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「駐車場へ行くのに上へ?」斜めに動くエレベーター…傾斜地マンションで起きる"階数崩壊"

  • 2026.4.28
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出典元:PIXTA(画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。不動産業界歴15年で宅地建物取引士やマンション管理士の資格を持つ、ライターの西山です。マンションのエレベーターといえば、上下に垂直移動する箱を想像するのが一般的でしょう。

しかし日本には、地形の高低差に沿って斜めに移動する珍しいエレベーターが、住宅地や丘陵地のマンションで採用されています。今回は傾斜地に建つマンション特有の不思議な構造と、購入前に知っておきたい注意点について解説します。

斜めに動くエレベーターと崩れる階数の概念

一般的なエレベーターは垂直の昇降路を移動しますが、斜行エレベーターは山の斜面などに設置されたレールの上を滑るように移動します。垂直の穴を深く掘る必要がないため、高低差の激しい土地では合理的な選択肢となるのです。

私が過去に担当した傾斜地マンションは、駐車場が建物の上層階に位置するという独特の構造を持っていました。道路に面したメインのエントランスが1階であっても、反対側にあるサブエントランスに向かうとそこは4階になっているなど、アプローチする方角によって階数が変わってしまいます。

初めて物件を訪れた方が「駐車場へ向かうためにエレベーターで上に行くのですか」と驚くケースは、決して珍しくありませんでした。

圧倒的な開放感と見落とせない身体的負担

傾斜地マンションの大きな魅力は、斜面を活かした眺望の良さです。平坦な土地では得られない開放感や、高台ならではの静かな環境を満喫できるメリットがあります。バルコニーから見下ろす街並みは、日々の疲れを癒やしてくれる特別な価値といえるでしょう。

一方で、外出の際に急な坂道や階段の上り下りが伴うため、年齢を重ねると体への負担が大きくなる点は見落とせません。若いうちは気にならなくても、重い荷物を持っての移動やベビーカーでの外出は、想像以上に過酷なものになります。

斜行エレベーターの維持費と物件選びの注意点

さらに斜行エレベーターの維持管理コストは、通常のエレベーターよりも割高になる傾向にあります。点検には特殊な技術が必要で、部品の調達コストも高いためです。更新工事には1基あたり1,000万円以上かかるケースも珍しくなく、フルリニューアルとなれば数千万円規模の費用がかかる場合もあります。

将来の修繕予定をまとめた長期修繕計画に、現実的な金額が組み込まれているかを、事前にしっかりと確認してください。物件選びの際は、広告の徒歩分数だけを信じず、実際に歩いて負担感を確かめる姿勢が重要です。

徒歩分数の計算には坂道の勾配が反映されておらず、実態と乖離していることが多いためです。地形という自然の恩恵を受けつつ、長期的なコストも視野に入れた賢い住まい選びを心がけましょう。



筆者:西山雄介(宅地建物取引士・マンション管理士・防災士などの資格所有)
不動産業界歴15年。新卒で東証プライム上場のマンションデベロッパーに入社後、計2社で新築・中古販売および管理業務に従事。実務現場を経て管理職も歴任し、組織運営にも携わる。現在はその多角的な視点を活かし、実務解説から不動産投資、法律事務所案件まで、専門性の高いコンテンツ制作・ディレクションを行っている。


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