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40代ご夫妻が大失敗!築50年団地をフルリノベしたのに「リビングにいられません」大誤算なぜ?【一級建築士は見た】

  • 2026.4.3
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

「無垢のフローリングに、こだわりの造作キッチン。理想の家になったはずでしたが、冬は寒すぎてリビングにいられません」

そう語ってくれたのは、築50年の団地を購入しフルリノベーションをしたSさん(40代夫婦)です。

完成した部屋はまさに雑誌から飛び出したような美しさでしたが、初めて迎えた冬、部屋の温度計は10℃を下回る日もありました。暖房をフル稼働させても足元は冷たく、窓にはびっしりと結露が発生。

内装に予算を使い切り、断熱工事を後回しにしたことが、大きな誤算の始まりでした。

コンクリートは「熱の通り道」

古い団地の多くは、コンクリートの壁がそのまま外気に触れています。コンクリートには熱を伝えやすい性質があるため、外の冷たさが壁を通じてダイレクトに室内へ伝わってきます。

断熱材が入っていない壁は、冬場は氷のように冷たくなり、夏場は太陽の熱を蓄えて夜まで熱気を放出し続けます。

また、冷え切った壁や窓に室内の暖かい空気が触れると、大量の結露が発生します。これが壁紙の裏側でカビを増殖させ、せっかく新調した家具や内装を傷める原因の一つとなってしまうのです。

窓から逃げる熱は全体の約50%

団地リノベにおいて、窓の対策を怠ることは致命的といえます。

築40年〜50年の団地の窓は、単板ガラス(1枚ガラス)に気密性の低いアルミサッシという組み合わせが一般的です。冬の暖房熱の約50%は窓から逃げ、夏の冷房時は約70%の熱が窓から入ってくるといわれています。

管理規約でサッシ自体の交換が禁止されている場合でも、多くの場合、室内側に「内窓」を設置することは可能です。

この工事を予算の都合で削ってしまうと、どれほど高価なエアコンを設置しても効率が悪く、光熱費だけが膨らむ結果になりかねません。見た目のデザイン性を多少抑えてでも、窓の断熱化には予算を割くべきといえます。

一級建築士が教える「失敗しない予算配分」

後悔しない住まい作りのためには、優先すべきポイントを見極める必要があります。

・断熱材の充填:
外気に面する壁の内側には、断熱パネルやグラスウールなどの断熱材をしっかりと入れることが大切です。

・内窓の優先順位を上げる:
内装のデザインを多少調整してでも、窓の断熱化には予算を割くことが、長期的な快適性につながります。

・健康への投資と考える:
適切な室温を保つことは、ヒートショックなどのリスクを軽減することにも繋がります。

住まいの快適さは「素肌」で感じるもの

内装のデザインを考える前に、まずは建物の外皮(壁や窓)の性能を見直すことが大切です。

表面的な美しさは後から足すことができますが、壁の中の断熱材や窓の性能を改善するには、再び大きな解体工事が必要になるからです。

まずは建物が健康な状態であるかを見極め、その上で理想の暮らしを描くこと。それが、団地リノベで大誤算を防ぐための、近道となるはずです。


ライター:yukiasobi(一級建築士・建築基準適合判定資格者)
地方自治体で住宅政策・都市計画・建築確認審査など10年以上の実務経験を持つ。現在は住宅・不動産分野に特化したライターとして活動し、空間設計や住宅性能、都市開発に関する知見をもとに、高い専門性と信頼性を兼ね備えた記事を多数執筆している。


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