1. トップ
  2. 世帯年収800万円の40代夫婦「年収の30%以内なら安心」→購入から10年後、修繕したいのに…直面した“悲惨な現実”

世帯年収800万円の40代夫婦「年収の30%以内なら安心」→購入から10年後、修繕したいのに…直面した“悲惨な現実”

  • 2026.4.28
undefined
出典:photoAC(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。現役の不動産会社社長として、日々さまざまな土地や建物のご相談に向き合っている岩井です。

住宅ローンを検討する際、収入に応じて無理のない返済額を設定することが大切だといわれます。中でも「年収の30%以内であれば安心」という基準を目にする機会は多いのではないでしょうか。

「この範囲なら無理はない」
「銀行の審査も通っているし問題ない」

そのように判断して購入を決断する方は少なくありません。

しかし、その安全ラインが、実際の生活では通用しないケースもあります。

今日は、基準内だから安心と考えて住宅を購入した結果、10年後に修繕すらできなくなってしまったご夫婦の実例をご紹介します。

「年収の30%以内なら安心」と信じて購入

今から10年ほど前のことです。私が担当したのは、40代の共働き夫婦、Aさんご夫妻でした。

世帯年収は約800万円。住宅購入にあたり、参考にしていたのが「返済額は年収の30%以内」という基準です。

ここで注意したいのが、この“年収”の考え方です。

一般的に、この30%という指標は額面年収(税引前)ベースで語られることが多く、手取りベースではありません。Aさんご夫妻も額面ベースで試算し、年間返済額は約240万円(年収の30%)に設定しました。

「これなら無理はなさそうですね」

そう確認しながら、購入を決断しました。実際、毎月の返済は滞ることなく続いていました。

当初は、何の問題もない順調なスタートに見えていたのです。

「払えているのに苦しい」という違和感

しかし、生活を続ける中で、少しずつ違和感が出てきます。住宅にかかる費用は、ローン返済だけではありません。

  • 固定資産税
  • 火災保険(更新費用)
  • 設備のメンテナンス費

こうした支出が年単位で重なり、当初の想定より負担が大きくなっていきました。さらに、子どもの教育費や車の維持費など、生活費も徐々に増えていきます。

その結果、家計は次のような状態になります。

「返済はできているのに貯金ができない」

ある日、Aさんは少し困った表情でこう話していました。

「毎月ちゃんと払えているのに、なぜか余裕がないんです…」

この時点で、資金バランスはすでに崩れ始めていました。

10年後、修繕できない家になった

購入から10年後、問題が表面化します。外壁や設備の劣化が進み、本来であれば修繕が必要な時期に差し掛かりました。目安となる費用は、少なくとも100万円以上です。

しかし、手元に資金がありませんでした。

貯蓄はほとんど残っておらず、修繕費を用意できない状態。最終的にAさん夫婦は、修繕を先送りする判断をします。

「まだ住めるから大丈夫だろう」

そう話す一方で、不安を隠せない様子でした。

ただ、この判断は後に大きな負担につながります。

  • 劣化が進行する
  • 結果として修繕費がさらに増える

本来100万円で済んだはずの修繕費が、将来的には150万〜200万円規模へ膨らむリスクも出てきました。無理のない返済のつもりだった家が、お金をかけられない家になってしまった瞬間でした。

プロとして伝えたい「本当に見るべき判断基準」

このケースで問題だったのは「返済額だけ」で判断していた点です。同じ失敗を防ぐために、押さえるべきポイントは次のとおりです。

  • 年収30%は目安であって安全ラインではない:特に額面ベースの場合、手取りではかなり余裕が削られる
  • 住宅コストは「ローン以外」を含めて考える:固定資産税・保険・修繕費を含めて初めて実態が見える
  • 将来の支出増を必ず織り込む:教育費・車・老後資金は確実に増える
  • 「貯金できるか」で判断する:生活資金を残せるかが重要

住宅購入はゴールではなく、スタートです。毎月払えていることと、将来に備えられることはまったく別の話です。

数字の基準ではなく、お金が残る家計になっているかで判断することが大切です。目の前の数字だけで判断せず、10年後、20年後の生活まで見据えた選択をしていただければと思います。



筆者:合同会社ゆう不動産 代表 岩井佑樹

不動産売買の専門家として仲介・査定・買取に携わりながら、不動産Webライターとして1,000記事以上を執筆。「売る力×伝える力」を軸に、情報発信と販売の両面から不動産の価値を高めている。派手さよりも誠実さを大切にし、地域に寄り添う姿勢で「早く・高く・安心」の取引を支える不動産の専門家。


【エピソード募集】日常のちょっとした体験、TRILLでシェアしませんか?【2分で完了・匿名】

の記事をもっとみる