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「最悪、売ればいい」が最大の誤算に…手頃な価格でリノベ団地を買った40代夫婦が売却時に絶句したワケ

  • 2026.4.29
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。現役の不動産会社社長として、日々さまざまな土地や建物のご相談に向き合っている岩井です。

家を探す際に「月々の家賃とローン返済が同じなら、買ったほうが得ではないか」と考えた経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

最近は、若者を中心に“団地リノベーション”が人気を集めています。価格が手頃で、内装もおしゃれ。SNSでは魅力的な暮らしが数多く発信され「自分も住んでみたい」と感じる方が増えています。

一方で実際には「安く買えたのは良かったが、いざ売ろうとすると全く売れない」といった相談が後を絶ちません。

今日は「家賃並みで得」と考えて購入した団地が、数年後に大幅な値下げをしてもなかなか売れない家となってしまったご夫婦のエピソードをご紹介します。

家賃並みの支払いに惹かれ、即決してしまった

今から5年ほど前、私が担当した40代前半のAさんご夫妻の話です。当時は賃貸マンションにお住まいで、普段から奥様はこうおっしゃっていました。

「家賃を毎月10万円近く払っているのが、なんだかもったいなくて…」

ご主人も続けます。

「同じくらいの支払いで買えるなら、購入したほうが得だと思いました」

そこで候補に挙がったのが、築40年超の団地です。

  • 価格:約1,200万円
  • 月々の返済:約6万円
  • 管理費+修繕積立金:約3万円

合計しても、賃貸時代とほぼ同じ水準に収まります。内装はフルリノベーション済みで、見た目も非常にきれいな状態でした。

内見後、Aさんはこう言います。

「これなら全然アリですね。リノベできれいですし、最悪、転勤になってもすぐ売れるでしょう」

この“最悪売ればいい”という判断が、後に大きな誤算となっていきます。

住み心地は悪くなかったが、問題は“出口(売れるかどうか)”だった

購入後、生活自体に大きな不満はありませんでした。むしろ「買ってよかった」と感じていたそうです。

ただ、Aさんご夫妻はもともと転勤の可能性がある仕事でした。そのため「いずれ住み替える可能性がある」という前提はあったはずです。

そして3年後、ご主人に転勤の辞令が出ます。

「家の売却を考えたいのですが」

そう相談を受け、私は査定を行いました。そして、提示した金額は約850万円。

Aさんは驚きます。

「え?1,200万円で買ったのに、そんなに下がるんですか?」

理由は明確でした。

  • 築年数がさらに進んだ(築43年→46年)
  • エレベーターなし(高齢者ニーズが弱い)
  • 住宅ローンが通りにくい物件
  • 同じ団地内に売り物件が複数(競合過多)

つまり、「買う人が限られる物件」だったのです。

売れない・下げても売れない…続く負担

販売を開始すると、当初は内見も入りました。

しかし「4階か…階段はきついですね」「将来を考えると少し不安で…」

そんな理由から、なかなか成約には至りません。価格を800万円、さらに750万円と段階的に引き下げても、状況は大きく変わりませんでした。

結局、売却までに要した期間は約1年半。その間の支払いは、住宅ローンが約108万円、管理費+修繕積立金が約54万円。

合計160万円以上にのぼりました。

そして最終的には約680万円での売却。購入価格1,200万円からの下落に加え、維持費も含めると

「約520万円の値下がり+約160万円の支払い=合計約680万円の実質的な負担」

という結果になりました。

引き渡しの際、Aさんはぽつりとこう漏らしました。

「家賃より得だと思っていたのに、こんなに損するとは思いませんでした…」

原因は「買うときに出口を考えていなかったこと」

今回のケースの最大の原因は、出口を考えずに購入したことです。

本来、購入前に確認しておくべきポイントは以下のとおりです。

  • 同じ団地の過去の成約価格
  • 売却までにかかっている期間
  • 競合物件の数
  • 将来の需要(高齢化・設備・立地)
  • 住宅ローンが通る物件かどうか

団地リノベは「安く買える」点が大きな魅力です。一方で「売りにくい」という特性もあわせ持っています。

この視点が抜けたまま購入してしまうと、安く買えたはずの家が、売りたくても売れない家へと変わります。

「家賃並みで得」の落とし穴

不動産は「買うとき」よりも「売るとき」に差が出る資産です。「毎月の支払いが家賃と同じだから得」という考え方は、一見合理的に見えます。

しかし、その裏には「出口戦略」という非常に重要な視点が欠けがちです。

特に団地のような物件は、いざ売ろうとしたときにさまざまなリスクを抱えています。

  • 築年数が古い
  • 需要が限定的
  • 競合が多い

住宅購入を検討する際には、ぜひ一度立ち止まって考えてみてください。

「この物件、将来ちゃんと売れるだろうか?」

この一問を軽視しないことが、数百万円単位の損失と、身動きが取れない生活を防ぐ最大のポイントです。



筆者:合同会社ゆう不動産 代表 岩井佑樹

不動産売買の専門家として仲介・査定・買取に携わりながら、不動産Webライターとして1,000記事以上を執筆。「売る力×伝える力」を軸に、情報発信と販売の両面から不動産の価値を高めている。派手さよりも誠実さを大切にし、地域に寄り添う姿勢で「早く・高く・安心」の取引を支える不動産の専門家。


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