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65歳男性「ねんきん定期便で月14万円もらえると書いてあった」→初めての振込額を確認すると?…その後、発覚した“想定外の事実”

  • 2026.4.18
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは。FPとして主に家計相談やお金に関する情報発信などを行っている柴田です。

65歳男性・Aさん(仮名)から、こんな言葉が出てきました。「ねんきん定期便で月14万円もらえると書いてあったので、それを前提に生活設計したんです。でも初めての振込額を見たら11万円台で、ショックを受けました」

Aさんは長年会社員として働き、65歳から年金生活に入りました。事前に「ねんきん定期便」で見込額を確認し、月14万円なら何とかやりくりできると考えていたのです。ところが現実の手取りは、想像よりはるかに少ないものでした。

額面と手取りの「引き算」の中身

年金は「額面」がそのまま振り込まれるわけではありません。給与と同じように、いくつかの項目が天引き(特別徴収)されます。Aさんの場合、月14万円の額面から差し引かれていたのは次のようなものでした。

まず介護保険料が月5,000円ほど。次に国民健康保険料(または後期高齢者医療保険料)が月1万円前後。さらに所得税が数千円、そして退職翌年に重くのしかかってくるのが住民税で、こちらも月1万円前後になることがあります。これらを合計すると、月2万〜3万円が天引きされる計算です。年間にすれば30万〜40万円もの差になります。

退職翌年に住民税が重いのはなぜ?

特にAさんを驚かせたのが住民税の負担でした。住民税は前年の所得に基づいて計算されます。

つまり退職した翌年は、現役時代の高い給与に対する住民税が、年金生活になってから請求されるのです。

「収入は年金だけになったのに、税金は会社員時代の水準」という、いわばタイムラグによる重さがあります。これを知らずに生活設計をすると、退職1年目に資金繰りが一気に苦しくなるので要注意です。

手取りを少しでも増やすには

年金からの天引きは避けられませんが、工夫の余地はあります。1つは各種控除を漏れなく申告することです。年金収入のみの方にも公的年金等控除が適用されますが、医療費控除や社会保険料控除(家族分の国民健康保険料を払っている場合など)を確定申告で追加すれば、所得税・住民税が戻ってくる可能性があります。

また、iDeCoや個人年金などの私的年金を組み合わせておくと、公的年金の手取り目減り分を補えます。退職前であれば、退職金の受け取り方(一時金か年金か)によっても税負担が変わるので、早めの試算が欠かせません。

定年前にやっておきたい「手取り試算」

ねんきん定期便の額面をそのまま生活費の前提にしてはいけません。定年前にぜひやっておきたいのが、手取りベースでの年金試算です。日本年金機構の「ねんきんネット」では、より詳細な見込額を確認できます。そこから介護保険料・健康保険料・税金をざっくり差し引いて、「実際に使えるお金」を把握しておきましょう。

目安としては、額面の8割前後が手取りになると考えておくと安全です。そして試算してみて「これでは少し心もとない」と感じたら、早めに対策を考えましょう。私が特におすすめしたいのは、「できるだけ長く働くこと」です。

働いている間は給与収入を得られるので、その分年金を取り崩さずに済みます。さらに厚生年金に加入し続ければ、将来受け取る年金額そのものも増えていきます。加えて活用したいのが年金の繰下げ受給です。受給開始を65歳から1か月遅らせるごとに年金額は0.7%増え、最大75歳まで繰り下げれば84%増にもなります。

生涯にわたって増額された年金を受け取れるので、長生きするほど効果が大きい仕組みです。また、働けば心身に良い影響がもたらされ、健康維持にもつながるかもしれません。結果的に、医療費や介護費の削減といった経済的メリットを得られる可能性があります。

「働けるうちは働いて、年金は後ろにずらす」という組み合わせは、老後の手取りを底上げする王道と考えています。

まとめ

「年金14万円」と「手取り14万円」はまったく別物です。Aさんのように、額面を信じて生活設計してしまうと、いざ年金生活が始まってから慌てることになります。

大切なのは、定年を迎える前に「自分の年金は手取りでいくらになるのか」を具体的に把握しておくこと。そして、その金額で本当に暮らせるのかをシミュレーションしておくことです。まずは現況を把握したうえで、具体的な対策を考えていきましょう。


柴田 充輝
厚生労働省や保険業界・不動産業界での勤務を通じて、社会保険や保険、不動産投資の実務を担当。FP1級と社会保険労務士資格を活かして、多くの家庭の家計見直しや資産運用に関するアドバイスを行っている。金融メディアを中心に、これまで1,200記事以上の執筆実績あり。

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