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保険会社「あと5年待てば返戻率が上がる」→終身保険に月2万円払い続け…20年後、40代主婦が“青ざめたワケ”【お金のプロは見た】

  • 2026.4.22
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは。FPとして家計相談やお金に関する情報発信を行っている柴田です。

「担当者の方に『あと5年待てば返戻率が上がりますよ』と言われて、もう10年になります。でも、なんとなく不安で…」

そう話してくれたのは、20年以上終身保険を払い続けている47歳主婦・Aさん(仮名)。

保険証券を一緒に確認してみると、払込総額と将来の解約返戻金の差にAさんは悩んでいる様子。「老後の備えのつもりだったのに、これって本当に貯蓄になっているんでしょうか」と、青ざめた表情で呟いていました。

「貯蓄型保険」はなぜ貯まりにくいのか

終身保険や養老保険といった貯蓄型保険は、毎月の保険料の一部が死亡保障のコストに充てられます。また、保険料の一部は運用に回っています。

純粋に保険料と貯蓄として積み立てているわけではないため、払い込んだ金額がそのまま戻ってくるわけではありません。元本割れの状態が解消されるまでに20〜30年かかるケースも珍しくないのです。

ここで少し立ち止まって考えてみてください。日経平均株価が過去最高値を更新する時代に、コツコツ払い続けた保険が元本割れしているのは、冷静に考えるとおかしな話だと思いませんか。それだけ、保険会社や販売会社が受け取っているコスト(手数料)が高いということに他なりません。

Aさんの場合、月々2万円・20年間の払込総額は480万円。それに対して現時点の解約返戻金は約320万円。160万円のマイナスです。さらに老後を迎える65歳時点でようやく戻ってくる見込み額は約510万円。480万円を20年以上かけて510万円にする計算で、増加分はわずか30万円です。

ここで見落としてはいけないのがインフレと機会損失です。同じ20年間、月2万円を積立NISAでインデックスファンドに積み立てた場合、年利4%で運用できたとすると約735万円になる試算です。同じお金・同じ期間でも、200万円以上の差が生まれる可能性があります。

担当者に相談すると必ず止められる理由

Aさんのように「解約を相談したら止められた」という話はよく聞きます。これには構造的な理由があります。

保険の解約は、保険会社にとっての損失です。契約が続く限り会社には保険料が入り続けますが、解約されるとその収益が途絶えてしまう。担当者はそういった会社の方針のもとで動いているため、「あと少し待てば」という言葉が出やすい構造になっています。親切なアドバイスに聞こえても、利益相反の構造が背景にあることは知っておく必要があります。

だからこそ、解約を検討するときは担当者に会いに行ってはいけません。会ってしまうと、丁寧な説明や人間関係のしがらみで、気づけば「もう少し待ちましょう」という流れになりがちです。解約の意思が固まったら、まずコールセンターに電話して「解約を希望します」と伝えるだけで手続きは進められます。もし「担当者と面談しないと解約できません」と言われたら、「それは約款のどこに書いてありますか?」と聞いてみてください。基本的に、そのような規定は存在しません。

自分の保険を見直す3つのチェックポイント

「では今すぐ解約すべきか」というと、FPとしての正直な意見を言えば、多くの場合は解約して解約返戻金を投資に回したほうが合理的です。払い続けることで得られる上乗せ分より、同じお金をインデックスファンドで運用した場合の期待値のほうが大きいケースが圧倒的に多いからです。

ただし例外があります。それは満期や払込完了まであと数年というタイミングです。この時期は返戻率が急速に上がることが多く、解約による損失が大きくなりやすい。「あと2〜3年で払込が終わる」という方は、一度返戻金の推移表を確認したうえで判断してください。

それ以外の方は、まず保険証券を手元に用意して次の3点を確認してみてください。

  1. 払込総額と解約返戻金の差額:現時点でいくら損をしているかを把握します。証券の「解約返戻金表」を見れば、今解約した場合の金額が確認できます。
  2. 払い続けた場合の最終的な戻り額:満期時にいくら戻るかを確認し、払込総額と比較します。増加分が少なければ、解約して投資に回すことを真剣に検討する価値があります。
  3. 死亡保障の必要性:解約すると死亡保障がなくなります。掛け捨て保険で同等の保障を確保したうえで、残りを積立NISAに回す。これが多くの場合、最もコストパフォーマンスの高い選択です。

まとめ

「解約=損」は必ずしも正しくありません。解約タイミングによっては確かに損が出ますが、払い続けることで生じる機会損失や、インフレによる目減りを含めて考えると、「待つ」が正解でないケースも多いのです。

まずは自分の保険証券の数字を、感情を抜きに眺めてみることから始めてみてください。「なんとなく続けている」保険が、老後の資産形成の足かせになっていないか、一度しっかり確かめる価値はあるはずです。


柴田 充輝
厚生労働省や保険業界・不動産業界での勤務を通じて、社会保険や保険、不動産投資の実務を担当。FP1級と社会保険労務士資格を活かして、多くの家庭の家計見直しや資産運用に関するアドバイスを行っている。金融メディアを中心に、これまで1,200記事以上の執筆実績あり。

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