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“適応障害”で休職した40代会社員→「リハビリに」月3万円の副業を始めるが…2ヶ月後、保険会社から届いた“1通の封筒”に絶句

  • 2026.4.2
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは!社会保険労務士の加藤あゆみです。

休職中に「ずっと寝ているだけでは気が滅入る」と感じる方は少なくありません。

相談の場でも「療養しながら軽い仕事をしていたら、後から傷病手当金を返してくださいと言われた」という声を、ここ最近よく聞くようになりました。善意でやっていたことが、思わぬ返還リスクにつながってしまうケースです。

傷病手当金と副業の関係は、知らないと取り返しのつかない結果を招くことがあります。正しく理解しておきましょう。

「リハビリのつもり」が不正受給に

ある40代男性の会社員の方のケースが印象に残っています。

適応障害と診断され、医師の指示で休職することになった方です。

しばらく静養しているうちに「このまま寝ていても気持ちが落ち込むだけ」と感じ、クラウドソーシングサイトでライティング案件を受注し始めたそうです。月に2〜3万円程度。「軽い文章を書くだけ、リハビリにもなる」という気持ちでした。

復職から約2ヶ月後、健康保険組合から一通の封筒が届きました。「傷病手当金の返還について」。記されていた金額は約90万円。受給したほぼ全額です。健保組合の調査で、クラウドソーシングの収入履歴が把握されていたのです。「まさかこんなことになるとは」と、今も信じられない様子でした。

傷病手当金の「労務不能」とは何か

傷病手当金は、健康保険法第99条に基づく給付制度です。病気やケガで働けなくなった被保険者を支援するもので、支給要件の核心は「労務不能」であること。従来の業務が療養のために遂行できない状態を指します。
ただしこの判断は医学的基準だけでなく、業務の種別や状況を踏まえて保険者が社会通念に基づいて個別に行うものです。支給額は標準報酬日額の3分の2、支給期間は2022年(令和4年)1月の法改正により、通算1年6ヶ月に変更されています。

重要なのは、労務不能かどうかは収入の多寡ではなく「就労できる状態にあったかどうか」で判断されるという点です。「少額だから」「副業だから」という事情は、原則として考慮されません。受給中に就労した期間は「労務不能ではなかった」とみなされ、返還を求められるリスクがあります。

では、休職中の副業はすべてNGなのでしょうか。実は、不動産収入・株式配当・印税など、自ら労務を提供しない「不労所得」は、労務不能の判定に影響しないとされる場合が多いのです。
一方、ライティング・デザイン・コンサルティングなど、対価として労働を提供するものは、実務上「就労できる状態にあった」とみなされやすい傾向があります。
判断基準は保険者(健保組合や協会けんぽ)によって異なるため、受給前に必ず保険者へ確認することが大切です。

申請前のひと手間が自分を守る

傷病手当金は、療養に専念する人を守るための制度です。

副業との関係が不安なときは、受給を始める前に保険者へ問い合わせるひと手間が、自分を守る第一歩になります。判断に迷う場合は、社会保険労務士への相談も有効な手段の一つです。「制度は知っている人が得をする」そういう側面があることを、ぜひ覚えておいてほしいと思います。

※この記事は2026年3月時点の法令・制度に基づいています。
※個別の状況については、社会保険労務士や加入している健康保険の窓口にご相談ください。

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