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アダルトサイトを閲覧中「ウイルスに感染」の警告→急いで窓口に電話するも…70代男性を襲った“恐ろしい手口”【警察官は見た】

  • 2026.3.25
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

「少しでも不安に感じたら、警察や家族に相談してください」

詐欺被害の注意喚起で、よく見かける言葉です。しかし実際には、「相談したくてもできない」という状況があるのも事実ではないでしょうか。

警察庁の統計では、詐欺の認知件数は毎年多数にのぼります。ただ、これはあくまで“発覚したもの”に限った数字です。

中には、「誰にも言えなかった」「恥ずかしくて相談できなかった」という理由で、被害に遭っても表に出ていないケースも少なくありません。

今回は、そんな『相談しづらさ』が引き金となり、被害に遭いかけた事例を紹介します。

アダルトサイト閲覧によるウイルス感染...相談できなかったことが被害の引き金に

70代男性のAさん(仮名)が、自宅でパソコンを操作していた時のことです。

インターネットを閲覧している最中、突然画面いっぱいに警告が表示されました。

「ウイルスに感染しました」

驚いた男性は、表示されていたサポート窓口の番号に電話をかけます。すると、片言の日本語で「このままだと危険」「すぐに対応しないといけない」と告げられました。パソコンに詳しくない男性は、不安で頭が真っ白になります。どうすればいいのか分からず、相手の指示に従うしかありませんでした。

やがて、「ウイルスの除去には20万円くらいの費用がかかる」と説明されます。違和感はあったものの、男性の頭には別の思いが浮かんでいました。

「アダルトサイトを見ていたことを、知られたくない」

「家族に知られるのは恥ずかしい」

「警察に相談するのも気が引ける」

そうした思いが、冷静な判断を少しずつ奪っていきます。さらに相手は、「支払ったお金は後で全額返金される」「コンビニで売っているギフトカードを何回かに分けて購入し、そのシリアルナンバーを伝えて欲しい」

と説明しました。

男性は、「こんな支払方法あるのか」と疑問に思いつつも、「一度支払えば解決する」そう思い込み、男性はコンビニでギフトカードを購入します。

不安と焦りの中で、男性は再びギフトカードを購入しようとします。3回目の購入をしようとしたその時、店員が声をかけてきました。

「それ、詐欺ではありませんか」その一言で、男性はようやく我に返ったのです。

人は「言いづらさ」で判断を誤る

この事例で注目すべきなのは、特別な手口ではないという点です。ウイルス感染を装った詐欺は、以前からある典型的な手口です。

それでも被害に遭いかけた背景には、「相談できない状況」がありました。人は、後ろめたさや恥ずかしさを感じると、「誰にも知られたくない」という心理が強く働きます。

その結果、本来であれば一度立ち止まるべき場面でも、周囲に頼ることができず、判断を誤ってしまうのです。

また、「すぐに対応しないと危険」と急がされることで、考える時間を奪われていきます。そこに「後で返金される」という安心材料が加わると、違和感があっても行動してしまうケースは少なくありません。

詐欺は、こうした人の心理の『隙』を突いてきます。

1人で抱え込まないためにできること

今回の事例のように、「相談しづらい」と感じる状況は誰にでも起こり得ます。だからこそ大切なのは、1人で抱え込まないことです。

まず、恥ずかしさや後ろめたさがあっても、警察への相談は有効な選択肢の1つです。警察は、緊急でない相談を受け付ける窓口(#9110)を設けています。

いきなり被害届提出や自宅へ赴き事情聴取という流れで必はありません。電話で状況を伝えたうえで、その後どう対応するかは本人の意思が尊重されます。「相談だけでも大丈夫」という前提を知っておくことが重要です。

また、詐欺かどうか判断に迷う場合は、消費者センターに相談する方法もあります。「これって大丈夫なのか」と感じた段階で、専門機関に確認するだけでもリスクを減らすことができます。

詐欺の発生件数は、年間約2万件にのぼります。これは決して一部の人だけの問題ではありません。

大丈夫だと思っていても、1人で判断し続けることで、知らず知らずのうちに判断力が鈍っていきます。そしてその状態こそが、相手の思うつぼになってしまうのです。

日々変わる手口だからこそ「相談する」大切さ

詐欺対策というと、手口を知ることに目が向きがちです。

しかし、それと同じくらい重要なのが、「相談できる状態をつくっておくこと」です。どんな内容であっても、少しでも違和感を覚えた時点で、誰かに共有する。

その一歩が、被害を防ぐ大きな分岐になります。「こんなこと相談していいのかな」と思う場面こそ、立ち止まるべきタイミングかもしれません。


監修者:防犯インフルエンサー りょうせい(りょうせい 元生活安全課

元警察官(警察歴10年)。生活安全課で行方不明やDVなどの人身事案を担当し、防犯の広報や啓発活動にも携わる。現在は防犯アドバイザーとして活動し、Xや音声配信(StandFM)を通じて、日常生活に取り入れやすい防犯の工夫を発信している。