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ベルリンから小旅行、光のアートとグルメを堪能。列車に揺られ、北ドイツの港町へ。

  • 2026.5.12

光や水といった自然の中にある要素を用いて、知覚を圧倒する作品を生み出してきたアーティスト、オラファー・エリアソン。ベルリンを拠点とする彼が、北ドイツの教会のために製作した新たな作品が話題を呼んでいる。

この作品があるGreifswald(グライフスヴァルト)は、バルト海にもつながる港町。ベルリンからは地方近郊列車に乗って、約2時間半程度の場所にある。ゆったり鉄道旅を終えてたどり着くのは、パステルカラーと煉瓦造りの街並みが可愛らしい街。かつて13〜17世紀頃は、ハンザ都市として栄えた。ドイツではロマン主義の巨匠カスパー・ダーヴィト・フリードリヒ生誕の地としても知られている。

中世の街並みが残るグライフスヴァルトの広場。人口の約15%人が学生という大学都市で、活気がある。
バルト海に流れ込むライク川に面した街。世界遺産の港町シュトラールズントにも近く、歴史的な港らしい街並みだ

海や山といった幻想的な自然の風景を好んで描いたフリードリヒ。さえざえと冷たい北ヨーロッパの空気感と光を捉える筆致には、孤独がにじむ。2024年には生誕250周年を迎え、再評価の動きが高まっていたのだ。

今回訪れたエリアソン作品の舞台である聖ニコライ教会は、フリードリヒが1774年に洗礼を受けた場所で、街のランドマークでもある。エリアソンが制作したステンドグラス作品『ウィンドウ・フォー・ムービング・ライト』も、フリードリヒ生誕250周年を記念するプロジェクトの一環として依頼されたもの。

エリアソンはフリードリヒの絵画の中にある光のスペクトルを分析し、65色で表現。3383枚もの手吹きガラス板を作り上げた。

複雑な形と微妙な色合いのガラスが組み合わさって生まれる、光と色のシャワー。

教会の入口を進むと、祭壇の奥に差し込む光の美しさに息を呑む。祭壇の正面に座って眺めていると、窓は刻一刻と異なる色に変化していくように見える。青みを増したり黄色い光が足元に差し込んできたり。燃えるような赤い光が祭壇の上で揺れる。光そのものが多彩な表情をもつかのような幻想的な空間に、自然と作品世界へ引き込まれていく。

窓枠から教会の内部へと差し込む光は、ふるふると揺れ動く。
教会内のガラスの照明にも色が映り込む。

実は、窓の向かい側や窓の下部にはいくつもの鏡が設置され、多角的に反射するよう仕掛けが施されている。来訪者はまずステンドグラスの瞬く色に惹きつけられ、差し込む光の移ろいに気づき、周囲を見回す。視覚のみならず、知覚までをも揺さぶられる。祭壇という宗教的建築の中でありながら、現代アートのような感覚を体験できるのも面白い。

エリアソンの世界をじっくりと堪能した後は、港に出て、名物のニシンサンドを頬張る。南蛮漬けのように、近隣で採れたニシンをフライにし、甘酢でマリネしたものをパンで挟んだ一品で、玉ねぎの辛味がアクセント。店で燻製しているサバを使ったサバサンドもおいしい。

ジューシーでスパイシーな燻製サバサンド(上)4.50ユーロ(約780円)と、ブラートヘリング(ニシンの南蛮漬け)サンド3.80ユーロ(約660円)。パンは柔らかめで大きく食べ応え十分。

ベルリンから離れ、北ドイツならではの街並みと、心を満たすアートを堪能。次にドイツを訪れる際には、癒やし日帰り旅に出かけてみてはいかがだろうか。

●1ユーロ=185円(2026年5月現在)

 

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