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【2026-27秋冬トレンド速報】「レイト90s」のミニマリズムが花開く。NYコレクション発・注目キーワード

  • 2026.2.24
Love Story images: Disney/FX / LAUNCHMETRICS SPOTLIGHT

ショーノートに参考文献リストのようなものを記載するデザイナーは稀だが、「マーク ジェイコブス」がニューヨーク・ファッション・ウィークの幕開けとして発表した2026年ランウェイショーでは、そのインスピレーション源が惜しみなく明かされた。そこには自身の1998年春夏コレクションに加え、「ヘルムート ラング」や「プラダ」による90年代のコレクションも名を連ねていた。ビョークの1997年のアルバム『Homogenic』に収録された『Jóga』が流れるなか、アレックス・コンサニがファネルネックのグレーのフランネルセットアップを纏って登場。ここ数年、アヴァンギャルドでマキシマリズムを極めたアプローチを続けてきたマークだが、今回のコレクションは、当時の削ぎ落とされたスタイルへの回帰を感じさせるものだった。

「マーク ジェイコブス」の2026年ショーを歩くアレックス・コンサニ。 Dimitrios Kambouris / Getty Images

インスピレーション源について最も明確に語ったのは彼かもしれないが、今シーズン、この10年間の限られた期間を掘り下げたのはジェイコブスだけではない。ファッション界はこれまで90年代のグランジやY2Kの過剰さを謳歌してきたが、その狭間にある時期――インターネットバブルの崩壊前、同時多発テロ前、そしてクリントン政権下の穏やかな楽観主義に満ちていた時代――は、ノスタルジーの領域において未開拓のままだった。ファッションは常に、ラファエル前派から70年代のオールド・ハリウッド・グラマーのリバイバルに至るまで、「よりシンプル」で「より良い」時代を美化することに惹かれるものだ。特に、世情が不安定な時代にはなおさらである。

ドラマ『Love Story』でキャロリン・ベセット=ケネディを演じるサラ・ピジョン。 Courtesy FX/Disney+

ドラマ『Love Story』でサラ・ピジョンが演じるキャロリン・ベセット=ケネディの姿に誰もがくぎ付けになっている今、スクリーンでもランウェイでもこの時代が再燃している。とはいえ、このリバイバルはかなり前から兆しを見せていた。「ザ・ロウ」や「トーテム」といったミニマリズムをけん引する実力派ブランドがシーンを席巻し、インスタグラムアカウントの「Cabmate」などが、ジュリア・ロバーツやケイト・モス、そしてベセット=ケネディ本人のノスタルジックなストリートスタイルを記録してきたことがその証だ。

「カルバン クライン」2026年秋冬コレクション。 Courtesy of Calvin Klein

ヴェロニカ・レオニは自身の「カルバン クライン」コレクションにおいて、「身体への礼賛(cult of the body)」を掲げ、70年代後半から80年代前半を引用したものの、そこには90年代後半の要素も色濃く反映されていた。特に目を引いたのは、洗練されたレーサーバックのガウンや、スクエアネックのグレーのシースドレスだ(ベセット=ケネディは90年代に同ブランドで働いており、ドラマ『Love Story』の第1話にもそのオフィスが登場する)。そしてファッション通にとっては、90年代の「カルバン クライン」の常連モデル、グィネヴィア・ヴァン・シーナスのキャスティングも、当時へのオマージュとして響いたはずだ。

「カルバン クライン」1997年春夏ショーのバックステージにて、グィネヴィア・ヴァン・シーナスの姿。 WWD / Getty Images

レイチェル・スコットによる「プロエンザ スクーラー」のデビューコレクションは、装飾的なルックの中にハイネックのミニマルなシースドレスを織り交ぜ、「急いでいる」女性像を描き出した。また、キャサリン・ホルスタイン率いる「ケイト」は、90年代風のスリップドレスやグロッシーな質感を取り入れ、グランジ時代と21世紀初頭のテック(技術)を融合させた美学との架け橋のようなムードを漂わせていた。

「アシュリン」2026年秋冬コレクション。 Launchmetrics.com/spotlight

注目すべきは有名ブランドだけではない。「フォーム(Fforme)」や「アシュリン(Ashlyn)」、「カルメイヤー(Kallmeyer)」、「コリーン アレン(Colleen Allen)」といった小規模ブランドも、スクエアネックやエプロン風のディテールなど、この時代のモチーフを独自に解釈してトレンドに参戦している。これらのルックは、過剰なスタイリングとは無縁だったシンプルで良き時代の名残を感じさせるだけでなく、現代の女性たちがリアルに着たいと思う服そのものでもある。私たちが愛してやまないカプセルワードローブに完璧にフィットしつつ、いわゆる「クワイエット・ラグジュアリー」への批判を跳ね返すだけの独自性も兼ね備えているのだ。

ニューヨークのファッションは時に商業的すぎると批判されることもあるかもしれない。しかし、顧客が今まさに求めているものを的確に届けるという点において、そのアプローチには確かな説得力があると言えるだろう。

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