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念願の一戸建て購入→2年後に「目の前の道」が通れなくなる悲劇…通行権を巡るトラブルと落とし穴【一級建築士は見た】

  • 2026.4.5
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

「住宅を購入して2年後、目の前の道に突然カラーコーンが置かれ、通り抜けができなくなってしまいました」

そう語ってくれたのは、私道に面した一戸建てにお住まいのAさん(30代女性、夫婦+子ども2人の4人家族)です。

その道は近隣住民が長年利用してきたものでしたが、土地の所有者が変わったことをきっかけに、新しい所有者が「ここは私の土地だから勝手に通らないでほしい」と主張し始めました。

Aさんのように、日常的に利用している道が「私有地」である場合、法的な権利関係が整理されていないと、こうしたトラブルに巻き込まれる可能性があります。

私道における「所有権」と「通行権」

公道(市道や県道など)とは異なり、私道は特定の個人や法人が所有している土地です。

建築基準法上の道路(42条2項道路など)として認められていれば、建物を建てることは可能です。しかし、道路としての制限を受けていることと、他人が自由に通行できることは別問題です。

所有者から「通行料を支払え」と言われたり、車両の通行を制限されたりするケースも少なくありません。特に、所有者が複数人いる共有名義の私道や、全く関係のない第三者が所有している私道の場合は、権利の主張がぶつかり合いやすくなります。

封鎖トラブルを引き起こす「原因」

トラブルの多くは、世代交代や建物の老朽化をきっかけに表面化します。

・所有者の変更:
元の所有者からは口約束で通行を認められていたとしても、相続や売買で新しい所有者に変わった際、その約束が引き継がれないことがあります。

・維持管理費の負担:
私道の舗装が傷んだ際、その修繕費用を誰が負担するかで揉めることがあります。費用負担を拒否した住民に対し、所有者が報復措置として通行を制限するような、感情的な対立に発展することもあります。

2023年改正民法による「ライフライン」の権利

これまで私道を通じた電気・ガス・水道の引き込みは、所有者の承諾が得られず工事が止まってしまう問題が多発していました。これに対し、2023年の改正民法によってルールが明確化されました。

法改正により、ライフラインの設置に他人の土地を使用する必要がある場合、その土地の所有者の承諾がなくても、必要な範囲内で設備の設置や使用が法的に認められるようになりました。

ただし、これには「事前に通知すること」「損害が最も少ない方法を選ぶこと」「損害に対する償金を支払うこと」などの義務が伴います。

法的に権利が認められたとはいえ、実務上は無用なトラブルを防ぐために「承諾書」を取得しておくことが、現在も変わらず重要といえます。

トラブルを未然に防ぐためのチェックポイント

土地の購入を検討する際は、図面上の配置だけでなく、以下の点を確認することが大切です。

・「私道通行掘削承諾書」の有無:
所有者から通行や、ライフラインの埋設・掘削を認められているかを示す書類です。法改正後も、円満な近隣関係を築くための最優先事項といえます。

・道路の所有権(持分)の確認:
購入する土地に、その私道の持分(一部の所有権)が含まれているかを確認します。持分があれば、少なくとも自分に権利があることを主張しやすくなります。

・現地での聞き取り:
実際に周辺を歩いて私道の利用状況を確認したり、過去にトラブルがなかったか近隣住民に聞き取ったりすることも有効です。

一見、普通のアスファルトの道であっても、その下が誰の土地なのかを把握しておくことが重要です。

「私道に面した物件では、見た目の便利さ以上に、書面による権利関係の裏付けを確認することが大切」ということです。


ライター:yukiasobi(一級建築士・建築基準適合判定資格者)
地方自治体で住宅政策・都市計画・建築確認審査など10年以上の実務経験を持つ。現在は住宅・不動産分野に特化したライターとして活動し、空間設計や住宅性能、都市開発に関する知見をもとに、高い専門性と信頼性を兼ね備えた記事を多数執筆している。


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