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退職金3,000万円を全て貯金→「預金なら減ることはない」はずが…10年後、60代夫婦を襲う“想定外の大誤算”【お金のプロは見た】

  • 2026.3.14
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。金融機関勤務の現役マネージャーとして、日々さまざまなお金の相談に向き合っている中川です。

「投資は怖いから、預金が一番安心」

そう考える方は少なくありません。特に過去に投資で損をした経験がある人ほど、その思いは強くなる傾向があります。

しかし近年、物価上昇が続き「預金だけでは資産を守れない」という現実に気づく家庭も増えています。

今回は、退職後も資産のほとんどを預金で保有していた60代夫婦が、インフレの影響を実感した事例をご紹介します。

安心を求めて選んだ「現金中心」の資産管理

今回ご紹介するのは、60代前半のAさん(仮名)ご夫婦です。退職金と貯蓄を合わせて約3,000万円の資産を保有していました。

若い頃、株式投資で約200万円の損失を出した経験があり、それ以来「投資は危ないもの」という意識を持つようになりました。

そのため退職後の資産は、ほとんどを銀行預金で保有していました。

「預金なら減ることはない」

そう考えて安心していたといいます。実際、通帳の残高はほとんど変わっていませんでした。

生活費の上昇で気づいた“見えない資産の減少”

変化に気づいたのは、日々の生活費でした。

夫婦2人の食費は以前は月4万円ほどでしたが、最近は5万円近くになることが増えました。電気代も以前は月8,000円前後でしたが、冬場には1万2,000円を超えることがあります。

「同じ生活をしているのに、支出だけ増えている」

そう感じたAさんは疑問を持ちます。

「なぜ前より余裕がなくなったのだろう」

この違和感の正体こそ、インフレによる資産価値の目減りでした。

インフレが続くと資産価値はどうなるのか

例えば年間2%の物価上昇が続いた場合、10年後の資産価値は大きく変わります。

現在3,000万円の資産があった場合、10年後の実質価値は約2,460万円になります。

通帳の残高が変わらなくても、実質的には約540万円分の価値が減る計算です。

この事実を知ったとき、Aさんご夫婦は衝撃を受けたといいます。

「元本保証=安心」という思い込み

多くの人が安心だと感じる「元本保証」。確かに預金には元本割れのリスクはありません。

しかしインフレが続く環境では、資産価値が少しずつ下がっていきます。

預金金利が低い時代には、物価上昇のスピードに追いつくことは難しいのです。

預金は安全ですが、インフレには弱い資産であることを理解しておく必要があります。

リスクは「投資」だけではない

資産運用の話になると、多くの人がまず思い浮かべるのが「投資のリスク」です。

しかし現金だけで資産を持つことにも別のリスクがあります。それが「インフレリスク」です。

物価が上がる社会では、現金の価値は相対的に下がります。

「投資をしない」という選択も、一つのリスクを取っている状態なのです。

インフレ時代に考えたい資産の持ち方

Aさんご夫婦は、この経験をきっかけに資産の持ち方を見直しました。

生活資金として1,000万円ほどの預金を確保し、残りの一部を投資信託などに分散する方法を検討し始めたそうです。

もちろん、投資にはリスクもあります。単純に「投資をすれば良い」というものではありません。大切なのは、自分のリスク許容度の中でバランスよく資産運用をしていくことです。

現金は安心と思われがちですが、インフレリスクがあることも事実です。資産を守るためにも、一度ご自身の資産の置き場所を見直してみてはいかがでしょうか。


監修者:中川 佳人(なかがわ よしと)(@YoshitoFinance

金融機関勤務の現役マネージャー。1級ファイナンシャル・プランニング技能士。 20年にわたり、資産形成や家計管理・住宅ローンなどの実務に携わってきた経験を活かし、記事の監修や執筆を行っている。 専門的な内容を、誰にでもわかりやすく伝えることをモットーとしている。