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「最近、床がギシギシ鳴るんです」きれいな“リフォーム済み中古物件”で40代夫婦が直面した“150万円の代償”

  • 2026.5.2
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。現役の不動産会社社長として、日々さまざまな土地や建物のご相談に向き合っている岩井です。

物件探しをしているとき、「リフォーム済み」「すぐ住めます」という言葉に、思わず安心してしまった経験はないでしょうか。壁紙は真っ白、床もピカピカ。キッチンやお風呂も新品で「このまま気持ちよく暮らせそう」と感じる。

「これなら失敗しないかも」

そう思った瞬間、少しだけ判断がゆるんでしまうものです。

しかし、ほんの少しの油断が、大きな落とし穴につながることがあります。中古物件は見た目がきれいでも、安心して住める家とは限りません。

今日は、リフォーム済みの中古住宅を購入した40代夫婦が入居後に思いもよらない事実に直面し、修繕費約150万円を自己負担することになった実話をご紹介します。

「そのまま住めます」を信じた決断

この話は、私が熊本市内で売買仲介を担当していたときのことです。中古の戸建てを購入されたのは、40代のAさんご夫婦。内見時の第一印象は、とにかくきれい。

  • クロスは全面張り替え済み
  • フローリングも新調
  • キッチンと浴室も交換済み

売主は個人の方で「一通りリフォームしているので、そのまま住めますよ」と説明されました。奥様は「ここならすぐ生活できそうですね」と安心した表情を見せ、ご主人も「手間がかからないのはありがたい」と前向きでした。

価格も相場よりやや低め。結果的に、Aさんご夫婦はその場の印象を重視し、購入を決断しました。

入居後に感じた異変

入居してから数ヶ月間は、大きなトラブルもなく、穏やかな生活が続いていました。

「やっぱりこの家にしてよかったね」

そんな会話が自然と出るほど、順調なスタートだったといいます。しかし、ある日奥様から一本の連絡が入りました。

「最近、床がギシギシ鳴るんです。ちょっと沈む感じもあって…」

最初は、ご主人も「木造住宅なら多少はあるよ」と気にしていなかったそうです。ところが、その違和感は徐々に大きくなっていきます。

  • 歩くたびに床がわずかにたわむ
  • 家具の位置によって微妙な傾きを感じる
  • 一部の床だけ、明らかに柔らかい

「なんかおかしくない?」

奥様の不安は、確信に変わりつつありました。さすがに見過ごせないと判断したご主人は「一度ちゃんと見てもらおう」と専門業者に調査を依頼することに。

この判断が、思いもよらない現実を明らかにするきっかけとなったのです。

床下で進行していた見えない被害

調査結果は、想像以上に深刻でした。床下を確認すると、広範囲にわたるシロアリ被害が発覚。

  • 土台や大引(床を支える構造材)が腐食
  • 一部は空洞化
  • 強度が著しく低下

業者の説明はこうでした。

「これはかなり前から進行していますね。表面は新しくても、中は別物です」

つまり、今回のリフォームは見える部分だけを整えた“表層リフォーム”であり、構造部分には一切手が加えられていなかったのです。

修繕費150万円…しかも全額自己負担

問題はここからでした。調査結果を受けて、Aさんご夫婦はすぐに契約書を確認します。すると、ある一文が目に入ります。

「契約不適合責任は免責」

契約不適合責任とは、引き渡された物件が契約内容に適合していない場合に、売主が責任を負う制度のことです。

今回の売主は個人の方。しかも後から確認すると、売主自身もシロアリ被害については把握していなかった可能性が高い状況でした。本来であれば、このようなケースでも売主が責任を負う可能性があります。

しかし今回は「免責」とする特約が契約書に盛り込まれていたのです。つまり、どれだけ重大な不具合が見つかっても、売主に修繕を求めることはできない状態でした。ご主人は、思わず声を荒らげました。

「え…じゃあこれ、全部自分たちで直すしかないんですか?」

現場にいた業者も、静かにうなずくしかありませんでした。

  • 床の解体工事
  • 腐食した構造材の交換
  • 防蟻処理(シロアリ対策)

これらを含め、修繕費は約150万円。すべて自己負担です。

「安く買えたと思っていたのに、結局これか…」

ご主人のその一言が、この出来事のすべてを物語っていました。

「リフォーム済みだから安心」ではない

今回のケースで最大の問題は「リフォーム済み」という言葉をそのまま信じてしまったことにあります。見た目がきれいであればあるほど、人は“安心したつもり”になってしまうものです。

しかし実際には、リフォームされているのはあくまで「見える部分」だけというケースも少なくありません。

同じような失敗を防ぐためには、購入前に次の点を必ず確認しておく必要があります。

  • リフォームの範囲(表面のみか、構造部分までか)
  • 床下・基礎・配管など見えない部分の状態
  • シロアリ対策(防蟻処理)の有無と実施時期
  • 売主が個人か業者か(責任の範囲が大きく変わる)
  • 契約不適合責任が免責になっていないか

そして可能であれば、ホームインスペクション(住宅診断)を実施することが重要です。第三者の専門家がチェックするだけで、今回のような重大な見落としは防げる可能性が高まります。

不動産は「見た目」で判断した瞬間にリスクを抱えることがあります。

「きれいだから大丈夫」ではなく、見えない部分こそ疑う。

この視点を持てるかどうかが、後悔する買い物になるか、納得できる買い物になるかを分ける大きなポイントになります。これから物件購入を検討される方は、ぜひ一度立ち止まり、“見えない部分”に目を向けてみてください。



筆者:合同会社ゆう不動産 代表 岩井佑樹

不動産売買の専門家として仲介・査定・買取に携わりながら、不動産Webライターとして1,000記事以上を執筆。「売る力×伝える力」を軸に、情報発信と販売の両面から不動産の価値を高めている。派手さよりも誠実さを大切にし、地域に寄り添う姿勢で「早く・高く・安心」の取引を支える不動産の専門家。


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