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「すぐにブレーカーが落ちる…」団地リノベで最新家電が使えない!?30代夫婦の大誤算【一級建築士は見た】

  • 2026.4.6
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

「IHクッキングヒーターと電子レンジを同時に使うと、すぐにブレーカーが落ちてしまうんです」

そう話してくれたのは、築50年の団地を購入し、フルリノベーションをしたCさん(30代男性・夫婦2人暮らし)です。

室内には最新のシステムキッチンを入れ、大型のドラム式洗濯乾燥機を置き、各部屋には高性能なエアコンも備えました。見た目には、まさに理想の住まいが完成したようです。

しかし、実際に暮らし始めてみると、日常の家事の裏で常に「電気の使いすぎ」に怯える日々が待っていました。

団地全体の「幹線」が抱える限界

その理由の一つが、団地全体の電気インフラです。

古い団地では、建物全体に電気を送る幹線(建物のメインとなる配線)が、建設当時の生活水準に合わせて設計されていることがあります。

1戸あたり30Aや40A程度を前提にしている場合、個別の住戸だけを60Aなどに増やしたくても、建物全体の許容量との関係で認められないことがあります。

また、IHクッキングヒーターや大型エアコンのように200Vが必要な設備についても注意が必要です。古い団地では、専有部まで200Vの配線が来ていないことがあり、そもそも導入が難しいケースもあります。

30Aではブレーカーが落ちやすい

30Aという容量は、今の暮らしではやや心もとない場合があります。

30A契約で使える電力の目安は約3,000Wです。たとえば、IHクッキングヒーターを2,000W前後で使いながら、炊飯器を1,000W程度で炊くと、それだけで上限に達してしまいます。

そこにエアコンを動かしたり、洗濯乾燥機の乾燥運転まで重なったりすると、合計で4,000Wを超えることもあり、ブレーカーが落ちやすくなります。

最近の時短家電は便利な一方で、消費電力が大きいものも少なくありません。設備を新しくしても、建物側の受け皿が追いつかないことがあるのです。

特に、ガスコンロからIHに変えたい、オール電化にしたいと考えている場合は慎重に見ておきたいところです。

間取りや内装だけで判断すると、住み始めてから「思ったように家電を使えない」と感じることがあります。

購入前・着工前にしておきたい確認

こうした後悔を防ぐには、設計を固める前に、その住戸がどこまで電気を使えるのかを確認しておくことが大切です。

次のような確認が役立ちます。

  • 管理組合に、最大契約容量や200V対応の可否を確認する
  • 分電盤や配線の状況を、リフォーム会社や専門家に見てもらう
  • 電気容量に不安がある場合は、調理や給湯にガスを残すことも検討する

内装や設備を決めた後では、選択肢が狭くなりやすいため、できるだけ早い段階で確認しておきたいところです。

インフラは生活の土台

内装の美しさは暮らしを豊かにしてくれますが、電気や水といったインフラは、その土台になる部分です。

古い団地には独特の魅力がありますが、現代の暮らし方とは前提が異なるインフラ上の制約が残っていることもあります。

最新の家電を並べる前に、その住戸がどこまで受け止められるのかを確認すること。団地リノベでは、デザインとインフラの両方を見ながら計画することが、快適な暮らしへの近道になります。


ライター:yukiasobi(一級建築士・建築基準適合判定資格者)
地方自治体で住宅政策・都市計画・建築確認審査など10年以上の実務経験を持つ。現在は住宅・不動産分野に特化したライターとして活動し、空間設計や住宅性能、都市開発に関する知見をもとに、高い専門性と信頼性を兼ね備えた記事を多数執筆している。


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