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相場より安い…3LDKマンションに飛びついた30代男性→数ヶ月後、後悔したワケ

  • 2026.5.1
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出典元:photoAC(画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。現役の不動産会社社長として、日々さまざまな土地や建物のご相談に向き合っている岩井です。

買い物をしているとき「今だけ」「あなただけ」という言葉に心が動いた経験はないでしょうか。特別扱いされているように感じると、冷静な判断が難しくなる場面は意外と多いものです。

不動産の世界でも、この限定感はよく使われます。特に「未公開物件」「あなただけの条件」という言葉は、購入意欲を強く刺激します。

今日は、その言葉を信じて購入した結果「相場より安いと思っていたのに、実は違った」と後悔した30代男性のエピソードをご紹介します。

「この価格で買えるのはあなただけ」と言われてその気になった

今から2年ほど前、30代前半の会社員Aさんがマイホーム購入を検討されていました。共働きで子どもが1人、将来を見据えて3LDKのマンションを探しているご家庭でした。

物件探しを進める中で、Aさんは不動産会社からある物件の案内を受けます。その会社の担当者が内見を終えた帰り際、こう切り出しました。

「この条件でご案内できるのは、正直Aさんだけです。まだ表には出していない情報なんです」

その一言で、Aさんの判断は大きく揺らぎました。

「他の人に知られたら、すぐに売れてしまうかもしれない」

そう感じたことで、冷静に比較する余裕がなくなっていきます。

さらに、提示された価格は周辺より少し安く見える水準でした。条件も悪くないと感じ「今決めるべき物件だ」と前向きに捉えるようになります。

結果として、十分な情報収集や比較を行わないまま、数日後には契約へと進む判断に至りました。

契約後に発覚した「値下げ履歴」という事実

引き渡しから数ヶ月後、Aさんは何気なく周辺の物件を調べ始めます。すると、似た条件の物件がほぼ同じ価格、場合によってはそれ以下で販売されていることに気づき、違和感を覚えました。

「本当にあの物件は特別だったのか」

そう感じたAさんは、当社へご相談に来られました。当社で物件の販売履歴や周辺事例を調査したところ、当該物件には次のような実態があったのです。

  • 過去に複数回の価格改定が行われていた
  • 販売期間は約8ヶ月と長期化していた
  • いわゆる「売れ残り物件」に近い状態だった

さらに、周辺の成約事例と照らし合わせても、当初提示されていた条件は決して「特別に有利」と言える内容ではありませんでした。

つまり、「あなただけ」という説明とは裏腹に、実際には誰でも購入できる状態にありました。売主としては早期売却を優先したい状況にあり、その中で“限定感”を演出する販売手法が取られていたと考えられます。

「安いと思った」が実は相場通りだった現実

Aさんが最も衝撃を受けたのは、「お得に買えた」という前提そのものが崩れた瞬間でした。

周辺の成約事例(実際に売れた価格)を確認したところ、購入した物件の価格は特別安いどころか、むしろやや高めの水準に位置していました。いわゆる“適正価格に近い、もしくは少し上”というラインです。

仮にそのタイミングで売却した場合の試算は以下の通りです。

  • 査定額:約3,580万円
  • 購入価格:約3,750万円
  • 差額:約▲170万円

短期間でこの差額が生まれるということは、購入時点で割安ではなかった可能性が高いといえます。

「あなただけの特別条件」という言葉により、相場との比較が抜け落ちていた結果です。特別に見えていた条件は、実際には誰でも手が届く価格帯に過ぎませんでした。

なぜこのような誤算が起きたのか

誤算が起きた原因は、情報を営業担当だけに依存してしまったことです。本来、購入前に確認すべきポイントは次の3つです。

  • 周辺の成約事例(いくらで実際に売れているか)
  • 価格改定履歴(過去に値下げされているか)
  • 販売期間(長く売れていない物件ではないか)

しかしAさんは、「あなただけ」という言葉を信じ、比較検討を行いませんでした。

不動産は情報の非対称性(売る側と買う側で持っている情報量に差がある状態)が非常に大きい市場です。だからこそ、一つの情報だけで判断することは非常に危険です。

「未公開」「限定」という言葉の裏側にある事情

未公開物件や「限定」という言葉は、必ずしも「お得」を意味するものではありません。むしろ、売主や仲介側の事情によって使われるケースも少なくないのが実情です。

  • 売れ残っている物件を早く売却したい
  • 価格設定を探っている段階(値付けの調整中)
  • 広告前に反応を見るテスト販売

このような背景があることも多く、「特別だから安い」とは限らない点に注意が必要です。重要なのは、その物件が適正価格かどうかを、自分自身で判断できる材料を持つことです。

特に「今だけ」「あなただけ」といった言葉が出てきたときほど、一度立ち止まる姿勢が求められます。

その冷静な一歩が、数百万円単位の損失や、後悔の残る住宅購入を避ける分岐点になります。



筆者:合同会社ゆう不動産 代表 岩井佑樹

不動産売買の専門家として仲介・査定・買取に携わりながら、不動産Webライターとして1,000記事以上を執筆。「売る力×伝える力」を軸に、情報発信と販売の両面から不動産の価値を高めている。派手さよりも誠実さを大切にし、地域に寄り添う姿勢で「早く・高く・安心」の取引を支える不動産の専門家。


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