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「繰り下げるほど得」65歳からの年金受給を見送り。“月15万→21万”に増えるはずが…3年後、68歳男性を襲った“恐ろしい悲劇”

  • 2026.4.15
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。金融機関勤務の現役マネージャーとして、日々さまざまなお金のご相談に向き合っている中川です。

「年金は繰り下げるほど得になる」

そう考える方は多くいらっしゃいます。繰下げ受給は、受給開始を遅らせることで年金額が増え、老後の安心につながる制度です。

しかし、その前提には「長生きすること」があります。この前提が崩れたとき、結果は大きく変わります。

今回は、年金の繰下げを選択したものの、一度も受け取ることなく亡くなった60代男性の事例をご紹介します。

「70歳まで繰下げれば安心」と考えた判断

今回ご紹介するのは、60代後半のAさん(仮名)です。定年後は再雇用で働きながら生活していました。

退職金と貯蓄があり、「年金は急いで受け取らなくてもよい」と考えていたといいます。

そんな中で知ったのが繰下げ制度でした。

「70歳まで繰下げれば増える」「長生きすれば得になる」

こうした考えから、65歳からの受給を見送りました。

繰下げ受給の仕組みとメリット

年金は受給開始を遅らせることで増額されます。

1カ月ごとに約0.7%増え、70歳まで繰下げると約42%増となります。

例えば月15万円の場合、約21万円まで増える計算です。長く生きるほど総受給額は大きくなるのです。

想定外だった「受給前の病気」

しかし、68歳のとき、病気が発覚します。治療の影響で働けなくなり、収入は途絶えました。

生活は貯蓄頼みとなります。それでも「もうすぐ70歳」と考え、受給を見送りました。

結果的に、Aさんは70歳前に亡くなってしまったのです。

一度も受け取れなかった年金

Aさんは年金を一度も受け取ることができませんでした。

65歳から受給していれば、月15万円で3年間で約540万円となります。この金額を受け取る機会を失ったことになります。

繰下げは、「長生き前提」の制度なのです。

損益分岐点は「何歳まで生きるか」

繰下げには損益分岐点があり、一般的には80歳前後まで生きると、65歳から受け取りを開始した場合より、受け取る総額が多くなります。

それ以前に亡くなると、受給総額は少なくなる可能性があるのです。

繰下げ受給は長生きを前提とした制度であり、何歳まで生きるかは誰にもわからないという点は理解しておく必要があります。

「得かどうか」だけで判断しない

年金は「増やすこと」だけが目的ではありません。

「いつ必要か」「どのくらい生きるか」
こうした不確実性を踏まえて判断することが重要です。

65歳から受け取りを開始し、少しでも体が動くうちに、家族や友人たちと思い出を作ることにお金を使うという考え方もあります。

老後生活の柱である年金の受給を遅らせ、少しでも年金額が増えることを望むのか、早く受け取りを開始し、思い出を作ることにお金を使うのか。個人の価値観が問われるところです。

まずは繰下げ受給の制度を理解して、ライフプランをもとに自分に合った受給方法を考えてみましょう。

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