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なぜ「お風呂」が止まったのか?ユニットバス不足問題、意外と見落としがちな"落とし穴"【一級建築士が解説】

  • 2026.4.30
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

2026年4月13日に新規受注を停止していたTOTOが、16日、システムバス・ユニットバスの新規受注を20日から段階的に再開すると発表しました。

ただし、再開後も「調達は依然として不安定」とされ、納期を通常より遅らせたり商品を限定したりする可能性があります。

LIXILも4月10日に「供給条件(価格・納期・数量等)を調整させていただく可能性がある」と発表。パナソニック ハウジングソリューションズも4月14日、「一部商品について出荷数量や納期の調整を開始した」と発表しており、業界の混乱はまだ収束していません。

なぜ「お風呂」が止まったのか

原因は、中東情勢の悪化に伴うホルムズ海峡周辺の通航制限です。

ユニットバスの壁や天井のフィルムを貼り合わせる接着剤や、人工大理石浴槽のコーティング材には、有機溶剤という石油由来の材料が使われています。この有機溶剤の原料であるナフサの供給が滞り、製造に必要な材料が確保できなくなったのです。

「お風呂が入らない」と、すべての工事が止まりかねない

注文住宅やリフォームに与える影響は、浴室だけにとどまりません。

ユニットバスは一般的に、建物の骨組みが完成した後、内装工事に入る前の段階で搬入・設置されます。壁や天井の仕上げ、電気配線、給排水の接続など、その後の工程はユニットバスの設置が終わっていることが前提で組まれていることが多いのです。

ユニットバスが届かなければ内装工事に進めず、内装が終わらなければ原則として完了検査も受けられず、引き渡しが遅れるおそれがあります。一つの設備が止まるだけで、工事全体のスケジュールが連鎖的にずれるおそれがあるのです。

引き渡しの遅れは「お金」にも響く

引き渡しが遅れると、思わぬ出費が次々に発生することがあります。代表的なのが、次のようなケースです。

・仮住まいの家賃:
完成まで賃貸を延長すると、月数万円〜十数万円の追加負担になります。

・つなぎ融資の利息:
住宅ローン実行前の建築費支払いに使うつなぎ融資は、引き渡しが遅れるほど利息が増えます。

・住宅ローンの実行時期の変動:
実行が遅れれば、金利上昇局面では借入条件が変わる可能性もあります。金融機関の特例対応などがないか、早めに確認しましょう。

・引っ越し業者の再手配費用:
繁忙期と重なると、キャンセル料や再見積もりで想定外の出費になります。

また、新居への入居日に合わせて現在の賃貸を解約している方は、住まいの空白期間が発生しかねません。お子さんの入学や転校のタイミングに合わせて引っ越しを計画していた場合は、生活設計そのものを組み直す必要が出てくることもあります。

一つの設備の納期遅延が、家計にも日常生活にも影響します。これが、ユニットバス問題が「他人事」ではない理由です。

今、確認しておきたいこと

現在、家づくりやリフォームを進めている方は、まず担当の工務店やハウスメーカーに状況を確認してみてください。

・すでに納期回答が出ている注文:
TOTOは予定どおり出荷するとしています。担当業者に改めて納期を確認しておくと安心です。

・これから新規発注する場合:
TOTOは20日から段階的に受注を再開しますが、納期が通常より長くなる可能性があります。

・他メーカーへの切り替えを検討する場合:
LIXILは供給条件(価格・納期・数量等)を調整する可能性があること、パナソニック ハウジングソリューションズは一部商品の出荷数量や納期を調整中であることを発表しています。タカラスタンダードも長期化した場合の納期・数量・価格への影響に言及しており、どこに切り替えても影響が残る可能性があります。

「まだ打ち合わせ中だから大丈夫」と思っていても、設備の選定が遅れれば工期に響くことがあります。計画段階の方も、一度担当者に「自分の工事への影響があるかどうか」を確認しておくことをおすすめします。

※この記事は2026年4月16日時点の情報にもとづいています。最新の状況は各メーカーの公式サイトをご確認ください

参考:
中東地域の情勢悪化に伴う製品供給への影響について(TOTO株式会社)
中東情勢の緊迫化に伴う製品供給への影響について(株式会社LIXIL)
中東情勢緊迫化に伴う弊社製品の供給への影響について(タカラスタンダード株式会社)
中東情勢の影響を踏まえた商品供給状況のご案内(パナソニック ハウジングソリューションズ株式会社)


ライター:yukiasobi(一級建築士・建築基準適合判定資格者)
地方自治体で住宅政策・都市計画・建築確認審査など10年以上の実務経験を持つ。現在は住宅・不動産分野に特化したライターとして活動し、空間設計や住宅性能、都市開発に関する知見をもとに、高い専門性と信頼性を兼ね備えた記事を多数執筆している。


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