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「地震に強い建物なら揺れない」は勘違い?防災士が明かすタワマンの落とし穴

  • 2026.4.27
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。不動産業界歴15年で宅地建物取引士や防災士の資格を持つ、ライターの西山です。日本で暮らす以上、住まい選びにおいて地震への備えは欠かせません。多くの方が、タワマンの高層階はよく揺れるというイメージをお持ちではないでしょうか。

低層階なら安心と考える方もいますが、構造によって揺れ方は大きく異なります。今回は防災士の視点も交えながら、構造と階数の掛け合わせで変わる揺れの特徴を詳しく解説します。

構造と階数で変わる免震と制震の揺れ方

タワマンの主な地震対策は「免震」と「制震」の2種類に大別されます。この2つの構造と階数を掛け合わせると、揺れの特徴が明確になります。

まず免震構造の低層階では、免震装置のすぐ上に位置するため、地震エネルギーが効率的にカットされる仕組みです。揺れ自体を非常に小さく感じ、家具の転倒リスクも低い点が大きなメリットといえます。

一方、免震構造の高層階は、ゆっくり大きく揺れる長周期振動が増幅されやすい傾向にあります。揺れの時間が長くて船酔いのような不快感を覚える人もいますが、家具転倒リスクは比較的低めです。

対する制震構造は、建物内部のダンパーで揺れを効率よく吸収します。低層階では短く鋭い揺れを感じやすいものの、体感は比較的小さく収まる傾向にあります。そして制震構造の高層階は、免震より瞬間的な揺れ幅が大きくなりやすい反面、ダンパーの働きで揺れの収束が早まるのが特徴といえるでしょう。

中低層に多い耐震構造と最新のハイブリッド

タワマンでは少ないですが、中低層マンションで一般的なのが耐震構造です。免震装置やダンパーを持たず、建物自体の強度で地震に耐える方式を採用しています。地震の揺れがダイレクトに伝わるため、体感は最も激しくなりやすいのが大きな特徴です。家具転倒のリスクも他の構造より高いため、室内の入念な安全対策が欠かせません。

また近年は、免震と制震を組み合わせたハイブリッド構造を採用する物件も登場しています。

免震装置で地震エネルギーを低減しつつ、制震装置でさらに揺れを吸収する二重の備えを施した構造です。免震装置自体の損傷を制震装置が抑える役割も果たすため、より高度な地震対策を求める層から注目を集める存在といえます。

揺れの体感を理解して後悔のない物件選びを

物件を検討する際は、何階かだけでなくどのような構造かを確認する姿勢が非常に大切です。パンフレットや物件概要の構造欄に必ず記載があるため、忘れずにチェックして判断材料に加えてください。

免震や制震、そして耐震のいずれにもメリットとデメリットがあり、どの構造が一番安心とは一概には言えません。ご自身の生活スタイルや感覚に合わせて、総合的に判断する必要があります。

「地震に強い建物なら揺れない」と誤解されることもありますが、構造の違いはあくまで揺れ方の質を変えるものです。どの構造であっても、高層階は低層階より揺れる点は共通しています。目に見えない建物の構造にまで意識を向け、ご自身の感覚に合った安全な住まいをぜひ選び抜いてください。



筆者:西山雄介(宅地建物取引士・マンション管理士・防災士などの資格所有)
不動産業界歴15年。新卒で東証プライム上場のマンションデベロッパーに入社後、計2社で新築・中古販売および管理業務に従事。実務現場を経て管理職も歴任し、組織運営にも携わる。現在はその多角的な視点を活かし、実務解説から不動産投資、法律事務所案件まで、専門性の高いコンテンツ制作・ディレクションを行っている。


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