ」と困惑したといいます。

実は、社会保険の扶養を外れるラインには、年収130万円とは別に、もう一つの基準があります。週20時間以上働き、月の賃金が8.8万円以上で、勤務先の従業員数が一定以上の場合、本人が社会保険に加入する仕組みです。

この対象企業の範囲は近年段階的に広がっており、2024年10月には従業員51人以上の企業まで拡大されました。Aさんの勤務先も、その後の従業員増加で対象に該当するようになっていたのです。さらに2026年10月には、月8.8万円という金額の条件も撤廃される見通しと言われています。今後は勤務先の規模や賃金額を問わず、適用がますます広がる方向です。

Aさんの場合、月15,000円ほどの保険料が新たに天引きされ、年間にすれば18万円を超える手取り減になる計算でした。「働き方は何も変えていないのに、急にこの金額が引かれるなんて」と、Aさんは戸惑いを隠せなかったといいます。

これから働く人が確認したいこと

「130万円さえ守れば」という感覚は、これからの時代には通用しなくなりつつあります。給与明細を見て、健康保険料や厚生年金保険料の欄が新しく加わっていないか、月ごとの控除額が前月と比べて変わっていないかを確認するようにしてください。

また、勤務先から「社会保険の加入対象になります」というお知らせが届くこともあります。封書や社内通知を見落とさないようにしておくと安心です。会社の従業員数が増えたタイミングや、自分のシフト時間が増えたタイミングは、特に注意が必要です。

分からないことがあれば、年金事務所や、厚生労働省の「年収の壁突破・総合相談窓口」に相談してみましょう。働き方を見直す前に、最新の制度を確認することが、思わぬ手取り減を避ける第一歩になります。


執筆・監修:中川 佳人(なかがわ よしと)(@YoshitoFinance)
金融機関勤務の現役マネージャー。1級ファイナンシャル・プランニング技能士。 20年にわたり、資産形成や家計管理・住宅ローンなどの実務に携わってきた経験を活かし、記事の監修や執筆を行っている。 専門的な内容を、誰にでもわかりやすく伝えることをモットーとしている。

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