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築30年、全80戸“負動産”を相続した60代→赤字垂れ流しに絶望も…スキー場マンションを救った「起死回生の一手」

  • 2026.4.4
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。宅地建物取引士として10年以上の現場経験を持つライターのT.Sです。親から不動産を相続したものの使い道がなく、維持費ばかりがかかると悩む方は多いのではないでしょうか。

今回は赤字を垂れ流す「負動産」だったリゾートマンションが、管理組合の決断によって収益物件へと生まれ変わった再生エピソードを紹介します。

負動産と化したスキー場のリゾートマンション

60代のIさんは、スキーリゾートエリアにある築30年、全80戸のマンションを相続しました。しかし、年に数回しか利用しないにもかかわらず、管理費や固定資産税などで年30万円超を負担する状況だったのです。

価格を下げてもなかなか売れず、Iさんは頭を抱える日々が続きます。マンションの状況を調査すると、Iさんと同じ境遇の不在オーナーが全体の約40パーセントを占めていました。

さらに、施設内にある豪華な大浴場の維持費が財政を圧迫し、このままではスラム化が懸念される深刻な事態に直面します。使わないリゾートマンションは、コストから目を背けて放置するのではなく、持ち続ける負担を年単位で計算して早急に対策を練る必要があります。

サウナ改修と民泊解禁に向けた1年間の闘い

危機感を抱いたIさんは、自ら理事会へ働きかけ、大胆な改革案を提示します。管理規約に基づき、修繕積立金の一部を活用するとともに、各戸から数万円の一時金を徴収し、大浴場を最新のサウナ付きスパへ改修するという案です。

さらに改修費用の回収策として、民泊の解禁へ向けた管理規約の変更も同時に提案しました。しかし、治安や騒音を懸念する反対意見も根強く、調整には1年もの時間を要することになります。

Iさんは専門業者の見積もりや、類似施設の成功データを提示して、粘り強く説得を続けます。最終的には騒音やゴミ出しのトラブル対策として、専門業者を通じた短期賃貸に限り認めるというルールを設ける形で合意に至りました。

住宅宿泊事業法に基づく民泊には、年間180日を上限とする法的ルールが存在し、自治体によっては条例でさらに営業日数が制限される場合もあります。そこで各オーナーが、物件が所在する自治体の条例を事前に確認したうえで届出を行い、民泊の運用を開始しました。

柔軟な管理組合が資産価値をV字回復させる

サウナを新設した効果は、すぐに表れました。ワーケーション需要と冬のスキー客を見事に取り込み、Iさんの部屋は冬季を中心に高い稼働率を叩き出しました。年間の維持費や民泊の運営コスト(清掃費や手数料など)を差し引いても、月平均5万円から8万円の収入を生む収益物件へと大逆転を果たしたのです。

リゾートマンションの価値は立地だけではありません。民泊運用の可否や時代に合わせた施設改修を実行できる管理組合の柔軟性が、将来の資産価値を大きく左右するといえます。

Iさんのケースからもわかるように、不動産の購入や売却を検討する際は、立地だけでなく管理組合の活動状況にも目を向けてみてください。管理規約や総会議事録を確認し、時代に合わせて資産を運用できる組織力があるかを見極める視点が、負動産を抱え込まないための大切なポイントになるでしょう。

参考:住宅宿泊事業法(民泊新法)とは?(民泊制度ポータルサイト)



ライター:T.S(宅地建物取引士)
大学卒業後、大手不動産会社に入社。10年以上にわたり、都心のタワーマンションから郊外の築古戸建てまで数多くの現場経験を積む。現在は不動産ライターとして「業界の不都合な真実」や消費者が陥りやすいマネーの罠について、実体験に基づく記事を執筆している。


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