1. トップ
  2. 60代の下階住人「夜10時過ぎに洗濯機がうるさい」静音設計のはずなのに…30代夫婦が見落とした“盲点”

60代の下階住人「夜10時過ぎに洗濯機がうるさい」静音設計のはずなのに…30代夫婦が見落とした“盲点”

  • 2026.5.1
undefined
出典:photoAC(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。マンション管理士のS.Kです。マンションでの生活において、隣や上下階から聞こえてくる生活音は悩みの種になりやすい問題でしょう。生活音の中でも洗濯機の振動に関するトラブルは、当事者間の認識のズレが生じやすい典型的な事例です。

特に共働き世帯とシニア層では、生活のサイクルが異なるため、自分にとっての常識が相手には非常識と受け取られるケースがあります。今回は生活時間のズレから生じた騒音トラブルについて、規約に時間の制限がないマンションで、現実的な解決に至ったエピソードを紹介します。

認識のズレを生んだドラム式洗濯機の固体伝搬音

築20年で全40戸の分譲マンションを購入した、30代後半の共働き夫婦は、平日の帰宅が夜の10時前後になる生活を送っていました。子どもがいないため、帰宅後の夜10時半に洗濯機を回すのが彼らの日常でした。

しかしある日、階下に住む60代の単身女性から「夜10時を過ぎてからの洗濯機の音がうるさい」と管理会社経由でクレームが入ります。夫婦が使っていたのは購入して3年目のドラム式洗濯機で、静音設計のため特別に音が大きい機種ではないと認識していました。

実際には、ドラム式特有の衣類を持ち上げて落とす衝撃や、重い本体が脱水時に揺れる振動が、コンクリートの床を通じて階下に直接伝わっていたのです。これは壁や床を振動が直接伝わる「固体伝搬音」と呼ばれる現象です。空気を伝わる音の量が小さくても、床を伝わる振動が階下の部屋まで響いてしまうのです。

規約の空白地帯と歩み寄りによる現実的な解決

トラブルを受けて夫婦がマンションの管理規約を確認したところ、「迷惑となる騒音を出さないこと」という記載はあるものの、何時以降は禁止という具体的な基準は存在しませんでした。

管理会社に質問をしても、規約に具体的な基準がない以上、管理会社としても明確な回答は難しい状況だったのです。理事会でも生活音のガイドライン策定が議題に上がりましたが、ライフスタイルの違いから意見がまとまらず結論は出ません。

最終的に夫婦側が運用を見直し、帰宅後の夜間洗濯をやめて朝に仕上がるようにタイマー予約を活用する方法に変更します。さらに数千円の防振かさ上げ台を洗濯機の下に設置し、階下への振動伝達を物理的に軽減しました。これらの歩み寄りによって、階下からのクレームは無事に収束へと向かったのです。

電気代の節約と騒音配慮を両立するために

ドラム式洗濯機は縦型に比べて重量があり、回転による振動が床に伝わりやすい特性を持っています。防振かさ上げ台や防振ゴムの設置は、階下への振動を軽減する有効な手段です。

また、電気料金が深夜帯に割安になるプランを契約している世帯では、乾燥まで深夜に行いたいという動機が生まれやすいものです。しかし乾燥工程は数時間と長く振動も続くため、建物の構造によっては騒音トラブルの原因になりかねません。タイマー予約で朝の仕上がりに調整したり、週末にまとめて乾燥を回したりするなど、電気代の節約と周囲への配慮を両立する意識が求められます。

特に管理規約に生活音の時間帯制限が明記されていない場合、居住者間の認識の差がトラブルに直結するリスクが高まります。理事会として推奨される生活時間帯のガイドラインを提示しておくのが、トラブルの未然防止につながるでしょう。



ライター:S.K(マンション管理士)
不動産管理会社で10年以上の現場実務に携わり、業界団体の評価制度策定委員会に所属していた経験がある。現在はライターとして、自身の豊富な経験・知見をもとに、一次情報を盛り込んだ不動産記事を多数執筆している。


【エピソード募集】日常のちょっとした体験、TRILLでシェアしませんか?【2分で完了・匿名】