1. トップ
  2. 「悪臭で買い手がつかない…」隣室の“ゴミ屋敷化”で発覚した、40代夫婦を苦しめる理不尽な現実

「悪臭で買い手がつかない…」隣室の“ゴミ屋敷化”で発覚した、40代夫婦を苦しめる理不尽な現実

  • 2026.4.29
undefined
出典:photoAC(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。マンション管理士のS.Kです。マンション生活において、隣にどのような人が住んでいるかは、日々の平穏を左右する重要な要素といえるでしょう。

今回は、隣室がゴミ屋敷化した影響で快適な暮らしが奪われ、売却さえも困難になった40代夫婦のエピソードを紹介します。

売却すら許されない環境的瑕疵という理不尽な現実

築18年で全30戸の分譲マンションに暮らす40代のRさんご夫婦は、3年前から隣室のゴミ屋敷化に悩まされていました。ベランダにまでゴミ袋が大量に積まれ、夏場になると異臭が漂ってきます。

共用廊下を経由して害虫が侵入してくることもあり、我慢の限界に達したRさんは物件の売却を検討し始めました。しかし相談先の不動産会社から、隣室がゴミ屋敷である事実は買主への告知事項に該当する可能性が高いと告げられます。

日常的な生活音レベルのトラブルであれば告知されないケースが多いものの、異臭や害虫被害のように生活に著しい支障をきたす場合は「環境的瑕疵(かんきょうてきかし)」として告知義務が生じる場合があるためです。

さらに深刻なのは、内見の際に異臭がする状態では、どれだけ価格を下げても買い手がつかないという厳しい現実でした。加害者は隣の居住者であるにもかかわらず、自分たちの資産価値が損なわれるという理不尽な状況にRさんは強く憤ります。

ベランダの規約違反を突破口にした管理組合の攻防

当初、管理組合は個人の専有部分(住居内のプライベートな空間)に対する問題への介入を渋っていました。Rさんが自治体に相談しても、まずは管理組合での対応を促されるばかりだったのです。

しかしRさんが、異臭や害虫の被害記録を写真と日時つきで克明に残していたことが、事態を動かすポイントとなりました。管理組合は、共用部分であるベランダへのゴミ放置が避難経路を塞いでおり、消防法上の問題および管理規約違反にあたると判断したのです。

これを強力な法的根拠として弁護士を通じて介入し、最終的には隣室の親族を巻き込んで大規模な清掃を実施させるに至りました。環境が大幅に改善されたため、Rさんは売却を取りやめて住み続けることを選択しました。

専有部分への立ち入りは法的に困難であっても、避難経路の阻害という共用部分のルール違反を追及するアプローチが、事態を打開する有効な糸口になったといえます。

被害の客観的な記録と購入前に見極めるプロの視点

ゴミ屋敷問題は当事者間のトラブルにとどまらず、放置すればマンション全体の資産価値を大きく下げる重大な管理課題です。もし被害に遭った場合は、客観的な証拠となる記録を早急に集め、理事会主導での対応を求めてください。

また中古マンションを購入する際は、隣接する住戸の様子をさりげなく確認する視点が欠かせません。

「共用廊下に私物が乱雑に置かれていないか」「ベランダに不用品が積み上がっていないか」をチェックすれば、ゴミをため込むタイプの居住者がいるリスクをある程度予測できるはずです。内見時には室内の設備だけでなく、周囲の環境や共用部分の使われ方にもしっかりと目を向け、安心して暮らせる物件を選び抜いてください。



ライター:S.K(マンション管理士)
不動産管理会社で10年以上の現場実務に携わり、業界団体の評価制度策定委員会に所属していた経験がある。現在はライターとして、自身の豊富な経験・知見をもとに、一次情報を盛り込んだ不動産記事を多数執筆している。


【エピソード募集】日常のちょっとした体験、TRILLでシェアしませんか?【2分で完了・匿名】