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変動0.7%・固定2.25%の今「変動金利は負け組」SNSで広がる“後悔の声”に不動産15年プロが物申す

  • 2026.4.23
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出典元:photoAC(画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。不動産業界歴15年で、現在は不動産ライターとして活動している西山です。日銀の利上げ報道が、連日メディアを賑わせています。SNS上では「変動金利は負け組」「固定金利にしておけばよかった」と、後悔する声を見かける機会が増えました。

たしかに長年続いた超低金利時代が転換点を迎え、不安を感じる方は多いでしょう。しかし必ずしも、金利が上がったから「固定が正解だった」という、単純な図式にはなりません。今回は金利上昇に対する冷静な向き合い方を、数字に基づいて解説します。

依然として大きな金利差と元金が減る構造的メリット

住宅金融支援機構が公表した「住宅ローン利用者(2024年度以前借入者)実態調査(2025年10月調査)」によれば、変動金利利用者の半数以上が金利変動リスクに不安を感じているという結果が出ています。

しかし本稿執筆時点(2026年3月)の相場を冷静に比較すると、変動金利は0.6〜0.7%台で推移しており、全期間固定金利のフラット35は2.25%前後です。両者には、依然として約1.5%の開きがあります。

この差が逆転するには複数回の追加利上げが必要であり、すぐに埋まるものではありません。さらに元利均等返済という方式は、返済初期ほど利息の割合が大きいという特徴を持ちます。

返済初期に変動金利の低さを享受すれば、元金の減るスピードは速くなる傾向があります。将来的に金利が上昇した際も、元金が減っている分だけ利息負担の増加を抑えられるという、構造的な利点があるのです。

変動金利のルールと未払利息の正しい理解

一方で変動金利のリスクも、正確に理解しておかなければなりません。多くの金融機関は、金利が半年ごとに見直されても返済額は5年間変わらない「5年ルール」を採用しています。

金利が上がっても毎月の負担が変わらないため、安心だと錯覚する方が多いかもしれません。しかし金利が上昇すると、毎月の返済額の中で利息の割合が増え、元金の減りが遅くなる現象が起きます。

この遅れた元金は、返済期間の最終回にまとめて清算を求められる場合があります。さらに金利が急騰し、発生した利息が毎月の返済額そのものを上回ってしまった場合は、支払いきれない利息分が「未払利息」として借金のように蓄積していきます。

これは、単に元金の減りが遅くなるのとは別次元のリスクです。そして近年人気を集めるネット銀行の住宅ローンには、この5年ルール自体が存在しない商品もあります。その場合は金利上昇が翌月からの返済額増加に直結するため、ご自身の契約内容を必ず確認してください。

感情に流されず家計の余力と数字で判断する

変動金利への不安から、今から固定金利に借り換えようと考える方もいるでしょう。しかし、固定金利は金融市場の動きを先読みして、変動金利よりも先に上昇する傾向があります。不安を感じて行動を起こす時点では、すでに固定金利も上がっている可能性が高いです。

「固定にしておけば安心」という言葉は、決して万能ではありません。現時点でも変動と固定には大きな金利差があり、これがトータルの支払額に与える影響は非常に大きいと言えます。

変動金利を選ぶ場合は、もし金利が2%に上がったら毎月の返済額はいくらになるかを事前にシミュレーションし、耐えられる余力が家計にあるかを確認してください。もし耐えられないという結果が出た場合、それは金利タイプの問題ではなく、借入額自体が無理のある水準である可能性が高いです。予算全体の見直しや、変動と固定のミックスローンによるリスク分散を含めて慎重に検討すべきでしょう。

参考:住宅ローン利用者の実態調査(住宅金融支援機構)



筆者:西山雄介(宅地建物取引士・マンション管理士・日商簿記2級などの資格所有)
不動産業界歴15年。新卒で東証プライム上場のマンションデベロッパーに入社後、計2社で新築・中古販売および管理業務に従事。実務現場を経て管理職も歴任し、組織運営にも携わる。現在はその多角的な視点を活かし、実務解説から不動産投資、法律事務所案件まで、専門性の高いコンテンツ制作・ディレクションを行っている。


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