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「32坪の4LDKなら大丈夫」と思いきや…30代4人暮らし夫婦のマイホーム計画を襲う“見えないコスト”【一級建築士は見た】

  • 2026.4.9
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

「建物は3,200万円くらいで考えていたんです。32坪の4LDKなら大丈夫と言われていたのですが、打ち合わせが進むうちに、少しずつ厳しくなってきて……」

そう話すのは、工務店で注文住宅を計画中のNさん(30代女性・夫婦・子ども2人の4人暮らし)です。

最近の注文住宅では、当初の見積もりどおりに進みにくいケースが少なくありません。背景にあるのが、建物に使う材料や人件費の上昇です。

日本建設業連合会の2026年2月版資料では、2021年1月と比べて建設資材物価が38%上昇したとされています。つまり今は、数年前と同じ予算感では、同じ広さ・同じ仕様の家を建てにくくなっているのです。

問題はお金だけでなく、工期にも広がる

資材高騰で見落としやすいのは、金額だけではないことです。材料が入りにくい、設備の納品が遅れるといったことが起きると、家全体の完成時期にも影響します。

注文住宅は、ひとつの設備や部材が遅れるだけでも、全体の流れが止まりやすいものです。

すると、入居時期がずれたり、仮住まいの期間が延びたりして、予定外の負担につながることがあります。

「断熱材40%値上げも」―中東情勢でさらに上がる可能性

これから先、さらに負担が増える可能性もあります。特に気になるのが、中東情勢の悪化です。

住宅そのものは石油製品ではありませんが、家づくりには石油由来の材料が多く使われています。たとえば、一部の断熱材、配管まわりの部材、塗料、接着剤、住宅設備の一部などです。こうした材料には、ナフサという石油からつくられる原料が関わっています。

中東情勢が不安定になると、原油だけでなく、このナフサの供給にも不安が出やすくなります。すると、住宅業界では建材価格の上昇や、材料が手に入りにくくなる問題につながりやすくなります。

実際、株式会社カネカは2026年4月1日出荷分から、住宅用断熱材である押出法ポリスチレンフォームの価格を40%引き上げると発表しています。

理由として、中東地域の情勢悪化による海上輸送環境の不安定化や、原材料費・エネルギーコストの大幅上昇を挙げています。

さらに、影響は材料そのものだけではありません。原油高になれば、建材を運ぶ船やトラックの燃料代も上がります。つまり、家づくりでは「材料費」と「運ぶ費用」の両方が上がりやすくなるのです。

「契約したから安心」とは言い切れない

「もう契約したから、金額は決まっているはず」と思う方も多いかもしれません。ですが今は、資材高騰などが起きた場合の金額変更や工期変更のルールを、契約で決めておくことが重要になっています。

つまり、今の家づくりでは「契約したら最後まで完全に固定」と単純には考えにくい面があります。施主側も、「どんな場合に金額や工期の見直しがありうるのか」を、契約前に確認しておくことが大切です。

価格や工期がどう変わりうるのかまで理解しておくことが、後悔を減らすポイントになります。

大誤算を防ぐには、“余白のある計画”が大切

こうした時代の注文住宅で後悔を減らすには、最初から少し余裕を持って考えることが大切です。

特に意識したいのは、次の3つです。

  • 予算をぎりぎりで組まない
  • 絶対に守りたい部分と、調整してもよい部分を分けておく
  • 契約前に、金額変更や工期変更の考え方を確認しておく

注文住宅は、理想の暮らしを形にできる住まいです。だからこそ今は、間取りやデザインだけでなく、材料費や工期の変動まで含めて考えることが欠かせません。

「見積もりどおりに建つはず」と思い込むのではなく、少し変動があっても崩れにくい計画にしておくこと。それが、資材高騰の時代に家づくりで後悔しにくくするポイントです。

参考:
建設工事を発注する民間事業者・施主の皆様に対するお願い(一般社団法人日本建設業連合会)
押出法ポリスチレンフォームの価格改定について(株式会社カネカ)


ライター:yukiasobi(一級建築士・建築基準適合判定資格者)
地方自治体で住宅政策・都市計画・建築確認審査など10年以上の実務経験を持つ。現在は住宅・不動産分野に特化したライターとして活動し、空間設計や住宅性能、都市開発に関する知見をもとに、高い専門性と信頼性を兼ね備えた記事を多数執筆している。


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