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「築20年、家賃9.5万円の2LDK」入居2年目に規約変更、隣室に猫が越してきた30代夫婦の末路

  • 2026.4.26
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出典元:photoAC(画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。大手不動産会社で10年以上にわたり実務に携わってきた、宅地建物取引士のT.Sです。住まいを探す際「絶対に譲れない条件」を持つ方は多いのではないでしょうか。特に健康に関わるアレルギーなどを抱えている場合、物件の規約は非常に重要になります。

しかし、入念に確認して契約したはずの条件が、ある日突然変わってしまったらどうなるでしょうか。今回は妻のアレルギーのために「ペット不可」の物件を選んだ30代夫婦が、入居後に引越しを余儀なくされたエピソードを紹介します。

入居から2年目に届いた突然の規約変更通知

30代前半のBさん夫婦は、賃貸マンションを探していました。妻に猫アレルギーがあるため、物件選びの最優先条件は「ペット不可」です。見つけたのは駅徒歩10分で築20年、家賃9.5万円の2LDKでした。

このマンションは全12戸をオーナーが単独で所有しています。Bさんは契約時の重要事項説明でも、マンション全体がペット飼育禁止であることをしっかりと確認して入居しました。しかし入居から2年目、管理会社から突然の通知が届きます。空室が3戸に増えたことを受け、オーナーの判断で今後の新規入居者に限り小型犬と猫の飼育を許可するという内容だったのです。

「ペット不可だから選んだのに」と不安を覚えるBさん夫婦でしたが、恐れていた事態は半年後に現実となります。

隣室のペット飼育によるアレルギー発症と苦渋の退去

猫を飼う入居者が隣室に越してきたのです。共用廊下で猫と接触したり、玄関ドアの開閉時にアレルゲンが室内に入り込んだりして、妻のくしゃみや目のかゆみなどのアレルギー症状が悪化してしまいました。

Bさんはすぐに管理会社へ抗議しました。しかし「既存の居住者の契約内容を変えたわけではなく、新規募集の条件緩和はオーナーの裁量である」と回答され、取り合ってもらえません。

弁護士にも相談しましたが、Bさん自身の契約内容が変更されたわけではないため契約違反を問うのは難しく、訴訟で争っても費用と時間に見合う結果は期待しにくいと助言を受けます。妻の体調悪化は深刻で、契約満了まで待つ余裕はありませんでした。Bさん夫婦は違約金や新居の初期費用など、約50万円の痛い出費を負担して退去を決断します。

規約変更リスクを回避するためのプロの視点

一棟所有の賃貸マンションにおける「ペット不可」という条件は、永続的に保証されるものではありません。空室対策などオーナーの経営判断によって、新規募集の条件が途中で変わるリスクが潜んでいるのです。

アレルギーなど、健康上の重大な理由がある場合は「分譲賃貸」を選ぶのが有効な自衛策といえます。分譲賃貸とは、分譲マンションの1室を賃貸として貸し出している物件のことです。

分譲マンションであれば、ペット不可の規約を変更するために管理組合の総会決議が必要になります。区分所有者および議決権の各4分の3以上の賛成が求められるため、オーナー個人の独断で変更されるリスクを回避しやすいのです。絶対に譲れない条件がある場合は、建物の所有形態にも目を向けて慎重に物件を選びましょう。



ライター:T.S(宅地建物取引士)
大学卒業後、大手不動産会社に入社。10年以上にわたり、都心のタワーマンションから郊外の築古戸建てまで、数多くの現場経験を積む。現在は不動産ライターとして「業界の不都合な真実」や、消費者が陥りやすいマネーの罠について、実体験に基づく記事を執筆している。


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