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「こんなはずじゃ…」相場より安い“初期費用ゼロ物件”に喜んだのも束の間…30代夫婦を襲った“深夜の悪夢”

  • 2026.4.3
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。大学卒業後に大手不動産会社へ入社し、10年以上の現場経験を持つ宅地建物取引士のライターT.Sです。

引っ越しを検討する際、少しでも家賃が安くて初期費用の負担が軽い物件に惹かれた経験はおありでしょうか。将来のために固定費を抑えたいという気持ちは、多くの方が共感できるはずです。しかし、一見するとお得に思える好条件の物件には、目に見えない深刻な理由が隠されているケースが存在します。

今回は格安物件に飛びついた夫婦が直面したトラブル事例から、不動産賃貸における負のサイクルと自衛策について解説します。

掘り出し物の裏に潜む深夜の騒音

結婚を機に固定費を抑えたいと考えていた30代のAさん夫婦は、都内で築20年のマンションを見つけました。周辺相場が12万円のところ、月額10万円で敷金礼金もかからないという非常に魅力的な条件です。

昼間の内見では室内も静かで日当たりも良く、年間24万円も浮く掘り出し物だと喜んで即座に契約を結びます。しかし入居直後から、隣室のバルコニーに大量のゴミ袋が放置されていることに気がつきました。

さらに深夜2時を過ぎると毎晩のように大音量のゲーム音や壁を叩く音が響き渡り、夫婦は十分な睡眠が取れない日が続いてしまったのです。

安さの正体と手詰まりになる実態

たまらず管理会社にクレームを入れますが、隣室へ注意状を投函する程度の対応しかしてもらえません。実はその隣室は、過去の入居者も騒音を理由に早期退去していたほど、対応の難しい状況が続いていたのです。

借地借家法(借主の居住権を守るための法律)では居住者の権利が強く守られており、騒音を理由に管理会社やオーナーが強制退去させるのは、極めて困難な傾向があります。オーナーが空室期間の長期化を嫌って家賃を下げ、初期費用ゼロで募集をかけていたのが安さの正体でした。

解決が難しい問題を抱えた物件は、家賃を下げて新たな入居者を入れるという負のサイクルに陥りやすいのです。

早期退去の代償と曖昧な告知の義務

Aさん夫婦は事前に教えてくれなかったことに憤りますが、隣人トラブルは法令上、一律の明確な告知基準がないのが実情です。一般的な騒音レベルだと告知されないことが多いものの、トラブルの程度によっては告知義務が生じるケースもあります。

結局夫婦は精神的な限界から、わずか半年で退去を決意しました。しかし敷金礼金ゼロの物件に多い、1年未満の解約は家賃2ヶ月分の違約金が発生するという特約に縛られてしまいます。

違約金20万円に加えて新居の初期費用や引っ越し代が重なり、合計で約80万円という多額の損失を被る結果となりました。

過去の履歴をたどり悪夢を回避する

相場より2割以上安く、初期費用が無料の物件は、安くしないと人が定着しない理由があると疑ってみるべきです。内見の際は室内の綺麗さだけでなく、隣室の玄関周りやバルコニーに異常な私物放置がないかを必ず確認してみてください。

また物件検討時は仲介業者に、前の入居者はどのくらいの期間住んでいたかを質問するとよいでしょう。即答できない場合は管理会社への確認を依頼することが、問題のある物件を見抜く最も有効な自衛手段となります。目先の安さに惑わされず、冷静な目で物件の背景を見極めるよう心がけましょう。

参考:借地借家法(e-Gov法令検索)



ライター:T.S(宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士)
大学卒業後、大手不動産会社に入社。10年以上にわたり、都心のタワーマンションから郊外の築古戸建てまで、数多くの現場経験を積む。現在は不動産ライターとして、業界の不都合な真実や消費者が陥りやすいマネーの罠について、実体験に基づく記事を執筆している。


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