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「見知らぬ人がスーツケースを…」マンションで苦情相次ぐ“無断民泊”。実は禁止なのに居直る所有者と規制の現実

  • 2026.5.5
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。不動産管理会社で10年以上の現場実務に携わってきた、マンション管理士のS.Kです。近年、インバウンド需要の回復により街には外国人観光客の姿が目立ちます。

こうした活気の一方で、分譲マンションの一室が無断で民泊に使われるトラブルが各地で急増しています。今回は、管理規約で禁止されているにもかかわらず民泊営業が行われ、対応に苦慮したマンションの事例と最新の規制動向を解説しましょう。

見知らぬ人が出入りする恐怖と区分所有者の意見

あるマンションの管理員室に「見知らぬ人が大きなスーツケースを引いてエントランスに入ってくる」という報告が相次ぎました。深夜に共用廊下で大きな話し声が響き渡り、指定日以外にゴミが放置されるなど、居住者の生活環境は急激に悪化します。

調査の結果、ある住戸が無断で民泊を運営している事実が発覚しました。管理組合が是正を求めたものの、投資目的で購入した不在の区分所有者は「民泊は合法な事業だ」と反論して応じません。

規約に「民泊禁止」と明記していても、違反を是正するには管理組合が自ら行動を起こす必要があります。場合によっては、区分所有法57条に基づく行為停止等の請求といった法的手続きが必要になり、多額の弁護士費用が発生するのです。一人の違反者のために全員の管理費が使われる事態に対し、居住者間で大きな不満が生じる結果となりました。

急増するトラブルと自治体主導で進む法規制の実態

このようなトラブルを背景に、全国の民泊の届出件数は2024年時点で累計5万件を超え、事業廃止を差し引いた実稼働の届出住宅数は2万件超にのぼります。東京都内だけでも届出件数は累計1万件を超えている実情です。

事態を重く見た自治体は、独自の条例制定に乗り出しました。豊島区では年間120件以上の苦情が寄せられたことを受け、営業可能期間を年180日から120日へ大幅短縮する条例改正を2025年12月に可決しました。

大阪市も、特区民泊の新規受付を2026年5月29日で終了すると正式に決定しています。東京23区の多くで、独自の上乗せ条例による制限が実施または検討されている状況です。投資目的で購入された住戸は所有者が居住していないため、管理組合との意思疎通が希薄になりやすく、管理上の大きなリスク要因といえます。

違約金条項の導入と物件選びにおける防衛策

違反を未然に防ぐためには、管理規約に「民泊禁止」と記載するだけでは不十分です。「違反時には月額数万円の違約金を徴収する」といった具体的な罰則条項を設ける対応が、強い抑止力につながります。

これからマンションの購入を検討される方は、投資用住戸の比率がどの程度かを確認するのがおすすめです。また、自治体が独自の条例で民泊を厳しく制限しているエリアを選ぶ視点も、安全な住環境を守る有効な手段となります。



ライター:S.K(マンション管理士)
不動産管理会社で10年以上の現場実務に携わり、業界団体の評価制度策定委員会に所属していた経験がある。現在はライターとして、自身の豊富な経験・知見をもとに、一次情報を盛り込んだ不動産記事を多数執筆している。


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