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「月9.8万円」で戸建てを購入→35年かけてローン完済のはずが…20年後、60代男性を襲った“思わぬ大誤算”【お金のプロは見た】

  • 2026.3.26
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは。日々の家計や住宅ローンの相談を担当するマネーシップス代表の石坂です。

住宅ローンは「定年までに完済する計画」で借りる家庭が多いものの、教育費や生活費が重なり、予定していた繰上返済ができないケースもあります。特に地方では、大学進学をきっかけに子どもが県外へ進学し、仕送りの負担が家計に影響することもあります。今回は、定年までに完済する予定だった住宅ローンが、65歳になっても残ってしまった家庭の事例を紹介します。

教育費で崩れた住宅ローン完済計画

相談に来られたのは、地方都市に住む60代の会社員の男性です。

地方の製造業に勤めており、50代の頃の世帯年収は約650万円でした。

男性は40代のときに、地元で戸建て住宅を購入しました。土地と建物を合わせた価格は約3,100万円で、自己資金300万円を用意し、住宅ローンは2,800万円を借り入れました。

ローンは35年返済で、当初の金利は約2.3%。毎月の返済額は約9万8,000円で、年間では約118万円の返済です。当時は「子どもが独立したら繰上返済を行い、60歳頃には完済する」という計画でした。

しかし、子ども2人が県外の大学に進学したことで、教育費の負担が大きくなりました。長男は学費年間約120万円に加え、家賃月5万5,000円、生活費の仕送り月4万5,000円で、年間約228万円、4年間で約900万円の支出となりました。

次男も学費年間約110万円、家賃月5万円、生活費の仕送り月4万円で、年間約206万円、4年間で約820万円の教育費がかかりました。

2人分の教育費は合計約1,700万円となり、住宅ローンの返済と重なったことで、繰上返済に回す余裕はほとんどありませんでした。

その後50代で住宅ローンを1.2%へ借り換え、毎月の返済は約8万9,000円となりましたが、返済期間は大きく短縮されませんでした。

現時点で住宅ローンは約900万円残っています。来年で定年を迎えますが、住宅ローンの返済は数年続く見込みです。男性は「定年までに終えるつもりだったが、教育費で繰上返済どころではなかった」と話していました。(※プライバシー保護の観点から、内容を一部変更)

地方では大学進学と仕送りが家計の負担になりやすい

地方では、大学進学をきっかけに子どもが県外へ進学するケースが少なくありません。その場合、学費だけでなく家賃や生活費の仕送りが必要になります。

たとえば、家賃が月5万円、生活費の仕送りが月4万円の場合、それだけで年間約108万円です。そこに大学の学費が加わるため、年間200万円以上の支出になることもあります。

子どもが2人いる家庭では、教育費のピーク時に年間300万円以上の支出になることもあり、その時期は住宅ローンの返済も重なるため、家計の余裕が大きく減るかもしれません。

住宅ローンで後悔しない資金計画の組み立て方

住宅ローンを考える際は、「定年までに完済する予定」だけでなく、教育費や生活費を含めた長期の家計を確認することが大切です。特に地方では、子どもが県外へ進学する可能性もあり、学費に加えて仕送りの負担が発生することもあります。

また、繰上返済を前提にするのではなく、通常返済でも家計に無理がないかをチェックしましょう。定年時点のローン残高を事前に試算しておくことで、退職金や老後資金の計画も立てやすくなります。


監修者:石坂貴史
証券会社IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー・証券外務員)、日本証券アナリスト協会認定資産形成コンサルタント、2級FP技能士、AFP、NISA取引アドバイザー、マネーシップス代表。累計1,200件以上のご相談、金融関連の記事制作、校正・監修を手掛けています。「金融・経済、不動産、保険、相続、税制」的6つの分野が専門。各種メディアにて毎朝金・プラチナ市況の解説を担当。お金の運用やライフプランの相談において、ポートフォリオ理論と行動経済学を基盤にサポート。