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「残業代が出なくなるだけで損」昇進を断った30代男性→“賢い選択”のはずが…10年後、後輩との年収差に“青ざめたワケ”

  • 2026.5.31
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

「管理職になっても残業代が出なくなるだけで損」と、当時30代半ばのAさんは考えていました。

課長昇進の打診をきっぱり断り、残業代込みで月収は管理職と変わらず、責任も軽いポジションを選択します。当時はこれが「賢い選択」に見えたのです。

それから10年。45歳になったAさんの前に異動してきたのは、新しい部長。なんと、かつての後輩でした。年収を聞けば、自分の約1.5倍。「あのときの判断、本当に正しかったんだろうか」と、Aさんは初めて立ち止って考えているようです。

短期的には得、でも5年で逆転する

「ワークライフバランスを大切にしたい」という気持ち、わかります。筆者も公務員時代、恥ずかしながら「ほどほどに働いて、自由時間を確保したいな~」と考えていました。

しかし、Aさんのように「昇進拒否で逆転される」パターン、30〜40代で本当に増えているんですよね。昇進を断った直後は、確かに残業代で管理職と同水準の収入を保てます。ところが基本給と賞与の伸び方が、管理職と非管理職では違うケースが多いのです。

管理職になると基本給そのものが上がり、賞与は「基本給×〇カ月」で計算されるため、ボーナス額も自動的に大きくなります。一方、非管理職の昇給ペースは比較的緩やかです。筆者の感覚的には、多くの企業で5~7年以内に年収が逆転するのが現実です。

「1時間残業したら、確実にその1時間に見合うお金が欲しい」という気持ちも、本当によくわかります。ただ、長期的に見ると損してしまうケースが多いんですね。

見落としがちな「退職金」「人的資本」の差

さらに効いてくるのが退職金です。退職金は基本給や役職手当をベースに算定される会社が多く、現役時代の役職差がそのまま定年時の受取額に直結します。

20年管理職を務めた人と、ずっとプレイヤーだった人とでは、退職金で数百万円〜1,000万円超の差がつくケースも珍しくありません。「目先の残業代」で得した分を、定年時に一気に失う構図です。

人的資本の面で見ても、管理職未経験者は不利になりがちです。管理職不足で悩んでいる企業は多く、転職市場でも「管理職経験」がモノを言うことは少なくありません。

特に40代以降の転職では、ほぼ必ず「マネジメント経験」が問われます。チーム運営・予算管理・人事評価などの経験がないと、応募できる求人そのものが激減してしまうんですよね。つまり昇進拒否は、給与だけでなく「キャリアの可動域」まで狭めてしまう選択でもあるのです。

さらに見落としがちなのが、現場での扱われ方の変化です。本人は気にしていなくても、「年上の部下を扱うのは面倒」という理由で、重要な仕事やプロジェクトから外されてしまうケースが少なくありません。気づけば雑務ばかりが回ってきて、本来磨けたはずの経験値=自分の人的資本まで失ってしまう。昇進拒否の隠れたコストはここにもあるんです。

それでもプレイヤーで生き残るなら

もちろん、全員が管理職を目指す必要はありません。専門職として生きる道もあります。ただし、その場合は戦略が必要です。

  1. 専門性を「市場価格」に換える:社内でしか通用しないスキルではなく、資格・実績・発信などで外部から見える形にしておくこと。
  2. 副業で経営感覚を補う:小さくても自分で事業を回した経験は、マネジメント経験の代替になり得ます。
  3. 40代までに「軸」を決める:プレイヤーで行くのか、管理職で行くのか。専門職コースが用意されている会社なら、早めに手を挙げて道を確保しておきましょう。

昇進を断る前に、自社の「役職別・年代別の生涯賃金モデル」を一度試算してみてください。人事部に資料がなくても、給与規程と退職金規程を読めば概算は出せます。感覚ではなく数字で判断することが、後悔しない選択につながります。

まとめ

「楽な道」と「得な道」は、似ているようで違います。短期の損得ではなく、20年・30年スパンで見たときに自分の市場価値がどう変わっているか。そこまで想像できると、目の前の選択肢の意味がガラッと変わって見えるはずです。

昇進は単なる肩書きの変化ではなく、その後のキャリア全体を左右する分岐点。断るにしても受けるにしても、計画的に選びたいですね。

また、目先の収入だけでなく「自分の人的資本を守る」という観点も重要です。キャリアの選択肢を広げずにいると、任される仕事が減り、「辞めたくても辞められない」という状態になりかねないため、慎重な判断が必要です。


執筆・監修:柴田 充輝
厚生労働省や保険業界・不動産業界での勤務を通じて、社会保険や保険、不動産投資の実務を担当。FP1級と社会保険労務士資格を活かして、多くの家庭の家計見直しや資産運用に関するアドバイスを行っている。金融メディアを中心に、これまで1,200記事以上の執筆実績あり。

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