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【機内食の裏側】JALの機内食開発担当者にインタビュー!

  • 2026.3.12

飛行機の側で働く人たちの生の声を聞く本特集、第7回は、機内食の裏側にフォーカスします!飛行機の機内食ルポは、TABIZINEでも長く人気のコンテンツ。そこで今回は、機内食開発秘話やおいしさへのこだわり、職場の様子などを、機内食開発担当の菊川 芽生さんにインタビュー。普段は知ることができない、リアルなお話をたっぷり伺いました。

パンケーキ機内食開発秘話

機内食開発 菊川 芽生さん

−ご自身で開発された機内食についてこだわったポイントを教えてください。

菊川さん「長距離線(羽田-シドニー線)の2食目として開発したので、お客さまの状況を考えて、寝起きでもすぐ食べられるような機内食にすることにこだわりました。

お客さまが1度機内でお休みになって、到着前に食べるのが2食目の機内食。まだお腹が空いていない方が多い中で、いかに胃にもたれないか、寝起きすぐでも食べたくなるか、を考えました。

羽田-シドニー線のエコノミークラスで2食目として現在提供中の機内食(2026年2月現在)。プレート上の機内食はすべて菊川さんが開発を担当。リコッタパンケーキ ポークソーセージとハッシュドポテト添え、メープル入りシロップ ホイップバター、ヨーグルト、フルーツなど

おすすめポイントはやはりパンケーキでして、機内オーブンで温めると結構ふわふわになるので、その食感を楽しんで食べていただきたいですね。フルーツも付いているので、パンケーキにかけてフルーツパンケーキにするのもおすすめです。お客さまが機内食をアレンジして食べていただけると嬉しいです」

−1つのメニューが完成するまでにどれくらい試作されるのですか?

菊川さん「神経がすり減りそうになるくらいパンケーキを食べました。ものによるんですけど、今回開発したパンケーキは、色々なパンケーキの試食から始まったので、ボツになった種類も合わせると30種類ぐらいはありますね。

JALのエコノミークラスの機内食でパンケーキを提供するのはだいぶチャレンジだったんです。結果的にうまくいきました」

−実際に食べた感想をフィードバックされることもあるのでしょうか?

菊川さん「CAを通じてお客さまの感想をいただくことがあります。『機内食おいしかったよ、という感想をお客さまからいただきました』というふうに。そのコメントが結構励みになっております。

実際にこのパンケーキも『到着前のお食事としてふさわしい機内食でした』というコメントをいただけたときは、心の中でガッツポーズして上司にアピールしました」

今職場でカレー作りが流行中!

−職場でカレー作りがブームだとお聞きしました。

菊川さん「はい。JALには国際線ラウンジで提供されているすごく有名なカレーがあるんです。そのJAL特製オリジナルビーフカレーを超えるカレーを作りたい、という想いからみんなでカレーを作りにハマっています。

ある人は1からスパイスからそろえたり、ある人は元々できあがっているカレーのルーをちょっとアレンジしたり、某カレーショップのカレーを再現してみたり。いろんなところを食べに行ったとか、あそこのカレーおいしかったっていう情報を共有するのが、今うちの部署で一番流行っていることですね」

−社内キッチンで実際に作ったり試食されたりすると思うんですが、デスクワークとキッチンワークの割合は?

菊川さん「日にもよるんですけど、私の場合、デスクワークとキッチンワークの割合は半々くらいです。ただ、午前中はデスクワークして、午後はキッチンというスタイルは私には合っていなかったので、この日は1日ずっと試作するぞっていう日を決めてメリハリをつけています。

元々料理は好きなんです。家でも結構料理はするんですけど、やっぱり家の料理と会社でする料理は全然違います。会社には、家ではなかなか手の出せない高級な調理器具もあるので、試しに使ってみたり。あとは職場に和食・洋食・パティシエなど料理を極めたレジェンドがいるので、横に付きっきりで弟子のように教えてもらいながら料理をするのがすごく楽しいです。同じ部署でもシェフたちは7、8割がキッチンワークです」

制約の中で考えると本当においしいものが作れない

−この仕事で最初に驚いたことで、「制約を考えず、フルスイングで自分が食べたいと思う機内食を作ってみなさいと言われて驚いた」という話がありました。

菊川さん「そうなんです。機内食って制約がいっぱいあるんですけど、その制約の中で考えちゃうと、本当においしいものや、お客さまが求めているものが作れなかったりするからだそうです。

うちの部署には洋食のシェフだったり、和食のシェフだったり、あとパティシエもいるんですが、みなさんそれぞれの分野にとらわれず、洋食のシェフが和食を作ったりすることもあります」

−機内食の制約とは具体的にどんなことですか?

菊川さん「生物が使えないなど使用できる食材に制限があったり、加熱温度や湿度の条件、菌の制約、衛生管理の条件などです。そこをクリアするのがすごく難しいんです」

結果の出ない努力はしていないに等しい

−職場の雰囲気がすごく楽しそうですが、ときには厳しい指導もあるのでしょうか?

菊川さん「はい、印象的だったのは『結果の出ない努力はしていないに等しい』という言葉です。でもきつく言われるというより、諭されるように言われます。

今20代で、あれもやりたい、これもやりたいって全部が中途半端になってしまっていたときにそう言っていただけたので、響きました」

−結果の出る機内食とは?

菊川さん「お客さまに食べていただくまで、評価をもらうまでがあなたの仕事だからと言われています。機内食を作ったら終わり、ではない。そこは耳にタコができるくらい繰り返し言われています。

でもその方が責任が持てるし、自分の作った機内食に愛着が湧きますね。みんな自分の機内食が選ばれるって思いながら、祈りながらメニュー会議に提案しています」

機内食開発というニッチな仕事を選んだ理由

−機内食というニッチな業界を選んだ理由は?

菊川さん「元々鹿児島出身で、結構離島行きのJALの便があるんです。大学で料理屋栄養のことを学びながらも、どこかで日本航空で仕事をしたいなという想いがありました。そこで大学3年生のときいろいろ調べて、料理や栄養関係の職種でありながらも日本航空で働ける場所を探して機内食にたどり着きました。

他の食事と全然違って、条件だったり制約も多かったりする中で作る料理って、結構面白いんじゃないかなという想いも自分の中にありました。それを求めてもうまっしぐらでこの会社に入社しました。

最初は機内食開発ではなく、実際に機内食を作る部署に配属されました。私が担当していたのは、機内特別食、宗教にかかわるご要望のあるお客さまのお食事などです。そこから開発の部署に異動になり、現在に至ります」

5年目で3歩先の事前準備ができるようになった

菊川さん「物事に対して3歩先まで予測することができて、その3歩先の事前準備ができたことですかね。

今まではやっぱりその場その場で体当たりで仕事をしていたところがあったんですけど、やはり入社も5年目になって、先を見通せる力もこれからないといけないなということを強く感じたので、そこが予測できるようにちょっとはなったのが成長したかなと思いました」

機内食はおいしくないと思っている人へ

−機内食はおいしくないというイメージを持っている人もいると思います。その人たちへのメッセージをお願いできますか?

菊川さん「今の機内食は(おいしくないというイメージがあった頃)とは全然違うことをお伝えしたいです。

やっぱり料理が進化したり、時代が進化するのと同時に、機内食もどんどんどんどんクオリティが上がって、どんどんどんどん技術もよくなって、機内でこんな料理が食べられるの? と驚くようなメニューもたくさん出てきています。

ぜひ飛行機に乗ってみてほしい! の一言に尽きます。ありがとうございます」

「特集 JALで働く6人に30の質問!」、明日は「休日の過ごし方から旅のスタイルまで|旅心編」をお届けします。

画像素材:PIXTA

©︎Aya Yamaguchi

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