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“貯金160万円”で会社を退職→「数か月なら何とかなる」はずが…その後、40代会社員に届いた“1通の納付書”に青ざめたワケ

  • 2026.5.24
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは、マネーシップス代表 IFAの石坂です。

退職すると、毎月の給与がなくなるため、「税金の負担もすぐ軽くなる」と考えてしまう人は少なくありません。

しかし、住民税は、原則として前年の所得をもとに計算されます。そのため、退職後に収入が減っていても、前年の所得が高ければ、当面は住民税の負担が残ります。

会社員の間は給与から天引きされるため、住民税を自分で納めている感覚が薄くなりがちです。今回は、退職後に届いた住民税の納付書で家計が苦しくなった40代会社員の事例をもとに、退職前に確認しておきたいポイントを見ていきます。

「退職したら税金も減る」は思い込みだった

Aさんは45歳の会社員です。15年間勤めた会社を9月末で退職しました。

退職前の年収は約620万円。毎月の手取りは30万円台で、住民税は給与から天引きされていました。

退職後は少し休みながら、3か月以内を目安に転職先を探す予定でした。生活費は毎月約28万円。

貯金は約160万円あったため、「数か月なら何とかなる」と考えていたそうです。

ところが、退職してしばらくすると、市区町村から住民税の納付書が届きました。金額は残りの月分を含めて約16万円。

※なお、実際の住民税額は、前年の所得や各種控除、自治体、退職時期によって変わります。Aさんの金額は、退職後にまとまった納付が発生する可能性を示すための目安です。

Aさんは、退職後の収入がほとんどない状態だったため、この金額に驚きました。会社員のときは、毎月2万円前後の住民税が給与から引かれていました。

しかし、手取り額だけを見ていたため、住民税を自分で負担している意識はあまりありませんでした。さらに、国民健康保険料や国民年金保険料の支払いも必要になりました。

月28万円の生活費に加えて、税金や社会保険料の支払いが出てきたことで、Aさんは予定より早く貯金を取り崩すことになりました。

退職から3か月後には、貯金160万円のうち90万円近くを使ってしまいました。

転職活動にも焦りが出てきて、「もう少し退職前にお金の流れを確認しておけばよかった」と感じるようになったのです。

退職後に届く住民税は「前年の所得」がもとになる

住民税で注意したいのは、原則として前年の所得をもとに税額が決まる点です。

会社員の場合、住民税は原則として前年所得に対する税額を、6月から翌年5月まで毎月の給与から天引きして納めます。

この仕組みを特別徴収といいます。

退職すると給与からの天引きが止まるため、残りの住民税をどう納めるかが問題になります。

納付方法は、退職する時期によって変わります。

1月から4月に退職する場合は、原則として5月分までの未徴収分が、最後の給与や退職金から一括徴収されます。

5月に退職する場合は、特別徴収の最終月にあたるため、通常は5月分の住民税が最後の給与から徴収されます。

6月から12月に退職する場合は、退職月分まで給与から天引きされ、残りは普通徴収に切り替わるか、本人の希望により一括徴収されることがあります。

普通徴収になると、市区町村から納付書が届き、本人が納めます。

Aさんのように9月に退職した場合は、退職後に納付書が届く可能性があります。そのため、退職後にまとまった住民税の納付書が届いても、必ずしも誤りではありません。

退職前には、給与明細で毎月の住民税額を確認しておくことが大切です。

たとえば、毎月2万円の住民税が引かれている場合、半年分で約12万円、10か月分で約20万円になります。

実際の金額は、前年の所得、所得控除、自治体、退職時期によって変わります。転職先がすぐ決まっている場合は、勤務先を通じた手続きにより、新しい勤務先で特別徴収を続けられることもあります。

一方で、独立する場合や、しばらく無職の期間がある場合は、住民税を本人が納める前提で資金を準備しておく必要があります。

FP視点で見る退職前のお金の残し方

退職後の家計で大切なのは、「収入がなくなる期間」だけを見ることではありません。

給与天引きで見えにくかった支払いが、退職後に表へ出てくることを考えておく必要があります。

特に確認したいのは、住民税、健康保険料、年金保険料です。生活費だけを見て「数か月分の貯金がある」と考えても、税金や社会保険料を含めると、想定より早く資金が減ることがあります。

Aさんの場合、生活費は月28万円でした。

生活費だけで見ても、3か月で84万円、6か月で168万円がかかります。

ここに住民税や社会保険料の支払いが加わるため、貯金160万円では十分な余裕があるとはいえませんでした。

退職を考え始めたら、給与明細を見て、毎月いくら住民税が引かれているかを確認しましょう。そのうえで、退職後に何か月分の支払いが残るのか、会社や市区町村に確認しておくと安心です。

あわせて、退職後の健康保険をどうするかも確認しておきたいところです。

退職前に加入していた健康保険を任意継続するのか、国民健康保険に入るのか、家族の健康保険の被扶養者になるのかによって、保険料の金額や必要な手続きは変わります。

転職、独立、定年退職のいずれであっても、退職直後は収入と支出の流れが大きく変わります。退職は、給与が止まるだけではありません。給与から自動で引かれていた支払いを、自分で管理する段階に変わるタイミングでもあります。

「退職後は税金がすぐ軽くなる」と考えるのではなく、当面は前年の所得をもとに計算された住民税の負担が残ることを前提に、手元資金を準備しておくことが大切です。


※退職後の住民税の一括徴収の取り扱いや、国民健康保険料の具体的な試算額は、前年の正確な所得額、お住まいの市区町村の税率、および扶養家族の人数によって大きく異なります。退職に伴う具体的な税負担のスケジュールを知りたい場合は、自己判断せず、事前にお勤め先の人事総務部や、お住まいの役所の税務窓口へ直接ご確認ください。

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