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パンチくん人気で明らかになった安すぎる公営動物園の「入園料」 一方で来場者数の減少に悩む施設も

  • 2026.3.17
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サル山の群れ入りを目指して奮闘中のパンチくんを一目見ようと、連日多くのファンが詰めかけている市川市動植物園。そんな中、改めて注目を集めているのが、日本の公営動物園の「入園料の安さ」です。ワンコイン、あるいは無料で楽しめる施設が全国に点在している現状は、世界的に見ても珍しいようです。

驚きの「ワンコイン」以下も!リーズナブルな動物園

今回パンチくんで注目された市川市動植物園は、大人が440円、小中学生が110円、未就学児は無料という驚きの価格設定です。年間パスポートに至っては大人1,260円、小人310円と、数回通えば元が取れてしまうほどのサービス価格。

こうした傾向は都内でも同様です。1882年開園の日本で最も歴史ある上野動物園や、広大な敷地を持つ多摩動物公園は一般600円、65歳以上300円、中学生200円(都内在住・在学は無料)、小学生以下は無料となっています。

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日本を代表する上野動物園も入園料は安い。かつてはパンダもいた=(撮影:産経新聞)

姫路市立動物園などはさらに安く、大人(高校生以上)250円、子供(小・中学生)50円、5歳未満は無料と、日常的に通える設定です。

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カバの歯磨き…兵庫県の姫路市立動物園(撮影:産経新聞)

入園無料!「タダ」で人気動物に会える贅沢

入園料が「無料」の動物園も少なくありません。 横浜市立野毛山動物園や、川崎市立夢見ヶ崎動物公園はその代表です。また、群馬県の桐生が岡動物園も無料で、大型動物を含む約100種の動物を無料で見ることができます。

さらに、長野市の城山動物園や飯田市立動物園、お城の敷地内にある珍しい和歌山城公園動物園、そして高知のわんぱーく高知アニマルランドなど、全国には地域に愛される「無料の動物園」が数多く存在しています。

西日本でもその安さは変わりません。名古屋市の東山動植物園は500円(中学生以下無料)、福岡市動物園は大人600円、高校生300円(中学生以下無料)、大阪の天王寺動物園も500円(大阪市内の小中学生は無料、市外は200円)と、いずれもワンコイン前後の価格で、本格的な展示を楽しむことが可能です。

安さの裏にある「老朽化」と「少子化」の影

しかし、この「安さ」を手放しで喜んでばかりもいられない現実があります。産経ニュースでは、日本の動物園が直面している厳しい課題に触れた記事も配信されたばかり。

「昨年度の横浜市立野毛山動物園(横浜市西区)の来場者数が9年前と比べ、6割以上減少したことが13日、市への取材で分かった」(産経ニュースより)

なんと、野毛山動物園は大幅に来場者数が減っているというのです。この記事によると、全国の公営動物園では、1970年代から1980年代の「万博・レジャーブーム」期に建設された施設の老朽化が深刻な問題となっているようです。

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横浜市立野毛山動物園=(撮影:産経新聞)

改修には多額の資金が必要ですが、少子化の影響で主な利用者である親子連れが減少傾向にあり、多くの園で入園者数はピーク時の半分以下にまで落ち込んでいるとのこと。

「誰でも気軽に安価に学べる場所」という公営ならではの視点で入園料を安く抑えたい、一方で、エサ代や電気代などの維持費はどんどん上がっています。さらに絶滅危惧種を守るための「種の保存」といった活動にも多額の費用がかかります。

入園料を上げれば運営は楽になりますが、それでは「誰でも気軽に来られる場所」ではなくなり、さらなる来場者減少を招く恐れもある…。多くの自治体が、この「理想」と「厳しいお財布事情」との間で揺れているのかもしれません。

未来のパンチくんたちを守るために

パンチくんの人気によって、施設の老朽化や運営の苦労も改めて明らかになってきました。今回、市川市動植物園が「サポーター制度」を立ち上げたことは、公営施設としては異例の〝新たな一歩〟だったのではないでしょうか。

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市川市動植物園提供

応援したいという市民と、より良い環境を動物やスタッフのために整えたいという運営側の気持ちが一体となった、良い例だったと思います。

これまで、当たり前のように享受してきた「安くて楽しい動物園」という文化。その恩恵を受けている市民はその仕組みに感謝をするとともに、施設の運営側も同時に、市川市動植物園のように来場者が喜んでサポートしたくなるような仕組み作りが必要かもしれません。

■産経ニュース トラ、ライオン姿なく 来場者数減少の野毛山動物園が転換期 横浜市、3動物園を整備
https://www.sankei.com/article/20260313-E66MZ3AVARPLRMEHTP5TMUNKOI/

ライターコメント

動物園の入園料が安いことに気づいたのは、恥ずかしながら子供が生まれてからです。それまでは、こんなに安いとは知りませんでした。パンチくんがきっかけで、多くの人が「応援したい」と声を上げ始めたのは、とてもよいきっかけだったと思います。今の「安さ」を楽しみつつも、例えばお土産を一つ買う、募金箱に小銭を入れる、もう一度訪れる…そんな小さな「プラスワン」の行動が、動物たちやスタッフの皆さんを支える力になるのではないでしょうか。

<ライタープロフィル>ゆんち

2004年に産経新聞社へ入社。静岡、仙台での事件取材を経て、東京社会部では厚生労働省を担当、派遣労働問題などの社会課題を深く掘り下げる。また、特異なキャリアとして法廷画家を兼務し、数多くの法廷画を手掛けてきた。その後、産経新聞社が発行していたタブロイド紙「SANKEI EX」にてブランド、旅、食をテーマとした執筆活動を展開。南アフリカやオーストラリアなど世界各国を取材で巡るほか、臨時特派員として南太平洋のキリバス共和国への駐在経験も持つ。J-WAVE「TOKYO MORNING RADIO」にて、週1回おすすめニュースを3年間にわたり担当。

現在は2児の母となり、これまでの取材経験に加え、教育、健康、ライフハックへと関心の幅を広げている。「趣味を仕事に!」をモットーとする自称「脱力系ライター」。釣り、温泉、グルメ、そして海を眺めてぼーっと過ごす時間を愛する旅人でもある。長年、酒と旅と釣りを友としてきたが、現在は期間限定で禁酒中。新商品から旅、ファッション、グルメまで、自身のアンテナに触れたトピックを独自の視点で発信している。

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