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“月18万円の年金”で暮らす70代夫婦→「うちは住民税非課税世帯」と思いきや…数ヶ月後、役所で判明した“思わぬ落とし穴”

  • 2026.5.23
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは、マネーシップス代表 IFAの石坂です。

給付金や支援制度の案内でよく出てくるのが、「住民税非課税世帯」という言葉です。年金生活の方の中には、「収入が少ないから対象になるはず」と考える方もいます。

しかし、住民税非課税世帯かどうかは、本人の収入だけで決まるとは限りません。同じ世帯に住民税が課税されている家族がいると、本人の年金収入が少なくても、対象外になることがあります。

今回は、70代夫婦が給付金の通知が届かず困惑した事例をもとに、住民税非課税世帯の境目を整理します。

「年金生活だから対象」は危ない?通知が来なかった70代夫婦の誤算

72歳のAさん夫婦は、夫婦ともに年金中心で生活していました。夫の年金収入は年間約145万円、妻の年金収入は年間約80万円です。夫婦合わせた年金収入は年間約225万円、月にすると約18万7,000円ほどでした。

一方で、食費約7万円・光熱費約3万円・通信費約1万5,000円・医療費約2万円のほか、住居の維持費や保険料などを合わせると、毎月の支出は約22万円です。年金収入だけでは毎月3万円ほど不足し、年間では約36万円を貯蓄から取り崩していました。
そのためAさんは、「うちは住民税非課税世帯かもしれない」と考えていました。

ある日、近所の知人から「給付金の案内が届いた」と聞きます。その知人も70代の夫婦2人暮らしだったため、Aさん夫婦は自分たちにも通知が届くと思っていたそうです。しかし、1か月たっても2か月たっても、市区町村から案内は届きません。

役所に確認すると、給付金の対象外と説明されました。理由は、同じ住民票上の世帯に、会社員の長男が入っていたためです。
長男は45歳で、給与収入は年間約420万円。毎月8万円を家に入れていましたが、食費や日用品の支払いは親世帯と分けていました。ただし、長男には住民税が課税されていました。

Aさん夫婦としては、長男とは家計を分けている感覚でした。
しかし、給付金の判定では、住民票上の世帯全体の課税状況が見られる場合があります。本人たちの年金収入が少なくても、同じ世帯に住民税が課税されている人がいると、住民税非課税世帯として扱われないことがあるのです。

本人が非課税でも「世帯」が課税なら対象外になることがある

給付金の対象は制度ごとに異なりますが、住民税非課税世帯向けの給付では、多くの場合、世帯全員の住民税均等割が非課税であることを条件に判定されます。

ここで大切なのは、「個人」と「世帯」は違うという点です。
夫が非課税、妻も非課税であっても、同じ世帯の子どもが課税されていれば、世帯全体としては非課税世帯に該当しない場合があります。つまり、年金額だけを見て「自分は対象」と判断するのは早いのです。

また、給付金は毎年同じ内容で行われるものではありません。近年は、10万円給付や3万円給付、児童がいる世帯への加算など、制度ごとに対象や金額が異なる給付が行われています。このように、給付額や対象条件は制度によって異なります。

さらに、税法上、住民税が課税されている別世帯の家族に扶養されている人だけの世帯は、対象外とされることもあります。

住民税非課税世帯かどうかは、収入金額だけでなく、世帯構成や扶養関係も含めて確認する必要があります。

「非課税世帯」の注意点とポイント

Aさん夫婦の勘違いは、収入の少なさだけで判断してしまったことです。

給付金の対象になるかどうかは、年金収入だけでは決まりません。住民税の課税状況・住民票上の世帯構成・基準日・扶養関係・自治体の給付内容によって判断が変わります。

特に、親子で同居しているケースは注意が必要です。生活費を別にしていても、住民票上で同じ世帯になっていれば、制度上は同一世帯として見られることがあります。

一方で、世帯分離をすれば必ず給付金の対象になるわけではありません。介護保険料・国民健康保険料・医療費負担などに影響する可能性があります。

給付金だけを目的に判断せず、市区町村の窓口で確認することが大切です。

FP視点で見る「非課税世帯」は家計全体で確認する

給付金を家計の前提にしすぎないことが大切です。

給付金は、年度や自治体によって対象者・金額・申請方法が変わります。まずは、自分と家族の住民税が課税されているかを確認しましょう。

次に、住民票上で誰と同じ世帯になっているかを見ます。さらに、税法上、住民税が課税されている別世帯の家族の扶養に入っていないかや、自治体の最新案内も確認しておく必要があります。

「年金生活だから対象になるはず」「近所の人が受け取ったから自分も同じ」と思い込むのは危険です。給付金の有無だけで家計を考えるのではなく、住居費、保険料、通信費、医療費などの固定費も見直しておきましょう。

通知が来ない場合は自己判断せず、市区町村に早めに確認しておくことが大切です。


※各種給付金の支給条件や住民税非課税の基準(均等割・所得割の判定)は、お住まいの市区町村の条例や、その年度の国の方針によって細かく異なります。また、世帯分離による保険料や介護費用の増減は各家庭の所得状況によって正反対の結果になることがあるため、手続きを行う前に必ずお住まいの役所の税務・福祉窓口へ直接ご相談ください。

執筆・監修:石坂貴史
証券会社IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー・証券外務員)、2級FP技能士、AFP、マネーシップス代表。累計1,200件以上のご相談、金融関連の記事制作、校正・監修を手掛けています。「金融・経済、不動産、保険、相続、税制」の6つの分野が専門。お金の運用やライフプランの相談において、ポートフォリオ理論と行動経済学を基盤にサポートいたします。

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