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「絶対にやめましょう」お金のプロが警告。妊娠をきっかけに会社を退職…手当の受給でやってはいけない“NG行動”とは?

  • 2026.6.11
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

妊娠を機に退職を考えている方や、すでに退職された方の中には、雇用保険の基本手当(失業手当)について不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。「妊娠したら手当はもうもらえないの?」といった疑問を持つ方も少なくありません。

実は、妊娠・出産を控えた時期は、雇用保険の制度上、一時的に手当の受給を止める必要があります。しかし、それは「権利が消える」わけではありません。適切な手続きを行えば、育児が落ち着いた後に改めて受け取ることができます。

本記事では、この「受給期間延長」の仕組みと、事前に知っておくべき重要な注意点について、専門家の解説とともに分かりやすく解説します。

妊娠したら失業手当はもうもらえない?「受給期間延長」という選択肢

---妊娠して退職することになりました。ハローワークで手当の手続きをしようとしたところ、「妊娠中は働けないため手当はもらえない」と言われました。受給する権利そのものがなくなってしまうのでしょうか?

中川 佳人さん:

「雇用保険の基本手当(失業手当)は、『失業の状態』にある方に支給される給付です。

ここでいう失業の状態とは、1.積極的に就職しようとする意思があること、2.いつでも就職できる能力(健康状態や家庭環境など)があること、3.求職活動をしているのに就職できないこと、という3つをすべて満たす状態を指します。

妊娠・出産を控えた時期は、体調や出産の準備の都合から、すぐに就職して働くことが現実には難しくなります。これは2の『いつでも就職できる能力』という要件を満たさなくなることを意味します。妊娠を報告すると手当が止まるのは、妊娠そのものが理由なのではなく、『今すぐ働ける状態ではない』ことが受給の要件と合わなくなるためです。基本手当は、あくまで『働く意思と能力がある方の再就職までの生活を支える』ための給付だからです。

ここで誤解しないでいただきたいのは、受給する権利そのものが消えるわけではない、という点です。出産・育児が落ち着き、再び働ける状態に戻れば、改めて受給の対象になります。そのための仕組みが、後述する『受給期間の延長』です。妊娠がわかった段階で『もう、もらえない』と諦めるのではなく、『今は一時的に止め、働けるようになってから受け取る』ものだと理解しておくことが大切です。」

注意が必要!「黙って受給」や「手続き忘れ」が招くリスク

---妊娠したことを報告せずそのまま受給し続けることや、受給期間延長の手続きを忘れてしまうと、どのような不利益がありますか?

中川 佳人さん:

「まず、妊娠が判明したあともハローワークに報告せず受給を続けることは、絶対にやめましょう。

働ける状態にないにもかかわらず手当を受け取ると、『不正受給』と判断されます。不正受給が発覚した場合、その後の支給が停止されるうえ、受け取った額の返還に加えて、最大でその2倍にあたる金額の納付を命じられることがあります。結果として不正受給額の最大3倍を支払うことになり、金銭面でも信用の面でも大きな打撃となるのです。

次に、受給期間延長の手続きを忘れた場合の不利益です。失業給付を受け取れる『受給期間』は、原則として離職日の翌日から1年間です。ただし、妊娠や出産、育児などですぐに働くことができない場合は、申請によって受給期間を延長できます。

延長の手続きをしないまま時間が経過すると、本来受け取れるはずだった失業給付を受給できなくなる可能性があります。妊娠から出産、育児までには長い期間を要することも多いため、働けない状態が続く場合は、できるだけ早めにハローワークへ相談し、必要な手続きを行うことが大切です。」

損をしないために!「受給期間延長」の申請方法と準備

---受給期間の延長をスムーズに行うためには、どのような準備や手続きが必要でしょうか?

中川 佳人さん:

延長を申請すれば、受給期間を最長4年まで延ばせます。平成29年(2017年)4月以降は申請期限が緩和され、延長後の受給期間が終わる日まで申請できるようになりました。ただし注意したいのは、申請が遅れると、延長しても所定給付日数の全部は受け取れない可能性がある点です。『期限が延びたから後でよい』と考えず、できるだけ早く申請することが、損をしないための鉄則です。

受給期間延長の手続きをスムーズに進めるために、まず確認・準備していただきたいのは次の4点です。

第一に、勤務先から『離職票』が届いているかの確認です。この離職票は、延長の申請に欠かせない書類です。退職後しばらく経っても届かない場合は、早めに勤務先へ問い合わせてください。

第二に、ご自身が延長の対象に当たるかの確認です。延長は、妊娠・出産・育児などの理由で『引き続き30日以上、職業に就くことができない』場合が対象で、申請はこの30日が過ぎた日の翌日以降に可能となります。

第三に、申請先の確認です。申請は、お住まいの住所地を管轄するハローワークで行います。本人が来所できない場合は、郵送のほか、委任状を用意すれば代理人による申請もできます。

第四に、必要書類の準備です。離職票のほか、受給期間延長申請書(ハローワークで交付)、妊娠・出産の事実が確認できる書類(母子健康手帳など)、印鑑などが必要です。必要書類はハローワークによって扱いが異なる場合があるため、最新の内容を管轄のハローワークへ事前に確認しておくと安心です。」

まとめ:早めの行動が、将来の権利を守る

「受給期間延長」は、出産や育児という大切なライフイベントを迎える方が、将来の再就職に向けた権利を守るための重要な仕組みです。申請期限が緩和されたとはいえ、手続きを怠れば本来受け取れるはずの手当を失うリスクがあります。

「今は働けないから」と諦めず、離職票が届いた段階で必要書類を揃え、早めに行動を起こしましょう。出産準備で慌ただしくなる前に手続きを済ませることが、安心して育児に専念し、将来の再就職へ繋げるための第一歩です。


執筆・監修:中川 佳人
金融機関勤務の現役マネージャー。1級ファイナンシャル・プランニング技能士。20年にわたり、資産形成や家計管理・住宅ローンなどの実務に携わってきた経験を活かし、記事の監修や執筆を行っている。専門的な内容を、誰にでもわかりやすく伝えることをモットーとしている。

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