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夫が脳梗塞で倒れ→貯金1000万円で“有料老人ホーム”に入所させたものの?…7年後、50代女性を襲った“想定外の大誤算”

  • 2026.3.11
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは。FPとして家計相談や金融記事の制作などを行っている。柴田です。

今回は、介護に関連する相談事例を紹介します。

58歳女性・Aさん(仮名)は夫が脳梗塞で倒れたのをきっかけに、「なんとか自宅で介護しよう」と仕事を辞め、看病に専念しました。

リハビリ、通所介護、そして限界を感じて踏み切った有料老人ホームへの入所などを経て、気づけば7年で貯蓄1,000万円が底をつきそうになっていました。

介護費用が「想定の2倍」になる、よくある落とし穴

介護にかかる費用は、在宅介護で月5〜15万円、施設に入所すると月10〜30万円が相場です。

Aさんが陥ったのは、多くの家庭が経験する典型的なパターンでした。

まず特別養護老人ホーム(特養)の入所を申し込んだものの、待機者が多く入れない状況。仕方なく費用の高い民間の有料老人ホームを選んだ結果、当初の想定の2倍近いコストがかかり続けたのです。

さらに見落としがちなのが介護離職のリスクです。Aさんはパートを辞めたことで世帯収入が激減し、貯蓄の取り崩しスピードが一気に加速しました。

介護期間の平均は約5年ですが、10年以上に及ぶケースも珍しくありません。収入ゼロで長期戦に突入することの怖さを、「もっと早く意識すべきだった」とAさんは振り返ります。

知っていれば数百万円違った「使える制度」

介護保険には、あまり知られていない強力な制度がいくつかあります。

Aさんは、地域包括支援センターの担当者に教えてもらい、「高額介護サービス費」と「高額介護合算療養費」はなんとか活用できていました。月々の介護費用や医療費が一定の上限を超えた分が払い戻されるこれらの制度は、家計の大きな助けになっていたといいます。

しかし、見落としていた制度がありました。「介護休業」と「介護休業給付金」です。対象家族1人につき通算93日まで休業でき、その間は雇用保険から休業前賃金の約67%が支給されます。Aさんはこの制度をまったく知らないまま仕事を辞めてしまいました。

「休業という選択肢があると知っていれば、すぐに離職しなかった」とAさんは悔やみます。介護離職さえ防げていれば、7年間の収入減は数百万円規模で変わっていたはずです。

介護が始まったら、最初にすべき3つのこと

「まさか自分が」と思っているうちに、介護は突然始まります。慌てて動く前に、まずこの3つを押さえてください。

①すぐに「地域包括支援センター」に連絡する:市区町村に必ず設置されており、介護保険の申請から施設探しまで無料で相談できます。ここが介護のすべての入口です。

②介護保険の「要介護認定」を早めに申請する:認定を受けないとサービスが使えません。申請から認定まで約1ヶ月かかるため、早めの行動が肝心です。

③仕事は「すぐに辞めない」を原則にする:辞める前に、勤務先の介護休業制度と介護休業給付金の条件を必ず確認してください。

「高額介護サービス費」の申請は、自動的にはされません。 市区町村の窓口か地域包括支援センターに自分から申請する必要があります。一度申請すれば翌月以降は自動的に振り込まれるケースが多いため、介護が始まったら真っ先に確認することをおすすめします。

介護休業給付金は、介護が始まった早い段階で勤務先の人事・総務担当者に相談しておくことが重要です。

申請には会社側の手続きが必要なため、いざというときにスムーズに動けるよう、制度の対象になるかどうかを事前に確認しておきましょう。「言い出しにくい」と感じる方も多いですが、介護離職を防ぐための権利として活用することをおすすめします。

まとめ

介護は、お金・体力・時間のすべてを同時に奪っていきます。

それでも「制度を知っているかどうか」で、家族の負担は大きく変わります。Aさんが「数百万円は違った」と語る制度のほとんどは、難しい手続きを必要としません。

まず地域包括支援センターに電話一本入れるだけで、見える景色は変わります。介護はいつ始まるかわかりません。「まだ先の話」と思っている今こそ、一度調べておくタイミングです。


監修者:柴田 充輝

厚生労働省や保険業界・不動産業界での勤務を通じて、社会保険や保険、不動産投資の実務を担当。FP1級と社会保険労務士資格を活かして、多くの家庭の家計見直しや資産運用に関するアドバイスを行っている。金融メディアを中心に、これまで1200記事以上の執筆実績あり。保有資格は1級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP1級)、社会保険労務士、行政書士、宅地建物取引主任士など。