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退職金2000万円を受け取り→銀行員に勧められ“全額投資”するが…その後、60代男性を襲った“思わぬ悲劇”【お金のプロは見た】

  • 2026.3.24
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは。老後資金や資産運用のご相談をしているマネーシップス代表の石坂です。

退職金は、多くの人にとって老後生活を支える大切な資金です。一方で、「退職金をどのように運用すればよいか分からない」という相談も少なくありません。金融機関で資産運用を勧めるケースも増えています。

今回は、退職金2,000万円を一括で投資した結果、相場の下落によって資産が減少し、老後の資金計画を見直すことになった60代男性の事例を紹介します。

退職金2,000万円を一括投資した男性の事例

相談に来られたのは、60代前半の男性です。長年勤めた会社を退職し、退職金として約2,000万円を受け取りました。

男性は退職後も資産を少しでも増やしたいと考え、銀行の窓口で資産運用の相談をしました。そこで提案されたのが投資信託でした。銀行からは「分散投資になるためリスクを抑えやすい」「長期で持てば価格の変動は落ち着きやすい」と説明を受けたといいます。

相談者は退職金の2,000万円を次のように投資しました。

  • 世界株式型の投資信託 約1,200万円
  • バランス型の投資信託 約800万円

世界株式型の投資信託は、米国や欧州などの企業の株式に幅広く投資する商品でした。株式が中心のため値動きは比較的大きくなりやすいものの、長期的な成長が期待できる資産として説明を受けました。

一方のバランス型の投資信託は、株式と債券を組み合わせて運用する商品でした。株式だけの商品と比べて値動きが比較的おだやかになるよう設計されており、「資産を安定させる役割」として提案されていました。

銀行からは、株式と債券を組み合わせることで分散された運用になると説明され、男性は退職金を受け取った直後に一度で購入する形で投資を行いました。

しかしその後、株式市場が下落しました。世界の株式市場の影響を受け、保有していた投資信託の評価額は約1,700万円まで減少しました。およそ300万円の含み損が出た状態です。

男性は「老後の生活資金として考えていたお金が減ってしまった」と不安を感じ、今後の資金計画を見直したいと相談に来られました。(※プライバシー保護の観点から、内容を一部変更)

退職金投資で起こりやすいリスク

退職金の運用で多いのが、まとまった資金を一度に投資してしまうケースです。退職金は金額が大きいため、そのまま一括で投資してしまう人も少なくありません。しかし投資はタイミングによって価格が変動します。

今回のように2,000万円を一度に投資した場合、相場が10〜15%下がるだけで、資産は200万〜300万円ほど減ることもあります。老後資金の場合、このような値動きは精神的な負担にもつながりやすくなります。

老後資金の運用は「守り」を重視する

退職金を運用する際は、まず生活に必要な資金と運用に回す資金を分けて考えることが大切です。年金だけで不足する生活費や予備資金は、値動きのある資産ではなく、預金などの安全資産で確保しておくことが安心につながります。

また投資を行う場合でも、退職金を一度に投資するのではなく、時間を分けて購入する方法があります。株式だけに偏らず、債券など異なる資産を組み合わせることで、値動きの影響を抑えることもできます。

老後の資産運用では、「資産を大きく増やすこと」よりも「資産を大きく減らさないこと」が重要です。生活資金を確保したうえで、分散とリスク管理を意識することが、退職金を守るうえで大切な考え方になります。


監修者:石坂貴史
証券会社IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー・証券外務員)、日本証券アナリスト協会認定資産形成コンサルタント、2級FP技能士、AFP、NISA取引アドバイザー、マネーシップス代表。累計1,200件以上のご相談、金融関連の記事制作、校正・監修を手掛けています。「金融・経済、不動産、保険、相続、税制」的6つの分野が専門。各種メディアにて毎朝金・プラチナ相場の解説を担当。お金の運用やライフプランの相談において、ポートフォリオ理論と行動経済学を基盤にサポート。