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なぜ、不動産のプロは「リノベ済み物件」を買わない?「販売価格の1〜2割程度は…」「築30年超で“漏水リスク”」

  • 2026.2.16
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。不動産業界歴15年、現在は不動産ライターとして活動している西山です。

中古マンション市場で、新築のように内装が一新された「リノベーション済み物件」を目にする機会が増えました。きれいな部屋にすぐ住める手軽さは大きな魅力ですが、私たち不動産のプロが自分の家として選ぶかと問われると、答えは「ノー」であるケースが少なくありません。

なぜなら、きれいに貼られた壁紙の裏側に、どのようなリスクが隠されているかを知っているからです。今回は、一見お買い得に見えるリノベ済み物件に潜む構造的な問題について解説します。

「リノベ済み」の価格に含まれる“見えないコスト”

「リノベ済み物件」の販売価格には、純粋な物件価格と内装工事費以外に「再販業者の利益」と「広告などの販売経費」が上乗せされています。

一般的な収益構造で考えると販売価格の1〜2割程度、金額にして数百万円単位のお金が、純粋な内装グレードアップのためではなく「見えないコスト」として価格に含まれている計算になります。また、販売目的のリノベはあくまで「売るための商品作り」という側面があります。

限られた予算で最大限の利益を確保するため、購入者の目に留まりやすいキッチンやクロスなどの「見た目」にはお金をかけます。一方で、床下や壁裏にある「配管」「下地」「断熱材」といった見えない部分は、既存のまま使い回してコストカットされているかもしれません。表面は新築同様でも、中身は古いままである可能性を考慮する必要があります。

築30年超で配管未更新なら“漏水リスク”を抱えることに

特に注意が必要なのが、床下に隠れた「給排水管」の老朽化です。築30年を超えるマンションでは、配管に鉄管や銅管などの金属製の管が使われていることが多く、経年劣化によるサビや腐食で水漏れが発生するリスクがあります。

もし配管が古いままだと、入居後に漏水事故が起きるリスクが高まるでしょう。最悪の場合は水漏れを直すために、せっかく新しくしたフローリングを剥がして、配管を交換するという大工事が必要になります。

これでは内装費の「二重払い」になってしまい、経済的な損失は小さくないでしょう。表面の美しさだけで判断して購入してしまうと、将来的に思わぬトラブルや出費に見舞われる可能性があるのです。

「手間」と「安心」のどちらを買うか

こうしたリスクを避けるため、プロはあえて内装が古いままの「現状渡し物件」を選び、自分でリノベーションを行う手法を好みます。業者利益として消えるはずだった数百万円を、配管の全交換や断熱性能の向上といった「家の寿命と快適性」に関わる本質的な工事に充てられるからです。

もちろん、個人でのリノベが万能なわけではありません。自分好みにできる一方で、業者発注に比べて工事単価が割高になる傾向があるほか、プランニングや工事に期間を要するため即入居もできません。

「手間をお金で解決して、すぐ住めるリノベ済みを買う」のか、「手間をかけてでも、配管や断熱などの見えない部分まで自分仕様に作り直す」のか。どちらにも一長一短があります。内装の美しさだけでなく、その裏側にある構造やコストの違いまで理解した上で、ご自身の優先順位に合った住まいを選ぶことが大切です。



筆者:西山雄介(宅地建物取引士・マンション管理士などの資格所有)
不動産業界歴15年。新卒で東証プライム上場のマンションデベロッパーに入社後、計2社で新築・中古販売および管理業務に従事。実務現場を経て管理職も歴任し、組織運営にも携わる。現在はその多角的な視点を活かし、実務解説から不動産投資、法律事務所案件まで、専門性の高いコンテンツ制作・ディレクションを行っている。


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