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老後資金として1100万円を貯金「90歳までお金に困らない」はずが…→ある日、60代夫婦を待ち受けていた“想定外の誤算”

  • 2026.3.17
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

老後に必要なお金を考えるとき、今の生活費や年金見込み額をもとにシミュレーションしている方も多いかもしれません。

ただ、しっかり試算したつもりでも、ある前提が抜けていると、用意した老後資金では足りなくなる可能性があります。

今回は、筆者の父の事例をもとに、老後資金をシミュレーションする際の落とし穴について解説します。

90歳まで大丈夫のつもりだった…1,100万円を用意していた父の老後資金

60歳で再雇用を選ばずに定年退職した筆者の父は、老後のお金を慎重に見積もりしていました。 

総務省の家計調査を参考に、65歳以上の夫婦のみの無職世帯にかかる毎月の消費支出を約26.3万円とし、30年分の生活費をシミュレーションしていました。 

そのうえで、65歳以降の年金見込み額もねんきん定期便で確認し、老後資金として1,100万円を用意していたことから、90歳まで長生きしてもお金の心配はないと考えていました。

90歳まで大丈夫のはずが…老後資金の計算から抜けていた「物価上昇」

そんなある時、知人の縁からFPの方にライフプランを立ててもらうことになりました。

すると「これでは老後資金が足りないかもしれませんね」と告げられたのです。父は「足りないはずがない。入念にシミュレーションしたんだ」と結果を見せましたが、FPは「支出を考えるうえで、大事な前提が一つ抜けています」と指摘しました。

父のシミュレーションに入っていなかったのが、インフレ(物価上昇)です。FPによると、ライフプランを立てるときは、年平均1%ほどのインフレも見込んで考えるそうです。仮に年1%ずつ上がれば、30年後の生活費は当時比で約35%増える計算になります。

さらに、直近はインフレ率が年2%を超える年もあり、想定以上に支出が膨らむ可能性も考えられます。こうして前提を見直した結果、90歳まで持つはずだった老後資金は82歳ごろに尽きる見通しとなり、父は転職活動を考えざるを得なくなりました。

老後資金のシミュレーションはインフレまで考慮する

父のケースで問題だったのは、再雇用を選ばなかったことではなく、老後資金の計算にインフレを織り込んでいなかったことです。そのために、用意したお金だけでは足りなくなると指摘されました。

老後資金としてまとまった貯蓄があると、金額だけを見て安心しやすいものです。しかし、数十年単位で考えると、年1%ほどのインフレでも生活費の負担は少しずつ重くなっていきます。

そのため、老後資金のシミュレーションの際にはインフレを考慮するのを忘れないでください。インフレによって、将来の支出がどの程度変化するのかまで想定しておくと、用意している老後資金で十分かどうかを判断できるようになります。


参考:家計調査報告〔家計収支編〕 2025年(令和7年)平均結果の概要 P18(総務省)
令和7年4月分からの年金額等について(日本年金機構)
2020年基準消費者物価指数 全国 2026年(令和8年)1月分(総務省)

ライター:中村大地
建設業界での法人営業を経て独立。2級FP技能士としての知識をもとに、資産運用や資金調達など金融分野を中心に400記事以上を執筆。制度や数字の正確性を押さえつつ、専門用語に頼らないわかりやすい表現を心がけている。