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マンションの「エレベーター隣」は便利?不動産のプロが教える意外な落とし穴

  • 2026.4.29
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。不動産業界歴15年で宅地建物取引士やマンション管理士の資格を持つ、ライターの西山です。マンションの間取り図を見る際、エレベーターの隣に位置する部屋を「移動が便利そう」と前向きに捉える方は多いのではないでしょうか。

たしかに外出時の動線は優れていますが、実際に住んでみて初めて気づく構造的な特性が存在します。今回はエレベーター横の住戸が抱える音の問題と、購入前に確認すべきポイントについて解説します。

睡眠を妨げるエレベーター音と固体伝搬音の正体

住戸の壁の向こう側にあるのは、エレベーターの昇降路(シャフト)です。カゴが上下するたびに風切り音やレール音が響き、到着時にはブレーキ音が発生します。これらの音は日中なら周囲の生活音に紛れて気にならないことが多いものの、深夜の静寂の中では思いのほか際立ちます。

最も厄介なのは、この音がコンクリートの壁や床を直接伝わる「固体伝搬音」である点です。空気を伝わる音なら防音カーテンなどで対応できますが、固体伝搬音を防ぐには部屋の中に独立した防音室を作るような、数百万円規模の大掛かりな工事が必要になります。現実的な対策は極めて限られるため、「入居後に気になったら防音対策すればよい」と楽観視せず、購入前の段階で間取りを慎重に確認することが重要です。

ただし、これはエレベーターの昇降路と居室が壁1枚で直接接している場合の話です。共用廊下を挟んで離れている設計や、昇降路との間に水回りが配置されている設計であれば、固体伝搬音の影響は大幅に軽減されます。音の問題は間取り次第であり、すべてのエレベーター横住戸を避ける必要はありません。

マシンルームレスの盲点と間取りの確認方法

最新のマンションで主流の機械室を持たない「マシンルームレス」タイプでは、巻き上げ機が昇降路内の最上部や最下部に設置されるケースが多く、そのため上層階や1階の住戸は、モーター音がより響きやすい傾向にあります。

騒音が気になって管理会社に相談しても「正常な稼働音の範囲内であり対策は難しい」と回答されるケースが多いのが実情です。図面を見る際は、昇降路に直接接しているのがどの部屋かを確認し、寝室が接している間取りは避けるのが無難です。逆に玄関や収納が緩衝帯になっている間取りであれば、エレベーターの近さを動線の利便性として活かせます。

内見時のチェックポイントと後悔しない物件選び

エレベーターが共用廊下を挟んで、住戸と離れて設置されている物件であれば、昇降路と壁を共有しないため、基本的に固体伝搬音の心配はありません。ただしエレベーターホール付近は居住者の出入りが多くなるため、共用廊下側に寝室がある間取りでは足音などが気になる点に留意してください。

実際の物件を日中に内見しても、周囲の雑音によってエレベーターの音には気づきにくいものです。内見時には、不動産会社の担当者にエレベーターを何度か上下に動かしてもらい、静かな室内で壁に耳を当てて音と振動を確認することをおすすめします。防音では解決できない構造的な特性を理解し、毎日の快適な睡眠を守れる住まいを選びましょう。



筆者:西山雄介(宅地建物取引士・マンション管理士などの資格所有)
不動産業界歴15年。新卒で東証プライム上場のマンションデベロッパーに入社後、計2社で新築・中古販売および管理業務に従事。実務現場を経て管理職も歴任し、組織運営にも携わる。現在はその多角的な視点を活かし、実務解説から不動産投資、法律事務所案件まで、専門性の高いコンテンツ制作・ディレクションを行っている。


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