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“評価額3,500万円”の実家を引き継いだ50代息子→「相続税はほぼかからない」はずが…税理士から告げられた“驚きの一言”

  • 2026.5.6
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

実家を相続するとき、「うちの家は大した金額にはならないだろうし、相続税はほぼかからないだろう」と考える方は少なくありません。

しかし、実際にはそう簡単ではないのです。土地の評価額を大きく下げられる「小規模宅地等の特例」もありますが、適用条件を見落とすと、想定外の納税額となることもあります。

今回は、実家を相続したのに小規模宅地等の特例が使えず、思いがけない相続税がかかったケースをご紹介します。

父の実家を相続、「特例があるから大丈夫」と思っていた

今回ご紹介する50代男性・Aさん(仮名)は、長らく離れた街で奥様やお子様と暮らし、ご自身も持ち家を所有していました。

実家のあるエリアからは電車で2時間ほど離れた場所で、年に数回、お父様の様子を見に帰る生活を続けてきたといいます。

ある日、一人暮らしをしていたお父様が亡くなります。お母様はすでに他界しており、Aさんは一人で実家を引き継ぐことになりました。

実家は土地の評価額が3,500万円ほど。決して小さな金額ではありません。

ただ、Aさんには安心材料がありました。

以前、知人から「実家を相続するときは小規模宅地等の特例(一定の要件を満たせば居住用の土地評価額を大幅に減らせる制度)を使えば、相続税はほぼかからない」と聞いていたのです。

「特例で評価が大きく下がるなら、自分のケースでも問題ないはず」

Aさんはそう考え、相続税の申告は知人に紹介された税理士に任せることにしました。

税理士から告げられた「この特例は使えません」

数週間後、必要書類をひと通り揃え、税理士事務所を訪れたAさん。固定資産税の納税通知書や不動産の評価書類をテーブルに広げ、相続税の申告に向けた打ち合わせを進めていきました。

途中、書類を確認していた税理士が、ふと手を止めて、言葉を選びながら静かに切り出します。

「Aさん、この特例なのですが…ご事情を伺うかぎり、適用は難しいかもしれません」

小規模宅地等の特例は、誰でも使える制度ではありません。

配偶者以外の相続人がこの特例を使うには、原則として「亡くなった方と同居していた」ことが必要です。同居していなくても適用できる例外(いわゆる家なき子特例)もありますが、こちらも「相続開始前3年以内に、自分または配偶者が所有する家屋に住んでいない」などの条件がついています。

Aさんは離れた街で持ち家暮らし。同居要件にも、家なき子要件にも当てはまりませんでした。

つまり、土地の評価額3,500万円はそのまま、減額なしで課税対象となります。

預貯金など他の遺産と合わせれば、相続税の基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を上回る見込みでした。

「制度の名前は知っていたのに…」

Aさんはしばらく言葉を失ったといいます。

制度は「名前を知っている」だけでは身を守れない

相続税の特例は、名前を聞いたことがあるだけでは身を守れません。

「特例がある」と「自分が使える」は別の話。要件を一つでも満たさなければ、特例は受けられないのです。

Aさんのケースでも、相続が発生する前に税理士へ一度相談していれば、家族構成や住まいの状況に応じて、別の対策で備える余地があったかもしれません。

相続は突然訪れますが、ご両親が高齢になってきたら、「もし今相続が起きたらどうなるか」を一度試算しておくだけで、見える景色は変わります。

「うちは大した財産じゃないから」と思っていても、実家の土地評価が高い地域では、特例の有無で納税額が大きく変わるケースもあるのです。

気になる方は、早めに税理士など専門家へ相談してみてはいかがでしょうか。


執筆・監修:中川 佳人
金融機関勤務の現役マネージャー。1級ファイナンシャル・プランニング技能士。20年にわたり、資産形成や家計管理・住宅ローンなどの実務に携わってきた経験を活かし、記事の監修や執筆を行っている。専門的な内容を、誰にでもわかりやすく伝えることをモットーとしている。

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